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【医学部MMI対策講座 第5回】治療を拒否する患者さん、どう向き合う?~患者の自己決定権と傾聴の姿勢~

4 November, 2025

医学部受験生の皆さん、こんにちは!ゴウカライズメディカルです。

5回目となるMMI対策講座、今回のテーマは**「治療の拒否」**です。医師として、明らかに医学的な利益がある治療法を患者さんが拒否したとき、あなたはどうしますか?「命を救いたい」という医師の熱意と、「自分の生き方は自分で決める」という患者さんの権利。この2つが衝突するこの場面では、あなたの医療に対する根本的な姿勢が問われます。


【今回の課題】

あなたは、ある総合病院の外来で担当医をしています。一人暮らしの75歳の患者さんが、検査の結果、手術で根治が見込める早期の肺がんであることが判明しました。体力的に手術は十分に可能で、成功すれば健康な生活に戻れる可能性が非常に高いです。あなたがその治療方針を説明したところ、患者さんは静かにこう言いました。 「先生、ありがとうございます。でも、手術は受けません。もういい歳ですし、子どもたちに迷惑もかけたくありません。このまま、自然に任せたいのです」あなたはこの患者さんに、どのように対応しますか?


MMI思考のフレームワークで考える


この課題では、ただ患者を「説得」しようとする姿勢は評価されません。重要なのは、患者さんの意思を尊重しつつ、最善の道筋を「共に探す」というパートナーシップの姿勢です。

1. 倫理原則の再確認

まず、この状況で最も優先されるべき倫理原則を理解します。

  • 患者の自己決定権(オートノミー): 判断能力のある成人患者には、たとえその結果が死につながるとしても、医療行為を受け入れるか拒否するかを自分で決定する権利があります。これは医療倫理における絶対的な原則です。
  • インフォームド・コンセント: 患者さんの決定が真に尊重されるためには、その決定が「十分な情報提供と理解に基づいている」必要があります。医師の役割は、このプロセスを確実にすることです。

2. 「なぜ?」の背景を探る

患者さんの「手術は受けません」という言葉は、結論であると同時に、様々な感情や思考が凝縮された氷山の一角です。優れた医師は、その水面下にあるものを見ようとします。

  • 「子どもたちに迷惑をかけたくない」: 手術費用への心配か?術後の介護の負担を懸念しているのか?そもそも子どもたちとの関係性は?
  • 「もういい歳ですし」: 手術の体力的な負担への不安か?「高齢者はもう長く生きるべきではない」といった諦めの気持ちがあるのか?
  • 「自然に任せたい」: 「自然」とは何を指すのか?手術という人為的な介入への抵抗感か?がんと共に穏やかに最期を迎えたいという死生観の表れか?

これらの背景を理解せずに行う「説得」は、単なる医師の価値観の押し付けになってしまいます。


良い回答例・悪い回答例


では、これらの分析を踏まえた回答例を見ていきましょう。


悪い回答例 👎


「患者さんの命が助かる可能性が非常に高いので、諦めずに説得します。『手術は成功しますし、まだまだ元気に長生きできますよ!ご家族だってきっとそれを望んでいますよ』と手術のメリットを強く伝えます。ご家族にも連絡をとって、一緒に説得してもらうよう協力をお願いします。患者さんのためを思えばこそ、時には強く背中を押してあげるのが医師の役目だと思います。」

【評価】

  • 家父長主義(パターナリズム): 「医師が最善を知っている」という考えに基づき、患者さんの意思を軽視しています。
  • 自己決定権の侵害: 患者さんの明確な意思に反して家族を巻き込み、外堀を埋めるようなアプローチは、患者さんへの圧力となり、権利を侵害する行為です。
  • 共感の欠如: 患者さんが表明した不安や価値観に向き合わず、一方的に医師の意見を押し付けています。


良い回答例 👍


「まず、患者さんが勇気を出してご自身の意思を伝えてくださったことに対し、『そうお考えなのですね。大切なお気持ちを話してくださり、ありがとうございます』と伝え、そのお気持ちを真摯に受け止め、尊重する姿勢を示します。その上で、なぜそのようにお考えなのか、その背景を理解するために、時間をかけてお話をお伺いします。『もし差し支えなければ、”お子さんたちに迷惑をかけたくない”というお気持ちについて、もう少し詳しく教えていただけますか』といったように、オープンな質問を通じて、患者さんが抱える具体的なご不安、例えば費用面なのか、介護の負担なのか、それとも精神的なことなのかを、丁寧に紐解いていきます。患者さんのお考えを十分に理解した上で、改めて、治療に関する正確な情報を提供します。手術のメリットだけでなく、リスクや術後の生活について、そしてもし手術を受けなかった場合に今後どのような経過を辿る可能性があるのかを、分かりやすい言葉で客観的にお伝えします。これは、患者さんの考えを変えさせるためではなく、全ての情報を知った上で、ご自身が心から納得できる選択をしていただくためです。最終的な決定は、あくまで患者さんご自身に委ねられていることを強調し、『もしよろしければ、一度ソーシャルワーカーも交えて、費用のことや退院後のサポート体制について一緒に考えてみませんか』と提案するなど、患者さんが孤立せずに最善の選択ができるよう、チームとしてサポートしていくことを伝えます。」

【評価】

  • 傾聴と尊重の姿勢: まずは相手の意思を受け止め、寄り添う姿勢が明確です。
  • 患者中心のアプローチ: 「説得」ではなく、患者の「理解」を深めることを目的としています。
  • インフォームド・コンセントの徹底: 意思決定に必要な情報を、客観的かつ丁寧に提供する意識が高いです。
  • チーム医療の視点: 医師一人で抱え込まず、ソーシャルワーカーなど他職種と連携し、患者を多角的に支えようという視点があります。

【今回のまとめ】

  • 結論を急がない。 まずは患者さんの意思を「尊重」し、「傾聴」する。
  • 言葉の背景を探る。 なぜ拒否するのか、その裏にある価値観や不安を理解しようと努める。
  • 「説得」ではなく「情報提供」。 医師の役割は、患者が「情報に基づいた自己決定」をできるよう支援すること。
  • 無理強いは絶対NG。 患者が納得のいく道を選べるよう「サポート」する姿勢が最も重要。

医師は病気を治す専門家ですが、その人の生き方を決める専門家ではありません。この境界線を理解し、患者さんに敬意を払えるかどうかが、MMIでは厳しく見られています。



ゴウカライズメディカルで、夢への一歩を。


ゴウカライズメディカルでは、このような答えのない倫理的課題に対し、深く思考し、自分の言葉で誠実に表現するトレーニングを積むことができます。対話を通じて、あなたの中に眠る「良き医療者」としての資質を、我々が引き出します。

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