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受験情報

麻布大学学校推薦型選抜 小論文対策② 2022を題材に
麻布大学獣医学部を目指す受験生の皆さん、こんにちは!
小論文対策、進んでいますか? 今回は、より実践的で、獣医師としての専門性が問われる問題を取り上げます。
2022年度に出題されたのは、「災害時のペット対策」という、近年ますます重要性が高まっているテーマです。この記事を通して、単なる一般論に留まらない、「獣医師ならではの視点」を答案に盛り込む方法を学びましょう。
2022年度 獣医学科 小論文問題
実際の入試問題はこちらです。
下記は、地震など災害時におけるペットの飼い主への心構えについて書かれた新聞記事である。これを読み、設問に答えなさい。
西日本豪雨や北海道を襲った地震など各地で災害が相次ぐなか、環境省はペットの飼い主向けの災害対策ガイドライン「災害、あなたとペットは大丈夫?」を作成し、13日、公表した。ペットを守るためには一緒に避難する「同行避難」が重要だとし、しつけなど普段からの適切な飼育や、ベット用の避難用品の準備といった備えが有効だとして実践を呼びかける。
ガイドラインは同行避難などに備えた事前の対策として、持ち運び用のケージを準備して慣れさせておくことや、決めた場所での排泄などのしつけ、ワクチンの接種などを挙げている。
避難所にペットへの支援品が届かない場合もあることから、ペットフードやトイレ用品などベット用の避難用品の準備も薦める。 また、ベットとはぐれた場合に備え、マイクロチップの挿入や飼い主情報の登録も対策として挙げた。
また、避難所ごとに屋内でペットと一緒に過ごせる場合や、飼い主とは別に屋外飼育が求められる場合、ペット受け入れ不可など、ルールが異なる。 過去の災害で、避難所がベット受け入れ不可だったため、飼い主がペットと屋外で過ごしたケースがあったといい、事前に避難所の情報を集めておくことが重要だとしている。
災害発生時には、準備した避難用品をもって避難所に向かう。 避難所でどうしてもペットを車の中に残さないといけない場合は、車内の温度に注意し、十分な飲み水を用意することを求めている。
(2018年9月14日付け 朝日新聞デジタル「災害時、ペットどうする? 同行避難、指針で呼びかけ」より一部修正して引用)
問 あなたが獣医師となり、この記事に加えて獣医師としてのアドバイスを入れるなら、どのようなことを述べたいと思いますか。800字以内で記述しなさい。
問題のポイント解説
この問題の核心は、設問にある**「この記事に加えて」と「獣医師として」**という2つのフレーズです。
つまり、新聞記事の内容を理解した上で、それを繰り返すのではなく、獣医師という専門家の立場から、どのような付加価値のある情報を提供できるかが問われています。
- ポイント1:記事内容の正確な把握 まず、記事で挙げられている対策(①同行避難の原則、②平時の備え:ケージ、しつけ、ワクチン、避難用品、マイクロチップ、③避難所の事前確認)をしっかりと押さえましょう。これらはアドバイスの「土台」となります。
- ポイント2:「獣医師ならでは」の視点を意識する 「獣医師だからこそ気づけること、アドバイスできること」は何でしょうか?それは、より専門的な**「医療」「公衆衛生」「動物の福祉(ストレスケア)」**の視点です。一般の飼い主目線のアドバイス(例:頑張って準備しましょう)では評価されません。
- ポイント3:アドバイスの具体性 「健康管理に注意する」だけでは不十分です。「なぜ注意が必要なのか」「具体的に何をすべきか」をセットで述べましょう。例えば、「持病を持つ動物は、災害によるストレスで症状が悪化しやすいため、具体的な薬の名前や投与量がわかる『お薬手帳』と、最低でも2週間分の薬を準備しておくべきです」というように、具体的に記述することが重要です。
では、これらのポイントを踏まえて、答案例を見ていきましょう。
ダメな答案例(どこがダメか考えながら読んでみよう!)
災害時にペットと一緒に避難する「同行避難」はとても重要だと思います。獣医師として、私も飼い主さんたちにこの記事の内容を伝えたいです。
まず、普段からケージに慣れさせておくことが大切です。ワクチン接種やマイクロチップの装着も、法律で決まったことなので必ずやるべきです。また、避難所では他の人に迷惑をかけないように、トイレのしつけをしっかりしておく必要があります。ペットフードや水も多めに準備しておくと安心です。獣医師としては、特にペットの健康が心配なので、飼い主さんにはペットの様子をよく観察するようにアドバイスします。災害はペットにとっても大きなストレスなので、優しく声をかけてあげることが大切だと思います。獣医師として、災害時でも動物の命を守れるように全力を尽くしたいです。
【ダメなポイント】
- **記事の要約に終始】:**書かれている内容のほとんどが、課題文の繰り返しです。「この記事に加えて」という設問の要求に応えられていません。
- 「獣医師として」の視点が欠如】:「様子をよく観察する」「優しく声をかける」といったアドバイスは、専門家でなくても言える一般論です。獣医学的な知見が全く見られません。
- 具体性に欠ける】:「健康が心配」と述べるだけで、具体的にどのような健康リスクがあり、どう備えるべきかについて踏み込んでいません。
良い答案例(専門性と具体性に注目!)
この記事で示されている同行避難の重要性と平時からの備えは、ペットを守るための基本であり、私も獣医師としてその周知徹底に努めたい。その上で、獣医師の立場から、特に「医療」「公衆衛生」「動物のストレスケア」の3つの観点で、より専門的なアドバイスを加えたい。
第一に、医療的な備えの具体化だ。特に心臓病や腎臓病、てんかん等の慢性疾患を持つ動物にとって、災害時の環境変化やストレスは症状を急激に悪化させる危険がある。そのため、飼い主には日頃から、かかりつけ医に依頼して薬や療法食を最低でも2週間分は確保しておくこと、そして薬の名称・用量・用法を記した「ペットのお薬手帳」や、診断の根拠となる検査データのコピーを準備しておくことを強く推奨する。これにより、避難先でかかりつけ医と連絡が取れなくても、現地の獣医師がスムーズに治療を引き継ぐことが可能となる。第二に、避難所における公衆衛生の視点だ。多くの人や動物が密集する環境では、人獣共通感染症(ズーノーシス)の発生リスクが高まる。獣医師として、ノミ・ダニの定期的な駆除や消化管内寄生虫の駆虫を平時から徹底するよう指導する。さらに、避難所では動物の排泄物を速やかに密閉して処理する方法や、動物を触った後の手指の洗浄・消毒の重要性を啓発し、動物由来の感染症からコミュニティ全体を守る役割を担うべきだ。最後に、見過ごされがちな動物の精神的ストレスへのケアである。災害時の非日常的な環境は動物に多大なストレスを与え、食欲不振や問題行動を引き起こす。普段から使い慣れたタオルやおもちゃを持参し、ケージに目隠しをかけてプライベートな空間を作るだけでも、動物の安心感は大きく異なる。獣医師として、こうした動物行動学に基づいた具体的なストレス軽減策を飼い主にアドバイスすることも、重要な使命だと考える。
【良いポイント】
- **明確な構成】:**冒頭で記事の内容を肯定した上で、これから述べるアドバイスを「医療」「公衆衛生」「ストレスケア」の3点に絞ると宣言しており、非常に論理的です。
- 獣医師としての専門性】:「慢性疾患の管理」「お薬手帳」「人獣共通感染症」「動物行動学」など、獣医学的な知見に基づいた具体的なキーワードが豊富に含まれています。
- **付加価値の高い提案】:**記事にはない「かかりつけ医以外が治療する事態」を想定したカルテの準備や、「避難所の集団生活」を前提とした公衆衛生の視点など、獣医師ならではの付加価値の高いアドバイスができています。
- 当事者意識】:「周知徹底に努めたい」「役割を担うべきだ」など、獣医師としての強い責任感と当事者意識が感じられます。
まとめ
2022年度の問題は、課題文を正しく理解する読解力はもちろんのこと、その上で**「あなたなら、専門家として何を付け加えますか?」**という、思考力と専門性が試される良問でした。
合格答案を書くためには、
- 課題文の要点を押さえる
- 「獣医師だからこそ言えること」は何かを考える
- そのアドバイスを、具体的かつ論理的に説明する
というステップを常に意識することが大切です。 日頃から、獣医師が社会でどのような役割を果たしているのか、多角的な視点でニュースを見て、考える癖をつけておきましょう。応援しています!
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