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【母関数マスター講座 第6回】「-1」の魔法〜偶数と奇数を完璧に分離する〜

    ゴウカライズ編集部
    5 April, 2026

    前回(第5回)は、母関数に $${x = 1}$$ を代入するだけで「すべての係数の和(場合の数の総数)」が求まることを学びました。

    今回は代入する値を $${1}$$ から $${-1}$$ に変えます。たったこれだけの変更で、多項式の中から「偶数次の係数」と「奇数次の係数」を完璧に分離できるようになります。難関大の入試でこの操作が使えると、数行で片が付く問題が少なくありません。

    母関数マスター講座の全体像、シラバスは以下の記事でご覧ください。

    https://note.com/goukalize/n/ne5f45c351ab2

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    https://line.me/R/ti/p/@965ezfgt?oat_content=url

    1. -1を代入すると何が起きるか

    母関数 $${f(x) = a_0 + a_1 x + a_2 x^2 + a_3 x^3 + \cdots + a_n x^n}$$ に $${x = -1}$$ を代入します。 $${(-1)}$$ の偶数乗は $${+1}$$ 、奇数乗は $${-1}$$ ですから、

    $$
    \begin{aligned}
    f(-1) = a_0 - a_1 + a_2 - a_3 + \cdots \tag{①}
    \end{aligned}
    $$

    ①を見ると、偶数次の係数( $${a_0, a_2, a_4, \dots}$$ )はプラスのまま、奇数次の係数( $${a_1, a_3, a_5, \dots}$$ )はマイナスに符号が反転して足し合わされています。この「符号が交互に入れ替わる和」を交代和と呼びます。

    2. 偶数次と奇数次を完全分離する

    前回の結果 $${f(1) = a_0 + a_1 + a_2 + \cdots}$$ と今回の $${f(-1)}$$ を並べてみましょう。

    $$
    \begin{aligned}
    f(1) &= (a_0 + a_2 + a_4 + \cdots) + (a_1 + a_3 + a_5 + \cdots) \tag{②}
    \end{aligned}
    $$

    $$
    \begin{aligned}
    f(-1) &= (a_0 + a_2 + a_4 + \cdots) - (a_1 + a_3 + a_5 + \cdots) \tag{③}
    \end{aligned}
    $$

    偶数次の係数の和を $${S_{\text{偶}}}$$ 、奇数次の係数の和を $${S_{\text{奇}}}$$ と書くと、②③は連立方程式になっています。足し引きすれば即座に解けます。

    $$
    \begin{aligned}
    S_{\text{偶}} = \frac{f(1) + f(-1)}{2} \tag{④}
    \end{aligned}
    $$

    $$
    \begin{aligned}
    S_{\text{奇}} = \frac{f(1) - f(-1)}{2} \tag{⑤}
    \end{aligned}
    $$

    ④⑤が偶奇分離の公式です。多項式を展開する必要は一切なく、 $${f(1)}$$ と $${f(-1)}$$ の2つの数値を計算するだけで偶数次の和と奇数次の和が確定します。

    3. 二項係数で確認する

    $${f(x) = (1+x)^n}$$ で試してみましょう。 $${f(1) = 2^n}$$ は前回の結果です。一方、

    $$
    \begin{aligned}
    f(-1) = (1 + (-1))^n = 0^n = 0 \quad (n \geq 1) \tag{⑥}
    \end{aligned}
    $$

    ⑥を④⑤に代入します。

    $$
    \begin{aligned}
    S_{\text{偶}} &= \frac{2^n + 0}{2} = 2^{n-1} \tag{⑦}
    \end{aligned}
    $$

    $$
    \begin{aligned}
    S_{\text{奇}} &= \frac{2^n - 0}{2} = 2^{n-1} \tag{⑧}
    \end{aligned}
    $$

    ⑦⑧より、 $${n}$$ 個の中から偶数個を選ぶ組み合わせの総数と、奇数個を選ぶ組み合わせの総数はどちらもぴったり $${2^{n-1}}$$ です。展開も場合分けも一切なし。代入だけでこの結果が出るところに、母関数の威力が凝縮されています。

    まとめ

    $${x = 1}$$ で総和、 $${x = -1}$$ で交代和。この2つを足し引きするだけで「偶数次の和」と「奇数次の和」が完全に分離できます。この偶奇分離は、第17回で登場する「複素数の代入」を使った「3の倍数番目の分離」への入り口でもあります。

    次回、第7回では「 $${x + y \leq n}$$ 」のような不等式条件を母関数で処理するための「ダミー変数の導入」を解説します。


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