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2027年度の医学部定員は減るのか? 臨時定員延長と全国上限10人減
文部科学省は2026年9月4日、地域枠や研究医枠のための医学部「臨時定員」制度を2027年度末まで1年間延長する改正を公表しました。
ただし、2026年度の枠が各大学でそのまま維持されるわけではありません。
また、「全国上限が10人減」というのは学則上の認可上限の話であり、2027年度の実際の募集定員が2026年度より10人減るという意味でもありません。
今回の改正では全国上限の数字が複数示されているため、数字を混同すると入試への影響を取り違える恐れがあります。
医学部受験生の家庭にとっては、制度の継続以上に、志望大学のどの選抜方式に何人が配分されるかが重要です。
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まず区別したい「9,410人・9,393人・9,376人」
- 9,410人 :各大学が学則上に定める定員等の全国上限。従来の9,420人から10人減。
- 9,393人 :2027年度の募集定員ベースの上限。2025年度の実数と同じで、最終定員ではない。
- 9,376人 :2026年度の全国の医学部定員。現在の実数であり、2027年度との単純な「10人減」の起点ではない。
9,410人と9,393人に17人の差があるのは、一部の大学が学則上の定員を変えず、実際の募集人員だけを減らしてきたためです。
文部科学省は、認可審査では学則上の定員合計を使うと説明しています。
ここで注意したいのは、 「上限9,410人は前年度より10人減」=「2027年度の募集定員は2026年度より10人減」ではない ことです。
厚生労働省が示す2026年度の全国定員は9,376人です。一方、政府は2027年度について、2025年度の9,393人から全体として削減する方針を示しています。
比較の起点が2026年度ではないため、2027年度の最終総数が9,376人を上回るか下回るかは、大学別の認可結果がそろうまで断定できません。
制度延長でも、各大学の地域枠は自動継続ではない
臨時定員は、恒久的な定員とは別に、地域医療を担う医師や研究医を確保するために期限付きで認める増員です。
今回延長されたのは、この 増員を認める仕組み です。
各大学の人数は、都道府県の医師偏在指標、恒久定員内に設けた地域枠、医師の年齢構成、地理的条件などを踏まえて査定されます。
文部科学省も、地域の実情や医師配置を確認する必要があるため、1年ごとに延長すると説明しています。
したがって、2026年度に20人の臨時定員があった大学であっても、2027年度に自動的に20人を確保できるわけではありません。
全国では適正化を進めつつ、必要性の高い地域・大学へ枠を組み替える移行期と見る方が正確です。
順天堂大学は2人増、新潟大学は「総数減・地域枠増」
大学別の公表を見ると、全国一律の削減ではないことが分かります。
順天堂大学:東京都地域枠を2人増やす予定
順天堂大学は、文部科学省の認可を受けた場合、2027年度の入学定員を139人とする予定です。内訳は恒久定員105人、臨時定員34人です。
東京都地域枠を6人から8人へ増やし、臨時定員全体も2人増となります。
ただし、9月4日時点では認可申請予定の段階であり、募集人員や入試内容に変更の可能性があります。
新潟大学:総定員は8人減る一方、地域枠は2人増える予定
新潟大学は、認可された場合、2027年度の募集人員を132人とします。
2026年度は一般選抜80人、学校推薦型選抜60人の計140人でしたが、2027年度は一般選抜70人、推薦62人へ変更される予定です。
つまり、次の3つが同時に起きます。
- 総募集人員:140人から132人へ 8人減
- 一般選抜:80人から70人へ 10人減
- 地域枠:40人から42人へ 2人増
新潟県の資料では、地域枠42人のうち32人が臨時定員、10人が恒久定員内の地域枠です。
新潟大学が公表した「一般選抜10人を推薦の地域枠へ移す」という変更と合わせると、臨時定員を縮小しながら、恒久定員の中へ地域枠を移す動きが見て取れます。
これは受験生側にとって重要です。
大学全体の定員だけを見ていると、一般選抜が10人減る影響を見落とします。
なお、新潟県全体では新潟大学と日本大学を各2人増やし、富山大学に2人を新設することで県関連の地域枠を77人から83人へ増やす方向です。
全国で臨時定員の適正化が進む中でも、自治体単位では地域枠が増える場合もあります。
保護者が確認すべき4項目
1.総定員ではなく、選抜方式別の人数
一般選抜、共通テスト利用、推薦・総合型、地域枠を分けて前年と比較します。
総定員自体は同じであっても、推薦や地域枠への移管によって一般枠が減ることもあります。
2.数字が「予定」か「確定」か
大学公式サイトに掲載された数字でも、「申請予定」「申請中」「認可された場合」と書かれていれば未確定です。
更新日と、最終的な学生募集要項への反映を確認する必要があります。
3.前年倍率の分母
募集人員が変わった大学では、前年倍率の数字だけを横並びにしても意味が薄れます。
前年の志願者数を新しい募集人員で割り、定員変更だけを反映した倍率も見ておくと、影響を把握しやすくなります。
4.地域枠の勤務条件
地域枠を検討する場合は、人数や学費支援の確認だけでは足りません。出願資格、修学資金の貸与主体、義務年限、指定勤務地域、診療科指定、離脱時の返還条件まで大学・自治体の資料で確認すべきです。
同じ県の地域枠でも、大学や連携市町村によって条件が異なります。
2027年度は「制度維持」ではなく「枠の組み替え」を見る
2027年度の臨時定員制度は延長されましたが、これは現状維持の決定ではありません。
全国上限は見直され、臨時定員を減らしながら恒久定員内へ地域枠を移す大学や、特定の地域枠を増やす大学が出ています。
2027年度受験生が追うべきなのは、全国総数の見出しよりも、志望大学についての次の差分です。
総定員/一般選抜/推薦・総合型/地域枠/認可状況
特に一般選抜の人数が減る大学では、前年の合格最低点や倍率をそのまま当てはめず、募集人員の変更を前提に出願戦略を組み直す必要があります。
2028年度以降は、地域の実情を考慮しながら医学部定員の削減に取り組む方針が示されており、具体的な配分は今後の検討事項です。
2027年度は、その移行過程として大学別の変更を追う年になります。
よくある質問
2027年度の医学部定員は、全国で10人減るのですか
現時点ではそう断定できません。10人減るのは学則上の認可上限で、9,420人から9,410人への変更です。
2026年度の実際の全国定員は9,376人であり、2027年度の最終総数は大学別の認可結果が出るまで確定しません。
2026年度の地域枠は、そのまま2027年度も残りますか
自動的には残りません。制度そのものは延長されますが、大学・自治体ごとの人数は毎年度査定されます。
地域枠が増える大学では、一般選抜も受かりやすくなりますか
必ずしもそうではありません。新潟大学のように、地域枠は増える一方で一般選抜が減るケースもあります。
選抜方式別の募集人員を確認する必要があります。
参考資料
- 文部科学省/e-Gov「令和9年度医学部定員増に係る省令等の一部改正について」
- 文部科学省/e-Gov「御意見の募集の結果について」
- 厚生労働省「医師の確保・偏在対策における医学部臨時定員の方針について」
- 順天堂大学「2027年度(令和9年度)医学部入学定員について」
- 新潟大学医学部医学科「入試情報」
- 新潟県「令和9年度の大学医学部地域枠等の設定に向けた調整を行っています」
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