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【北里大学獣医学科 2023後期英語】「The man who discovered umami」の原文・出典と内容を解説

    ゴウカライズ編集部
    9 September, 2026

    北里大学獣医学科の2023年度一般選抜(後期)英語では、 「The man who discovered umami」 というタイトルの長文が出題されました。

    過去問演習を進めるなかで原文や出典を探している受験生に向けて、オンライン塾ゴウカライズVET が 出典情報と英文の論理展開を整理して解説します。

    出題された英文の出典は、BBC Futureに掲載された以下の記事です。

    The man who discovered umami
    Veronique Greenwood
    BBC Future(2019年5月7日公開)

    https://www.bbc.com/future/article/20190503-the-mystery-taste-that-always-eluded-us?utm_source=chatgpt.com

    もし上記記事がリンク切れになったら、こちらをご覧ください
    https://en.azvision.az/news/105074/-the-mystery-taste-that-always-eluded-us-.html 

    記事では、池田菊苗による「うま味」の発見を起点に、それが「第五の基本味」として科学的に認められるまでの歩みや、MSG(グルタミン酸ナトリウム)の普及と社会的な議論、さらには「第六の味」の可能性までが幅広く論じられています。


    池田菊苗による「だし」の研究とうま味の発見

    記事の中心となるのは、日本人化学者の 池田菊苗 です。

    20世紀初頭、池田は日本の伝統的な「だし」が持つ独特の味について探究していました。当時、基本味として認められていたのは「甘味・酸味・苦味・塩味」の4つのみでしたが、だしにはその4つのどれとも合致しないおいしさがあります。池田は、この味の背後に未知の化学物質が関与していると考えました。

    記事本文も、次の印象的な1文から始まります。

    “Kikunae Ikeda had been thinking a lot about soup.”

    池田が研究対象としたのは、昆布などから取られる日本の dashi でした。だしの成分を分離していった結果、昆布の中から glutamate(グルタミン酸) を抽出することに成功します。そして、このグルタミン酸がもたらす味は従来の4つの基本味とは独立したものと結論づけ、新たな味覚として umami(うま味) と命名しました。


    世界で「第五の基本味」として認められるまでの経緯

    現在では「umami」という言葉は英語圏でも広く定着しています。しかし、池田の研究発表直後から、世界中で「第五の基本味」として即座に受け入れられたわけではありませんでした。

    池田は100年以上前の時点で「基本の4味とは別の独立した味が存在する」と見抜いていました。しかし、それを主観的な「おいしさ」にとどめず、独立した味覚系として客観的・科学的に証明するためには、その後の長い生理学研究を待つ必要がありました。

    つまりこの記事は、単なる「日本人がうま味を発見した功績」にとどまらず、人間が古くから経験的に親しんできた感覚を、近代科学がどのように解明し、独立した概念として確立していったのかという 科学史 を描いた物語でもあります。


    うま味物質の種類と「相乗効果」の仕組み

    その後の研究によって、うま味をもたらす物質はグルタミン酸だけではないことも判明しました。代表的なうま味物質としては、以下の3つが知られています。

    • glutamate(グルタミン酸):昆布などに多く含まれる
    • inosinate(イノシン酸):鰹節などに多く含まれる
    • guanylate(グアニル酸):キノコ類などに多く含まれる

    さらに、うま味には synergistic effect(相乗効果) という極めて重要な性質があります。

    たとえば「昆布のグルタミン酸」と「鰹節のイノシン酸」を組み合わせると、それぞれを単独で味わうよりもはるかに強いうま味が引き出されます。これは単に「1+1=2」になるような足し算ではなく、掛け合わせることでうま味が何倍にも増幅される現象です。日本料理で昔から受け継がれてきた「昆布と鰹節の合わせだし」という手法には、味覚科学の観点からも確かな合理性があったことになります。


    味覚受容体の発見と「第五の基本味」の証明

    ここで生じるのが、「グルタミン酸を摂取してうま味を感じるとしても、それだけで本当に『独立した基本味』と呼べるのか」という疑問です。たとえば、塩味などの特殊な知覚にすぎない可能性も考えられます。

    この疑問を解消する決定打となったのが、 味覚受容体の研究 でした。人間の舌には特定の化学物質に反応する受容体が存在しますが、研究の進展によって、グルタミン酸などのうま味物質に特異的に反応する受容体が実際に発見されました。

    受容体の特定により、うま味は単なる「おいしいという主観的な感想」ではなく、人間の味覚システムが独立して受容している味であることが証明されました。今日、甘味・酸味・苦味・塩味にうま味を加えた5つが「基本味」として国際的に扱われているのは、こうした生理学的な証拠の積み重ねによるものです。


    MSG(味の素)の実用化と社会的な受容

    池田の発見は、研究室の中だけにとどまりませんでした。グルタミン酸のうま味を工業的に調味料として製品化したものが、 MSG(monosodium glutamate/グルタミン酸ナトリウム) です。日本では「味の素」の名称で広く普及しています。

    池田自身は、うま味調味料によって食事をよりおいしくすることが、人々の栄養状態の改善につながると考えていました。一方で、その後の欧米社会では「MSGを摂取すると頭痛がするのではないか」「健康に悪影響を及ぼすのではないか」といった懸念や議論が巻き起こることになります。

    BBCの記事では、味覚の純粋な科学だけでなく、こうした MSGをめぐる社会的な認識の変遷 にも触れています。発見から食品産業への応用、そして社会での受容や摩擦へと視野を広げて論じられているのが特徴です。


    「第六の味」の可能性と科学的分類の更新

    この記事が単なる「うま味の歴史」にとどまらないのは、終盤で「基本味は本当に5つで終わりなのか」というさらなる問いへと踏み込んでいる点です。人間がまだ固有の味として定義していない未知の基本味が、ほかにも存在するのではないかという視点です。

    その有力な候補として記事に登場するのが、 fat(脂肪) です。人間の体内には脂肪を感知して反応するメカニズムが存在することが明らかになりつつあり、「脂肪そのものも、見落とされてきた基本味の一つではないか」という仮説が浮上しています。

    ここで議論は、冒頭の池田菊苗の姿へとつながります。100年以上前、多くの人々は「基本味は4つである」と信じて疑いませんでした。その常識に対して池田は「もう一つの味があるはずだ」と挑み、うま味の概念を切り拓きました。現在私たちが自明のものと考えている「5つの基本味」という枠組みも、今後の研究によって更新されていく可能性があります。

    私たちが疑っていない科学的な分類そのものが、新たな探究によって書き換えられていく――この記事は、そうした科学という営みのダイナミズムまで視野を広げて書かれています。


    北里大学獣医学科の英語における出題傾向と読解のポイント

    獣医学部の入試対策という観点から見ても、この英文は実戦的な学びが多い好例です。

    グルタミン酸やイノシン酸、味覚受容体といった専門用語が並ぶため難解に見えるかもしれませんが、文章全体の論理展開は極めてオーソドックスです。全体の骨組みを整理すると、次のような順序で話が展開しています。

    1. 池田菊苗がだしの味に未知の味覚を見出す
    2. 昆布からグルタミン酸を特定し、「うま味」を提唱する
    3. その後の受容体研究などによって科学的根拠が補強される
    4. MSGの実用化と社会的な受容・論争へと発展する
    5. 「未知の基本味はまだ存在するのか」という普遍的な問いへ展開する

    長文読解において重要なのは、専門用語を事前にすべて暗記しておくことではありません。「今読んでいる段落は、全体の展開の中で何を説明している箇所なのか」という役割を冷静に追うことです。

    北里大学獣医学科をはじめとする獣医学部の英語では、生物・医学・動物・環境などを題材とした自然科学系の長文が頻出します。初見の専門用語が出てきても慌てず、文脈と前後の論理関係から意味を捉えて読み進める姿勢を身につけておきましょう。


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    続報をお待ちください。

    出典

    Veronique Greenwood
    “The man who discovered umami”
    BBC Future(2019年5月7日公開)

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