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河野玄斗『マスターキー』はなぜ"未完成"と感じるか?【辛口参考書レビュー】

4 November, 2025

こんにちは。数学の予備校講師であり、数学の参考書知識にかけては自称日本一、ゴウカライズ代表の大北あきやです。

今回も、注目の参考書をプロの視点で辛口レビューしていきます。取り上げるのは、あの大ヒットメーカー、河野玄斗氏が手がけたこちらの一冊です。

『マスターキー 数学I・A・II・B+ベクトル: 河野玄斗が当たり前にやっていた基礎の徹底ができる問題集』

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2025年10月に出たばかりの新作です。 先に結論から申し上げますと、「試みは非常に良いのですが、全体として完成度が低い」 という印象でした。

なぜこの段階で出版されたのか、少し疑問が残ります。 本日はその理由を詳しく解説し、最後に10点満点の辛口オススメ度と、本書の具体的な使い方についても言及します。


『マスターキー』とはどのような参考書か

まず、本書の特徴を整理しましょう。

著者: 東大医学部出身で多方面でご活躍の、河野玄斗氏です。

対象範囲: タイトル通り「I・A・II・B + ベクトル」です。ベクトル以外の数III・Cの内容は含まれていません。

構成:

前半: 157個の「パターン」が掲載されています(うち91個に例題付き)。

後半: 80題の「演習問題」があり、前半のパターンを組み合わせて解く形式です。

解説: 全体的に解説はしっかりしている印象です。

最大の特徴: 本書の画期的な点は、前半のパターンのタイトルが「問題のテーマ(例:二次関数、三角比)」ではなく、「定石(思考法)」 になっている点です。「方程式1つにつき文字は1つ消せる」といった具合ですね。

類書: この形式は、既存の出版社から出ている本では意外と類書がありません。強いて言えば、鉄緑会の内部教材などが近いかもしれません。

この「定石の言語化」という試み自体は、非常に素晴らしいと思います。 しかし、全体を通してみると、かなり改善の余地があると感じました。

評価できる点(良い点)

もちろん、批判ばかりではありません。まずは評価できるポイントから見ていきましょう。

レイアウト: デザインが整理されており、見やすいレイアウトです。

良質なパターン: 「68, 73, 91」など、受験生が盲点にしがちな部分を的確に言語化している、優れたパターンも一部含まれています。

「総整理」の項目: 掲載数は少ないものの、「総整理」としてまとめられている項目は、他の参考書と比較しても完成度が高いと感じました。

演習問題の解説: 後半の演習問題は、解説が比較的詳しいです。

購入前に知るべき「気を付けるべき点」

ここからが本題です。 なぜ私が「完成度が低い」と評価するのか、その具体的な理由をご説明します。

① 157個のパターンの「質」に疑問符
本書の核であるはずの「パターン」の作り込みに、最も大きな疑問が残りました。

「どの文字が変数か考える」といった、抽象的で汎用性があるもの。

その一方で、特定の問題でしか使えないような、具体的すぎるもの(まるでチャート式の例題のポイントをそのまま書き出したようなもの)。

これらが整理されないまま、雑多に並べられている印象を受けます。

② 網羅性に乏しい
上記①の結果として、パターンの数や解像度(細かさ)が中途半端になり、網羅性はかなり乏しいです。 「チャート式などの網羅系と併用する」という前提だとしても、それにしては本書のパターンのクオリティが低いと言わざるを得ません。

③ 92以降のパターンの扱いが不明
91までは例題が付いていますが、92以降はパターン(定石)のタイトルだけが並んでいます。 これが例えば「発展的なものだけ」という基準なら理解できるのですが、そういう訳でもありません。 まるで、本を粗方作り終えた後で、忘れていたものを付け足したかのように見えてしまいます。

例えば「確率漸化式」は、90, 91と156, 157に分離して掲載されています。これはもっとうまくまとめられたはずです。編集体制を疑うほど、一貫性がありません。

④ 「総整理」が少ない・パターン化からの「逃げ」
「総整理」の項目は質が高いと述べましたが、なぜか全単元にはなく、数えるほどしかありません。

「演習問題3」などは、むしろ「パターン化」すべき良問です。しかし、本書では「上手く言い換えよ」という抽象的な記述で済まされています。

パターン化すべき良質なテーマをパターン化できておらず、困ったら抽象的なパターンに逃げている箇所が目立ちます。

⑤ 解法を一つに限定する有害性
数学の問題には、複数のアプローチ(解法)が存在することが多々あります。 しかし本書は、限定すべきものではないところで「〇〇を疑え」のように、アプローチを一つに限定するような記述が見られます。これは受験生にとって有害になる可能性があります。 複数の解法を提示し、それらを整理するスタイルが望ましかったです。

⑥ 「なぜ」の部分がほぼない
受験生が最も知りたいはずの「なぜ、そのパターン(定石)を使うのか?」という理由・背景の部分は、残念ながらほとんど説明されていません。

⑦ 演習問題のレベル差が激しい
演習問題は、簡単なものから、東大・一橋のやや難レベルまで、レベルの差が激しすぎます。 80題という問題数であれば、もう少しレベルを均一に揃えるべきだったのではないでしょうか。 また、「42」のように、前半のパターンを意識しても思いつくのが困難な解法もあり、選問自体にも疑問が残ります。

レベル・対象・ルート

以上の点を踏まえ、本書のスペックを整理します。

問題のレベル: 1.5~9.0

パターンの中には入試問題の簡単レベルのものから、演習問題には東大レベルまで含まれる。

おすすめの対象者:

◎ 河野玄斗氏の熱心なファンの方

◎ 河合塾全統模試で偏差値50程度で、これから難関大学を目指したい生徒さん

学習ルート:

教科書レベルのインプット系問題集や、網羅系参考書(チャート式など)を一通り終えた生徒さん向けです。

総評とオススメ度

それでは、総評です。

ゴウカライズ代表・大北あきやによる『マスターキー』のオススメ度は……

5.2点 / 10点中

です。

「定石を言語化する」という試み、コンセプトは本当に素晴らしいと思いました。 ですが、その素晴らしい試みを、全体の完成度の低さが台無しにしてしまっているのが非常に残念です。

おそらく、ページ数や納期といった制作上の都合があったのではないかと推察します。 これであれば、パターンの数を増やして徹底的に整理・分類し、「パターン編」と「演習編」の2冊構成にしたほうが、はるかに良い参考書になったはずです。

どこかのタイミングで、構成を根本から見直した「完成度の高い改訂版」が出版されることを期待します。

現状では、ここまで述べてきた「完成度の低さ」をすべて受け入れた上で、うまく利用するのであれば、選択肢として「ナシ」ではない、という評価になります。

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