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【解答・解説】2026年 麻布大学 第Ⅰ期B日程(獣医学科) 数学 第1問

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以下の問いに答えよ。

(1)xy0xy\ne0 かつ 4x=5y=20264^x=5^y=20^{26} を満たす実数 x, yx,\ y について 1x+1y=イウ\dfrac1x+\dfrac1y=\dfrac{\boxed{\text{ア}}}{\boxed{\text{イウ}}} である。

(2)a=sinπ18a=\sin\dfrac{\pi}{18} のとき,3a4a3=3a-4a^3=\dfrac{\boxed{\text{エ}}}{\boxed{\text{オ}}} である。

(3)座標空間の2点 A(2, 1, 2), B(1, 5, 1)\mathrm{A}(2,\ 1,\ -2),\ \mathrm{B}(-1,\ -5,\ 1) を通る直線を \ell とする。 原点 O\mathrm{O} を通る直線が \ell と垂直に交わるとき,その交点の座標は (, キク, ケコ)\left(\boxed{\text{カ}},\ \boxed{\text{キク}},\ \boxed{\text{ケコ}}\right) である。

(4)(x2+2x1)9(x^2+2x-1)^9 の展開式における x4x^4 の項の係数は,サシスセソ\boxed{\text{サシスセソ}} である。

重要知識と着眼点

(1)指数の条件から逆数の和を求める

logの基本事項

底は a>0, a1a>0,\ a\ne1、真数は正。 M,N>0M,N>0 のとき、

loga(MN)=logaM+logaN,logaMN=logaMlogaN,logaMr=rlogaM.\begin{aligned} \log_a(MN)&=\log_a M+\log_a N,\\ \log_a\dfrac MN&=\log_a M-\log_a N,\\ \log_a M^r&=r\log_a M. \end{aligned}

対数の底の選び方

底の選び方によって解けなくなることはないので、底を何にするかは気にしなくて良い。 底を1種類にそろえることだけが重要。

求めるのは x, yx,\ y そのものではなく、逆数の和です。 共通の底で対数を取り、1x, 1y\dfrac1x,\ \dfrac1y を表すことを考えます。 底は 221010 でも構いませんが、ここでは右辺の 202620^{26} に合わせて 2020 を選ぶと、xlog204=26x\log_{20}4=26 から 1x=log20426\dfrac1x=\dfrac{\log_{20}4}{26} と表せます。 yy も同様に処理し、45=204\cdot5=20 に着目して対数の和をまとめます。

(2)三倍角の公式を見抜く

三倍角の公式

  1. sin3θ=3sinθ4sin3θ\sin3\theta=3\sin\theta-4\sin^3\theta
  2. cos3θ=4cos3θ3cosθ\cos3\theta=4\cos^3\theta-3\cos\theta

3θ=2θ+θ3\theta=2\theta+\theta として、加法定理と倍角の公式から導ける。 覚えなくても良いが導けるようにしておく。

3a4a33a-4a^3 の係数と符号が、sin3θ=3sinθ4sin3θ\sin3\theta=3\sin\theta-4\sin^3\theta の右辺と一致しています。 a=sinπ18a=\sin\dfrac{\pi}{18} を代入すると、角が3倍されて π6\dfrac{\pi}{6} になります。 sinπ18\sin\dfrac{\pi}{18} 自体の値を求める必要はありません。

公式の形を連想できないときは、式だけでなく角度に注目します。 π18\dfrac{\pi}{18} は、そのままでは値を知らない角ですが、3倍すると値の分かる π6\dfrac{\pi}{6} になります。 そこで θ=π18\theta=\dfrac{\pi}{18} とおき、sinπ6=sin(2θ+θ)\sin\dfrac{\pi}{6}=\sin(2\theta+\theta) を加法定理で展開してみます。 倍角の公式を使い、cos2θ\cos^2\theta1sin2θ1-\sin^2\theta に直せば、sinθ\sin\theta の式にそろえられます。 整理すると 3sinθ4sin3θ3\sin\theta-4\sin^3\theta が現れ、求める式につながります。

(3)直線上の点を表し、垂直条件を使う

ベクトルの内積

内積は、二つのベクトルから定まる数。 零ベクトルでない a, b\vec a,\ \vec b のなす角を θ\theta とすると、

ab=abcosθ.\vec a\cdot\vec b=|\vec a||\vec b|\cos\theta.

成分で計算するときは、対応する成分どうしを掛けて足す。

平面では、a=(a1,a2), b=(b1,b2)\vec a=(a_1,a_2),\ \vec b=(b_1,b_2) に対して、

ab=a1b1+a2b2.\vec a\cdot\vec b=a_1b_1+a_2b_2.

空間では、a=(a1,a2,a3), b=(b1,b2,b3)\vec a=(a_1,a_2,a_3),\ \vec b=(b_1,b_2,b_3) に対して、

ab=a1b1+a2b2+a3b3.\vec a\cdot\vec b=a_1b_1+a_2b_2+a_3b_3.

ベクトルの垂直条件

零ベクトルでない二つのベクトルが垂直であることと、内積が 00 であることは同値。

ab    ab=0.\vec a\perp\vec b\iff\vec a\cdot\vec b=0.

垂直という条件を式にするときは、二つのベクトルの内積を計算し、00 とおく。

交点を H\mathrm{H} とすると、条件は「H\mathrm{H} が直線 \ell 上にある」と「OH\mathrm{OH}\perp\ell」の二つです。 まず OH=OA+tAB\overrightarrow{\mathrm{OH}}=\overrightarrow{\mathrm{OA}}+t\overrightarrow{\mathrm{AB}} とおき、直線上にある条件を満たす形にします。 あとは OHAB=0\overrightarrow{\mathrm{OH}}\cdot\overrightarrow{\mathrm{AB}}=0 を使えば、tt が決まります。

(4)必要な次数を作る項だけを選ぶ

(a+b)n(a+b)^n の扱い方(二項定理)

nn00 以上の整数のとき、展開した式の ankbka^{n-k}b^k の係数は nCk\,{}_nC_k0kn0\le k\le n)。

(a+b)n=k=0nnCkankbk=an+nC1an1b+nC2an2b2++nCn2a2bn2+nCn1abn1+bn.\begin{aligned} (a+b)^n &=\sum_{k=0}^{n}{}_nC_k a^{n-k}b^k\\ &=a^n+{}_nC_1a^{n-1}b\\ &\quad+{}_nC_2a^{n-2}b^2+\cdots\\ &\quad+{}_nC_{n-2}a^2b^{n-2}\\ &\quad+{}_nC_{n-1}ab^{n-1}+b^n. \end{aligned}

二項定理の係数は、各因子からどちらの項を選ぶかを数えたものです。 同じ考え方で、9個の因子それぞれから x2, 2x, 1x^2,\ 2x,\ -1 のいずれかを選びます。 x2x^2rr 個、2x2xss 個選ぶと次数は 2r+s2r+s なので、2r+s=42r+s=4 を満たす組だけを調べれば十分です。 全体を展開せず、3通りの寄与を足し合わせます。

解答

(1)

4x=20264^x=20^{26}5y=20265^y=20^{26} の両辺の底 2020 の対数を取ると、

xlog204=26,ylog205=26.x\log_{20}4=26,\qquad y\log_{20}5=26.

したがって、

1x+1y=log204+log20526=log20(45)26=126.\begin{aligned} \frac1x+\frac1y &=\frac{\log_{20}4+\log_{20}5}{26}\\ &=\frac{\log_{20}(4\cdot5)}{26} =\boxed{\frac1{26}}. \end{aligned}

よって、アは 11、イウは 2626 である。

(2)

三倍角の公式より、

3a4a3=3sinπ184sin3π18=sinπ6=12.\begin{aligned} 3a-4a^3 &=3\sin\frac{\pi}{18} -4\sin^3\frac{\pi}{18}\\ &=\sin\frac{\pi}{6} =\boxed{\frac12}. \end{aligned}

よって、エは 11、オは 22 である。

補足三倍角の公式を忘れたとき

加法定理と倍角の公式から、次のように導けます。

sin3θ=sin(2θ+θ)=sin2θcosθ+cos2θsinθ=2sinθ(1sin2θ)+(12sin2θ)sinθ=3sinθ4sin3θ.\begin{aligned} \sin3\theta &=\sin(2\theta+\theta)\\ &=\sin2\theta\cos\theta +\cos2\theta\sin\theta\\ &=2\sin\theta(1-\sin^2\theta)\\ &\quad +(1-2\sin^2\theta)\sin\theta\\ &=3\sin\theta-4\sin^3\theta. \end{aligned}

(3)

交点を H\mathrm{H} とする。 AB=(3,6,3)\overrightarrow{\mathrm{AB}}=(-3,-6,3) より、ある実数 tt を用いて

OH=OA+tAB=(23t, 16t, 2+3t)\begin{aligned} \overrightarrow{\mathrm{OH}} &=\overrightarrow{\mathrm{OA}} +t\overrightarrow{\mathrm{AB}}\\ &=(2-3t,\ 1-6t,\ -2+3t) \end{aligned}

と表せる。 OH\mathrm{OH}\perp\ell より、

0=OHAB=3(23t)6(16t)+3(2+3t)=54t18.\begin{aligned} 0 &=\overrightarrow{\mathrm{OH}} \cdot\overrightarrow{\mathrm{AB}}\\ &=-3(2-3t)-6(1-6t)+3(-2+3t)\\ &=54t-18. \end{aligned}

したがって t=13t=\dfrac13 であり、求める交点の座標は

(1, 1, 1).\boxed{(1,\ -1,\ -1)}.

よって、カは 11、キクは 1-1、ケコは 1-1 である。

補足交点の検算

得られた H(1,1,1)\mathrm{H}(1,-1,-1) に対して、

AH=(1,2,1)=13AB,\overrightarrow{\mathrm{AH}} =(-1,-2,1) =\frac13\overrightarrow{\mathrm{AB}},OHAB=3+63=0.\overrightarrow{\mathrm{OH}} \cdot\overrightarrow{\mathrm{AB}} =-3+6-3=0.

直線上にあることと、垂直であることの両方を確認できます。

(4)

9個の因子から x2x^2rr 個、2x2xss 個、1-19rs9-r-s 個選ぶと、積の次数は 2r+s2r+s となる。 x4x^4 の項を作る非負整数の組は、

(r,s)=(0,4), (1,2), (2,0)(r,s)=(0,4),\ (1,2),\ (2,0)

の3通りである。 それぞれの係数への寄与は次のとおり。

(r,s)(r,s) 係数への寄与
(0,4)(0,4) 9C424(1)5=2016\,{}_9C_4\cdot2^4\cdot(-1)^5=-2016
(1,2)(1,2) 9C18C222(1)6=1008\,{}_9C_1\cdot{}_8C_2\cdot2^2\cdot(-1)^6=1008
(2,0)(2,0) 9C2(1)7=36\,{}_9C_2\cdot(-1)^7=-36

したがって、求める係数は

2016+100836=1044.-2016+1008-36=\boxed{-1044}.

よって、サシスセソは 1044-1044 である。

補足項の選び方と係数を区別する

(r,s)=(1,2)(r,s)=(1,2) では、まず9個の因子から x2x^2 を選ぶ1個を決め、残り8個から 2x2x を選ぶ2個を決めます。 その選び方が 9C18C2\,{}_9C_1{}_8C_2 通りです。

さらに、選んだ 2x2x が2個あるので係数 222^2 を掛けます。 1-1 を選ぶ因子は残りの6個です。 各場合で、22 の累乗と 1-1 の累乗を別々に書くと、係数や符号の間違いを防げます。

問題データ

難易度の目安
B(標準)
目標時間
15

講評

教科書の基本事項と典型的な処理を、異なる分野で使い分ける小問集合です。 この大問の内容から判断すると、麻布大学獣医学科の受験生としては、まず(1)〜(3)を確実に取り、(4)まで完答を目指したいところです。 全体の難易度は標準、目標解答時間は見直しを含めて15分程度とします。

(1)は、求める式に合わせて逆数を作れるかが要点です。 x, yx,\ y を別々に求めても解けますが、底の違う対数のまま計算を続けると遠回りになります。 対数の底をそろえ、logaM+logaN=loga(MN)\log_a M+\log_a N=\log_a(MN) とまとめれば短く処理できます。

(2)は、三倍角の公式を思い出せればすぐに得点できます。 公式が出てこない場合も、加法定理から導けるようにしておきたい問題です。 3sinθ4sin3θ3\sin\theta-4\sin^3\theta と、余弦の三倍角の式の符号を混同しないようにしましょう。

(3)は、空間図形でも「直線上の点を文字で表す」「垂直を内積で表す」という基本どおりに解けます。 図を正確に描くことに時間をかける必要はありません。 負の成分が多いため、ベクトルの引き算と内積の符号に注意し、最後に直線上の条件と垂直条件を確かめると安心です。

4問の中では、(4)が最も差につながりやすいと考えられます。 難しい発想は不要ですが、x2x^2 を選ぶ個数による3通りをそろえ、組合せの数、22 の累乗、残りの 1-1 の個数を正確に処理する必要があります。 すべてを展開し始めると時間を失います。 方針が立たなければいったん後回しにし、戻ったときに 2r+s=42r+s=4 から整理し直しましょう。

本番では、(1)(2)を短く終え、(3)(4)の検算に時間を残すのが有効です。 最終的には空欄を埋める形式なので、答えの転記まで含めて確認してください。 特に(3)の二つの 1-1 と、(4)の 1044-1044 は、負号も空欄に入れる必要があります。

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