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【東北医科薬科大学】2018年度 小論文:実名報道とプライバシー【模範解答あり】
こんにちは!オンライン学習塾 ゴウカライズです!
今回は、東北医科薬科大学医学部で2018年度に出題された「実名報道とプライバシー」に関する問題を解説します。
SNSの普及により、一度ネット上に投稿された画像や文章が消えにくく、将来の就職や人間関係にまで影響しかねない「デジタルタトゥー」の問題が深刻になってきていると指摘されています。
「知る権利」と「人権」の対立構造を理解し、医師としての守秘義務にも通じる倫理観を示すことが求められます。
合格答案の書き方を一緒に学びましょう!
なお、他の年度の小論文の解説などはこちらの記事にまとめてあります!
https://note.com/goukalize/n/n9d0b74b16df0
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テーマ解説:知る権利と忘れられる権利
背景と現状
事件や事故の際、被害者や加害者の実名を報道すべきかどうかは、長年議論されてきたテーマです。
報道機関は「国民の知る権利」や「事件の再発防止(公益性)」を主張しますが、被害者遺族からは「そっとしておいてほしい」という切実な声が上がります。
特に近年は、一度インターネット上に公開された実名や写真、過去の投稿が検索結果やコピーとして残り続ける「デジタルタトゥー」が問題視されています。炎上や不適切な投稿が原因で就職活動に不利になったり、前科・スキャンダルに関する記事が長期間残ることで社会復帰の妨げになるおそれがあると、IT弁護士や企業のリスク解説でも指摘されています
(例:三井住友海上グループ「デジタルタトゥーとは?」
https://mscompass.ms-ins.com/business-news/digital-tattoo/
など)。
医療者としての視点
医師には、刑法134条が定めるいわゆる「秘密漏示罪」による守秘義務が課せられており、「業務上取り扱ったことについて知り得た人の秘密」を正当な理由なく漏らした場合、6か月以下の懲役または10万円以下の罰金に処される可能性があります。
https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r9852000002ec55-att/2r9852000002ecb5.pdf
このように、患者のプライバシーを守ることは、医師にとって法的にも倫理的にも非常に重い責務です。
一方で、感染症の流行時には、感染症法に基づき医師に届出義務が課されており、患者の氏名や住所などの情報を保健所に報告しなければならない場合があります
(感染症法に関する厚生労働省の解説:https://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou03/ など)。
このように、個人情報を守る守秘義務と、公衆衛生を守るための情報共有義務とのあいだで、どこまで情報を開示すべきかというジレンマに医療者は直面することがあります。
「個人の権利」と「社会の利益」のバランスをどう取るか、常に倫理的な判断が求められる職業です。
今後の展望と重要論点
EUでは、一般データ保護規則(GDPR)第17条で、自分に関する個人データの削除を求めることができる「消去権(right to erasure)」、いわゆる「忘れられる権利」が明文化されています
(GDPR公式テキスト:https://gdpr-info.eu/art-17-gdpr/、
解説サイト GDPR.eu「Right to be forgotten」https://gdpr.eu/right-to-be-forgotten/)。
このような法整備に象徴されるように、個人のプライバシーを保護しようとする国際的な潮流は強まっているといえます。
日本でも、事件・事故の被害者名を警察が匿名で発表するケースが増える中で、日本新聞協会が「実名報道の意義」を再検討したり、被害者遺族や弁護士の意見を踏まえて実名報道の考え方を整理したりする動きが見られます。
このように、被害者のプライバシーと国民の知る権利のバランスをめぐって、報道のあり方は少しずつ変化してきています。
今後は、メディア・リテラシーだけでなく、情報を発信する側(SNSユーザー含む)のモラルや法整備が重要な論点となります。
頻出キーワード
- 知る権利: 国政や社会の重要事項について、国民が情報を知る自由を指します。日本弁護士連合会も、「国民の知る権利は民主主義の根幹であり、国政に関する情報に接することは主権者として当然の権利である」と繰り返し述べています
- 忘れられる権利: インターネット上の過去の情報を削除してもらう権利。
- デジタルタトゥー: 一度ネット上に公開された情報が、入れ墨のように消えずに残り続けること。
- 守秘義務: 医師などが職務上知り得た秘密を漏らしてはならない義務(刑法134条)。
【2018年度】実際に出題された問題
問題の内容
事件の被害者の実名報道について、あなたの考えを600字以内で述べなさい。
OK回答例
事件の被害者の実名報道については、原則として慎重であるべきだと考える。
報道機関は「国民の知る権利」や「事件のリアリティを伝える公益性」を主張するが、現代社会において実名を公表することのデメリットはあまりに大きい。インターネットの普及により、一度公開された情報は半永久的に残り続ける「デジタルタトゥー」となり、被害者やその家族を未来永劫苦しめ続けるからだ。被害者は事件による直接的な被害だけでなく、報道によるプライバシーの侵害という二次被害、さらにはネット上の心ない誹謗中傷という三次被害にまで晒されることになる。
もちろん、重大事件の検証など、実名が必要なケースも皆無ではないだろう。しかし、原則としては「個人のプライバシー」と「平穏に生活する権利」が優先されるべきである。匿名であっても事件の悲惨さや教訓を社会に伝えることは十分に可能であり、興味本位の報道は厳に慎むべきだ。報道機関は、センセーショナルな情報で大衆の好奇心を煽るのではなく、真実と公益性のバランスを慎重に見極める高い倫理観を持つべきだ。
個人の尊厳は、いかなる公益よりも優先されるべき基本的人権の根幹である。情報化社会において、一度失われたプライバシーを取り戻すことは不可能に近い。だからこそ、我々は「知る権利」の名の下に個人の尊厳が踏みにじられることがないよう、常に倫理的なブレーキをかけ続ける必要がある。
回答のポイント
- 現代的なリスク(デジタルタトゥー)の指摘
「デジタルタトゥー」というキーワードを使い、ネット社会特有のリスク(情報の永続性)を指摘しています。昔ながらの報道論だけでなく、現代社会の文脈で問題を捉え直している点が評価されます。二次被害、三次被害への言及も、被害者への共感性を示す良いポイントです。 - 原則と例外の整理
「実名が必要なケースもある(例外)」と認めつつ、「原則はプライバシー優先」と論じています。極端な意見(絶対にダメ、絶対に公開すべき)に走らず、バランスを取りながらも自分の立場を明確にする論法は、小論文の基本であり、説得力を高めます。 - 倫理的な原則の再確認
結論部分で、個人の尊厳を「基本的人権の根幹」と位置づけ、倫理的な原則を再確認しています。医師は守秘義務をはじめとする高い倫理観が求められる職業であり、こうした人権感覚の鋭さを示すことは、適性評価において非常に有利に働きます。
NG回答例
私は、原則として実名報道を行うべきだと考える。なぜなら、事件の真相を社会が共有し、再発防止につなげるためには、「誰が」「誰に」「何をしたか」という正確な情報が不可欠だからだ。
名前を伏せてしまうと、事件が記号化され、人々の記憶に残らなくなってしまう。被害者の無念を晴らし、社会全体で事件の教訓を活かすためにも、ありのままの事実を伝えることが報道の使命である。
もちろんプライバシーへの配慮は必要だが、個人の感情よりも「社会の利益(公益性)」や「知る権利」が優先されるべきだ。隠蔽体質は、かえって社会の不信感を招くことになる。
NGのポイント
- 人権感覚の欠如(公益性の過大評価)
「社会の利益」を盾に、個人の犠牲を正当化しています。現代の倫理観では、個人の尊厳は公益に優先する基本的権利であり、特に被害者のプライバシーは最大限守られるべきです。 - デジタル社会への想像力不足
「ありのまま伝える」という主張は、一度ネットに出た情報が消えない「デジタルタトゥー」のリスクを無視しています。情報の不可逆性に対する想像力が欠けており、時代に合わない主張となっています。 - 被害者不在の論理
「無念を晴らす」と言いつつ、実際には「そっとしておいてほしい」という被害者遺族の多くの声を無視しています。これは独善的な正義感であり、医療者に求められる「他者への共感」とは対極にある姿勢です。
まとめ
情報は一度出たら消せません。
「知る権利」よりも「守られるべき個人の尊厳」に重きを置いて論じましょう!
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