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【獣医学部 面接・小論対策】 獣医学部で研究するとはどういうことか――臨床だけが獣医学ではない

    ゴウカライズ編集部
    2 July, 2026

    獣医学部に入る理由として「動物を治したい」はよく聞きます。しかし獣医学部には研究という、もうひとつの大きな柱があります。基礎研究から応用研究まで、獣医学部の研究室で何が行われているのかを知ることは、進路選択の幅を広げます。

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    テーマの概要

    獣医学部には臨床系の研究室だけでなく、解剖学、生理学、微生物学、寄生虫学、病理学、薬理学、公衆衛生学、野生動物学など多様な研究室があります。卒業研究は6年制カリキュラムの必修であり、すべての学生が研究に取り組みます。研究を通じて身につける、問いを立て、検証し、結論を導く能力は、臨床に進む場合にも役立つ基盤的な力です。

    テーマの基礎知識

    重要語句

    基礎獣医学研究 :動物の体の仕組みや病気のメカニズムを解明する研究。解剖学、生理学、生化学、薬理学、病理学、微生物学、寄生虫学、免疫学、分子生物学などが含まれる。直接的な臨床応用を目的とせず、知識の基盤を築く研究。

    応用獣医学研究 :基礎研究の知見を実際の問題解決に応用する研究。ワクチン開発、診断法の改良、薬剤耐性対策、疫学調査、食品安全の改善などが含まれる。

    トランスレーショナルリサーチ :基礎研究の成果を臨床や社会に橋渡しする研究。獣医学では、動物の疾患モデルを用いた人間の疾病研究(比較医学)がその代表例。犬のがんや犬の認知機能障害の研究が、人間の医療に貢献している。

    卒業研究(卒業論文) :獣医学部6年制課程で必修とされる研究活動。通常、4〜5年次から研究室に配属され、指導教員のもとで研究テーマに取り組む。研究計画の立案、実験の実施、データ解析、論文執筆の一連のプロセスを経験する。

    大学院(博士課程) :獣医学部卒業後にさらに研究を深めるための課程。獣医学の大学院は博士課程(4年間)が基本。博士号(獣医学博士)を取得し、大学教員、研究機関の研究員、企業の研究職などのキャリアにつながる。

    事実・論点・背景

    獣医学部の研究の実態

    獣医学部の研究室は、大きく分けて基礎系、病態系、臨床系、応用系に分類されます。

    基礎系には、動物の体の構造を調べる解剖学、機能を調べる生理学、細胞や分子レベルのメカニズムを調べる生化学や分子生物学があります。病態系には、病気の原因を調べる病理学、微生物学、寄生虫学、薬の作用を調べる薬理学があります。臨床系には、内科学、外科学、繁殖学、画像診断学などがあります。応用系には、公衆衛生学、食品衛生学、疫学、野生動物学などがあります。

    研究のテーマは多岐にわたります。たとえば、新興感染症の病原体の性状解析、家畜のワクチン開発、がん細胞の増殖メカニズムの解明、野生動物の個体群動態の調査、食品中の残留物質の検出法の開発などです。

    なぜ獣医学部で研究が重要なのか

    獣医学は応用科学です。臨床で使われる診断法や治療法のほぼすべてが、誰かの研究の成果です。研究がなければ新しいワクチンは開発されず、新しい治療法も生まれません。臨床獣医師を目指す学生にとっても、研究の方法論を理解しておくことは、新しい知見を正しく評価し、臨床に取り入れるために必要です。

    また、獣医学部の研究には「比較医学」という独自の強みがあります。動物の自然発生疾患(犬のがん、猫の腎臓病、犬の認知機能障害など)は、人間の類似疾患のモデルとして研究に活用されています。実験的に作られた疾患モデルではなく、自然に発生した疾患を研究できることが、獣医学部の研究の大きな特徴です。

    主な論点

    研究者の不足 :獣医学部の卒業生の多くは臨床に進み、研究者を目指す学生は少数派です。大学の研究室の教員ポストは限られており、博士課程修了後のキャリアパスの不透明さが研究者志望を減らしている一因です。

    研究と臨床の両立 :臨床獣医師として働きながら研究を続ける「臨床研究者」のキャリアパスは、日本ではまだ整備が進んでいません。人間の医療では臨床研修と研究を組み合わせたキャリアパスがありますが、獣医療では個人の努力に依存しています。

    研究倫理 :動物を用いた研究には倫理的な配慮が必要です。大学の動物実験委員会による審査、3Rの原則の遵守、動物実験に関する法令の遵守が求められます。研究データの捏造や改ざんの防止も重要な課題です。

    複数の視点から見る

    動物愛護・福祉の立場から

    研究のために動物を使用することについては倫理的な議論があります。3Rの原則(代替、削減、苦痛軽減)を徹底しつつ、動物実験でしか得られない知見がある場合には、適切な手続きのもとで実施するというバランスが求められます。研究の成果が最終的に動物の福祉向上に貢献することも多いです。

    公衆衛生・農業経済の立場から

    獣医学研究は社会の安全と産業を支えています。家畜のワクチン開発は畜産業の経済的損失を防ぎ、食品衛生の研究は消費者の健康を守ります。新興感染症の研究はパンデミックへの備えにつながります。

    獣医師として求められる立場

    産業動物獣医師として :現場の課題を研究につなげ、研究の成果を現場に還元する橋渡し役が求められます。農場で得た臨床データを疫学研究に活用するケースもあります。

    行政獣医師として :政策立案の基盤となる科学的データの収集と分析に、研究の方法論が必要です。リスク評価やサーベイランスの設計にも研究的思考が活きます。

    野生動物・環境分野として :野生動物の生態調査、保全遺伝学、環境汚染物質の影響評価など、フィールドワークと実験室での分析を組み合わせた研究が行われています。

    公衆衛生・研究分野として :大学や研究機関での研究が本務です。博士号を取得し、教育と研究を両立させるキャリアパスです。企業の研究開発部門で製薬や診断キットの開発に関わる道もあります。

    求められるスタンス :研究か臨床かという二者択一ではなく、両方の視点を持つことが重要です。臨床に進む場合でも、論文を読んで新しい知見を評価する力は研究で培われます。研究に進む場合でも、臨床の現場感覚は研究テーマの設定に役立ちます。

    面接・小論文で問われたら

    獣医学部での研究に関連して、次のような質問が問われやすいです。

    • 獣医学部で興味のある研究分野
    • 研究と臨床の違い
    • 比較医学とは何か
    • 獣医学研究の社会的意義
    • 動物実験の倫理
    • 大学院に進学する意義

    ここでは代表的な2問について、回答の骨子と解説を示します。

    獣医学部での研究に興味はあるか

    回答の骨子

    • 獣医学部には臨床だけでなく多様な研究分野がある
    • 自分が興味を持っている分野を具体的に挙げる
    • その分野に興味を持ったきっかけや理由を述べる
    • 研究を通じて身につく力(問いを立てる力、データを評価する力)の価値を理解している
    • 臨床に進む場合でも研究の経験が役立つことを認識している

    解説

    「臨床にしか興味がありません」と答えるのは避けた方がよいです。獣医学部は研究機関でもあり、卒業研究は必修です。研究への関心がゼロだと、6年間のカリキュラムへの理解が浅いと見られる可能性があります。具体的な分野を挙げて「この問題をもっと知りたい」と言えると、知的好奇心の広さが伝わります。

    比較医学とは何か

    回答の骨子

    • 動物の疾患を人間の疾患モデルとして研究する分野
    • 犬のがん、猫の腎臓病、犬の認知機能障害など自然発生疾患が対象
    • 実験的に作ったモデルではなく、自然に発生した疾患を研究できることが強み
    • 獣医学と医学の連携を促進する
    • One Healthの枠組みの中で、人と動物の健康を統合的に考える基盤になる

    解説

    比較医学は獣医学の独自の強みです。「動物の研究が人間の医療にも貢献する」という視点は、獣医学の社会的意義を広く捉えていることの証拠になります。犬のリンパ腫と人のリンパ腫の治療プロトコルの類似性、犬の認知機能障害とアルツハイマー型認知症の関連など、具体例を挙げると説得力が増します。


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    まとめ

    獣医学部で研究するとは、「問いを立て、検証し、結論を導く」プロセスを体験することです。臨床に進む学生にとっても、この経験は新しい治療法やエビデンスを正しく評価する力の土台になります。「動物を治したい」と「なぜそうなるのかを知りたい」は対立するものではなく、両方を持つことが獣医師としての幅を広げます。

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