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麻布大学学校推薦型選抜 小論文対策④ 2020を題材に

4 November, 2025

麻布大学獣医学部を目指す受験生の皆さん、こんにちは!

今回は、少し未来に目を向けた「AIと獣医療」というテーマの小論文です。「AIに仕事が奪われる」といった議論を耳にすることもありますが、獣医師を目指す皆さんには、新技術を正しく理解し、共存していく未来を描く力が求められます。

2020年度の問題を通して、AIの能力を認めつつ、人間である獣医師ならではの価値を具体的に示す論理的思考力を身につけましょう。


2020年度 獣医学科 小論文問題


それでは、実際の入試問題を見てみましょう。


問 次の文章を読んで設問に答えなさい。

近年人工知能(artificial intelligence: AI)技術の発展が凄まじい。医療分野においても例外でなく、これまでの膨大な臨床データをAIに学習させることで、病気の診断や治療効果の予測において人間を凌駕する日が近いかもしれない。 しかし、実際にAIを医療の現場に導入する際には、人間の心理面の問題等、様々な課題が存在する。 また医療には、人間である医師のみにできる役割も存在する。 医師が、AIにはできない仕事を大切にしながら、AIをアシスタントとして上手く活用できれば、よりよい医療が実践できるだろう。


(金容大 CBEL Report. Volume 1より引用(一部改変))



設問 医療現場と同様に、今後AI技術が獣医療現場(小動物臨床、産業動物臨床)にも導入される可能性がある。AIにできなくて人間である獣医師のみにできる役割について、具体例を挙げて説明しなさい。(800字以内)




問題のポイント解説


この問題は、AIという新技術に対して、あなたがどのような未来像を描けるかを問うています。重要なのは、AIを敵視するのではなく、課題文にもある通り**「アシスタントとして上手く活用」** する視点です。


  • ポイント1:AIの能力を正しく認識する 課題文にあるように、AIは「膨大な臨床データ」から「病気の診断や治療効果を予測」することが得意です 。レントゲン写真の読影や血液検査データの解析などで、人間を超える精度を発揮する可能性を、まずは肯定的に受け止めましょう。その上で、「では人間にしかできないことは?」と考えるのがスタート地点です。
  • ポイント2:「AIにできないこと」を具体化する 「心」「コミュニケーション」「倫理観」といった抽象的な言葉で終わらせず、獣医療の現場で起こる具体的なシーンに落とし込むことが重要です。
    • 対話(コミュニケーション):言葉を話せない動物の状態を、飼い主の言葉、表情、雰囲気から総合的に読み解くこと。
    • 触診(五感):手で触れたときの腫瘤の硬さ、熱感、動物の反応など、データ化できない身体情報。
    • 倫理的判断:治療の選択肢が複数ある場合、飼い主の価値観や経済状況を汲み取り、安楽死のような重い決断を共に考えること。
  • ポイント3:「小動物」と「産業動物」の両方の視点 設問でわざわざ「小動物臨床、産業動物臨床」と指定されています 。これは、受験生が両者の違いを理解しているかを見る意図があります。ペットとしての動物(小動物)と、経済動物としての家畜(産業動物)では、獣医師に求められる役割や判断基準が異なります。両方の具体例を盛り込むことで、獣医療への深い理解を示すことができます。

それでは、これらのポイントを踏まえた答案例を見ていきましょう。


ダメな答案例(どこがダメか考えながら読んでみよう!)


私は、AIが獣医療の現場に入ってきても、獣医師の仕事がなくならないと信じている。なぜなら、AIには動物を思う心がないからだ。AIはただの機械であり、データでしか動物を判断できない。獣医師にしかできないことは、動物と飼い主の心に寄り添うことだ。飼い主さんの不安な気持ちを和らげたり、動物を優しく撫でてあげたりすることは、AIには絶対にできない。獣医師は、命と真摯に向き合う尊い仕事であり、AIに取って代わられるものではない。産業動物の現場でも同じだ。AIが生産性を管理したとしても、最終的に動物の命を預かるのは人間の獣医師だ。心のこもった医療こそが、獣医師にしかできない最も大切な役割なのである。

【ダメなポイント】

  • 感情的なAI否定】:「ただの機械」「心がない」といった感情的な表現が多く、AIの有用性を無視しています。課題文の「AIをアシスタントとして活用する」という視点が欠けています。
  • 役割が抽象的】:「心に寄り添う」「命と向き合う」といった表現は聞こえは良いですが、具体的に何をするのかが不明確です。
  • **具体例が皆無】:**設問で求められている「具体例」が全く挙げられていません。
  • **小動物と産業動物の違いが不明】:**産業動物についても「心のこもった医療」と述べるだけで、小動物臨床との違いが全く考察されていません。


良い答案例(AIとの協調と具体性に注目!)


AIが膨大なデータを基に正確な診断を下すアシスタントとなることで、獣医療の質が向上する可能性を大いに感じる。その上で、AIにはできず人間である獣医師のみが担える役割は、主に「対話を通した統合的診断」「倫理的・経営的判断」「五感を用いた身体的診察」の三点にあり、それぞれに具体例が挙げられる。第一に、小動物臨床における「対話を通した統合的診断」だ。例えば、AIが血液データと画像から「椎間板ヘルニアの可能性95%」と提示しても、言葉を話せない犬の痛みの程度や生活の質(QOL)は飼い主からの情報が不可欠だ。獣医師は「どんな時に痛がりますか」「食欲はありますか」といった対話に加え、飼い主の不安な表情や声色を汲み取り、AIのデータと統合して最終的な診断と治療方針を決定する。手術か内科治療かの選択肢を、家族の価値観に寄り添いながら共に考えるインフォームド・コンセントのプロセスは、人間にしかできない。第二に、産業動物臨床における「倫理的・経営的判断」が挙げられる。ある牛が生産性の低い病気だとAIが判定した場合、獣医師は単にそのデータに従うわけではない。農場経営者と対話し、治療コスト、経済的価値、そしてアニマルウェルフェアの観点を天秤にかけ、治療を続けるか、あるいは淘汰という苦渋の決断を下すか、経営的・倫理的な最適解を導き出す。この役割は、複雑な価値判断を伴うためAIには代替不可能だ。第三に、両臨床現場に共通する「五感を用いた身体的診察」である。AIの画像診断で見落とされるような微細な腹部のしこりを触診で発見したり、関節を動かした際の僅かな抵抗や動物の反応を感じ取ったりすることは、獣医師の手と経験だからこそ可能だ。こうした五感で得られる非言語的情報は、診断の重要な手がかりとなる。このように、獣医師はAIを優秀な診断支援ツールとして活用し、自らはより高度な対話、判断、そして身体的診察に注力することで、獣医療全体の価値を一層高めることができると考える。

【良いポイント】

  • **AIとの協調姿勢】:**冒頭でAIの有用性を認めた上で、獣医師の役割を論じるという、課題文の趣旨に沿った構成になっています。
  • 役割が具体的かつ体系的】:「統合的診断」「倫理的・経営的判断」「五感」という明確な切り口で、獣医師の役割を具体的に示しています。
  • **質の高い具体例】:**小動物臨床でのインフォームド・コンセントの場面や、産業動物臨床での経営判断の場面など、それぞれの現場の特性を深く理解した具体例が挙げられています。
  • **論理的な結論】:**AIに任せる部分と人間が注力する部分を明確にし、両者の協業によって獣医療が発展するという、建設的で説得力のある結論にまとめられています。


まとめ


2020年度の問題は、新しい技術を前にして、自分たちの専門性の価値をいかに再定義し、未来を切り拓いていくかという、非常に本質的な問いでした。

獣医師を目指す皆さんには、

  1. 新しい技術を正しく理解し、その可能性を認める
  2. その上で、人間にしかできないことは何かを深く掘り下げる
  3. 具体的な場面を想像し、自分の言葉で説明する

という力が求められます。AIの発展を脅威と捉えず、より良い獣医療を実現するためのパートナーと考える。そんな前向きで論理的な思考を、ぜひ身につけてください。応援しています!

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