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【母関数マスター講座 第19回】約数と指標関数の乗法性〜素因数ごとに独立に分解する〜
前回(第18回)は、1の $${m}$$ 乗根フィルターの一般論を完成させました。
今回は、整数論の核心である「約数」と母関数の接点を探ります。素因数分解という「掛け算の構造」を「足し算の分解」に翻訳する「指標関数の乗法性」は、次回以降の東大レベルの問題を解く上で欠かせない考え方です。
母関数マスター講座の全体像、シラバスは以下の記事でご覧ください。
https://note.com/goukalize/n/ne5f45c351ab2
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1. 約数の個数を母関数で表す
第1回で「360の約数の総和」を扱いましたが、今回はそれを一般化します。正の整数 $${n}$$ の素因数分解を $${n = p_1^{a_1} p_2^{a_2} \cdots p_r^{a_r}}$$ とします。
$${n}$$ の約数とは、各素数 $${p_i}$$ から $${0}$$ 個以上 $${a_i}$$ 個以下を選んで掛け合わせたものです。これは母関数の「各カッコから1つ選んで掛ける」という基本構造そのものです。
約数の個数を数えるなら、各素数について「選び方が $${a_i + 1}$$ 通りある」ことを掛け合わせるだけです。
$$
\begin{aligned}
d(n) = (a_1 + 1)(a_2 + 1) \cdots (a_r + 1) \tag{①}
\end{aligned}
$$
2. 約数の性質を母関数でフィルターする
今度は「約数の個数」ではなく「特定の条件を満たす約数の個数」を数えたいとします。例えば「3で割って1余る約数の個数」です。
ここで、第17回・第18回の剰余フィルターが威力を発揮します。各素数 $${p}$$ のべき乗 $${p^j}$$ が3で割ってどんな余りになるかは、 $${p}$$ を3で割った余りだけで決まります。
- $${p \equiv 1 \pmod{3}}$$ のとき:すべてのべき乗 $${p^j \equiv 1 \pmod{3}}$$
- $${p \equiv 2 \pmod{3}}$$ のとき: $${p^j \equiv (-1)^j \pmod{3}}$$ 、つまり偶数乗なら余り1、奇数乗なら余り2
- $${p = 3}$$ のとき: $${3^j \equiv 0 \pmod{3}}$$ ( $${j \geq 1}$$ )
3. 何が乗法的に分解するのか
ここで慎重に整理しておく必要があります。 $${f(n)}$$ や $${g(n)}$$ 自体は、「素因数ごとの単純な積」には分解できません。
たとえば $${n = 10 = 2 \times 5}$$ では、2の約数は $${1, 2}$$ (余りが1と2)、5の約数は $${1, 5}$$ (余りが1と2)と各素因数では1個ずつです。しかし $${10}$$ の約数は $${1, 2, 5, 10}$$ であり、余り1のものは $${1, 10}$$ の2個、余り2のものは $${2, 5}$$ の2個です。 $${f(10) = g(10) = 2}$$ ですが、これは各素数の個数を掛けた $${1 \times 1 = 1}$$ にはなりません。
乗法的に分解できるのは **差 $${f(n) - g(n)}$$ ** です。各約数 $${d}$$ に対して指標関数を
$$
\begin{aligned}
\chi(d) = \begin{cases} 1 & (d \equiv 1 \pmod{3}) \ -1 & (d \equiv 2 \pmod{3}) \ 0 & (d \equiv 0 \pmod{3}) \end{cases}
\end{aligned}
$$
と定義すると、 $${f(n) - g(n) = \displaystyle \sum_{d \mid n} \chi(d)}$$ と書けます。 $${\chi}$$ は完全乗法的( $${\chi(ab) = \chi(a)\chi(b)}$$ )なので、この和は素因数ごとに積に分解できます。
$$
\begin{aligned}
f(n) - g(n) = \prod_{p^a \| n} \left( \sum_{j=0}^{a} \chi(p^j) \right) \tag{②}
\end{aligned}
$$
②の各因子は、素数 $${p}$$ の3での余りによって次のようになります。
- $${p \equiv 1 \pmod{3}}$$ のとき: $${\displaystyle \sum_{j=0}^{a} 1 = a+1}$$
- $${p \equiv 2 \pmod{3}}$$ のとき: $${\displaystyle \sum_{j=0}^{a} (-1)^j}$$ は $${a}$$ が偶数なら $${1}$$ 、奇数なら $${0}$$
- $${p = 3}$$ のとき: $${\chi(1) = 1}$$ のみ残り $${1}$$
この差 $${f(n) - g(n)}$$ と、3と互いに素な約数の個数( $${= f(n) + g(n)}$$ 、3の因子がない場合は $${d(n)}$$ )の2つを組み合わせると、 $${f(n)}$$ と $${g(n)}$$ を個別に求められます。
4. 具体例:2800の約数の分類
$${2800 = 2^4 \times 5^2 \times 7}$$ で確認しましょう。2800は3の倍数でないため $${h = 0}$$ 、全約数は3と互いに素です。
②の乗法性を使って $${f(2800) - g(2800)}$$ を計算します。
- $${2 \equiv 2 \pmod{3}}$$ 、指数4(偶数)→ 寄与は $${1}$$
- $${5 \equiv 2 \pmod{3}}$$ 、指数2(偶数)→ 寄与は $${1}$$
- $${7 \equiv 1 \pmod{3}}$$ 、指数1 → 寄与は $${1+1 = 2}$$
$$
\begin{aligned}
f(2800) - g(2800) = 1 \times 1 \times 2 = 2 \tag{③}
\end{aligned}
$$
約数の総数は $${d(2800) = 5 \times 3 \times 2 = 30}$$ ですから $${f(2800) + g(2800) = 30}$$ 。③と連立して、
$$
\begin{aligned}
f(2800) = 16, \quad g(2800) = 14 \tag{④}
\end{aligned}
$$
なお、④と同じ結果は「約数 $${d = 2^a \times 5^b \times 7^c}$$ の余りは $${(-1)^{a+b} \pmod 3}$$ だから $${a+b}$$ の偶奇を直接数える」という追跡でも出ます。②の乗法性は、その追跡が素因数ごとに独立にできるという事実を一般的な形で保証しているのです。この考え方が第21回で扱う東大2026年の問題の核心になります。
まとめ
約数を余りで分類する問題で乗法的に分解できるのは、 $${f(n)}$$ や $${g(n)}$$ 自体ではなく、指標関数 $${\chi}$$ を使った差 $${f(n) - g(n)}$$ です。この量が素因数ごとの積に分解し、約数の総数と組み合わせることで $${f(n)}$$ と $${g(n)}$$ を個別に決定できます。素因数分解の「掛け算の構造」が、 $${\chi}$$ の乗法性を通じて差の計算に降りてくる。これが「局所因子の積」という発想の核心です。
次回、第20回では合同式(mod)と母関数の融合をさらに進め、二項係数 $${{}_{2015}\mathrm{C}_m}$$ の偶奇(mod 2での振る舞い)を分析します。
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