医学部の地域枠とは、卒業後に特定の都道府県で一定期間(多くは9年間)医師として働くことを条件に、一般枠とは別に用意された入学枠です。多くの場合、都道府県の修学資金(奨学金)が貸与され、決められた勤務を終えると返還が免除されます。
メリットは「学費負担の軽減」と「一般枠と別の競争で受験できること」です。デメリットは「卒後9年間の勤務地・診療科の制約」と「途中でやめたときの一括返還や研修先の制限」です。2027年度(令和9年度)は国が医学部定員全体を減らす方針で、地域枠の募集人数も大学・県ごとに変わる可能性があります。
この記事では、制度の仕組みから2027年度の動向、お金、義務年限、離脱のリスク、出願前の確認リストまでを順番に解説します。
【結論】医学部の地域枠の要点まとめ
項目 | 要点 |
|---|---|
目的 | 医師が足りない地域・診療科で働く医師を育てる |
選抜方法 | 一般枠と分けて選ぶ「別枠方式」が基本 |
修学資金 | 県が貸与する枠が多い(例:埼玉県は月額20万円以内) |
義務年限 | 卒業直後から県内で9年以上(国の地域枠の定義) |
医師少数区域での勤務 | 9年のうち4年程度(国の地域枠の定義) |
離脱したとき | 修学資金の一括返還(利息が付く県もある)、臨床研修・専門研修の選択が制限される |
2027年度の動向 | 医学部総定員は2025年度の9,393人を上限に、全体として削減する方針 |
※国の地域枠の定義は、厚生労働省「医療従事者の需給に関する検討会 第35回医師需給分科会」(2020年8月31日)資料より。2022年度(令和4年度)から運用されています。
医学部の地域枠とは?仕組みをわかりやすく解説
地域枠が作られた理由
日本の医師は都市部に集まりやすく、地方や一部の診療科(産科・小児科・救急など)では医師が不足しています。この「医師偏在」を減らすため、国は2008年度ごろから医学部の定員を臨時に増やし、その増員分の多くを地域枠にあててきました。
厚生労働省の資料によると、地域枠等の人数は2007年度の173人(定員の2.3%)から、2025年度には1,847人(19.9%)に増えています。医学部の入学者のおよそ5人に1人が、何らかの地域枠で入学している計算です(出典:第14回医師養成過程を通じた医師の偏在対策等に関する検討会 資料1、2026年4月17日)。
地域枠の2つの選抜方式:別枠方式と手挙げ方式
地域枠は、学生をいつ・どう決めるかで大きく2つに分かれます。
方式 | 決まるタイミング | 特徴 |
|---|---|---|
別枠方式 | 入試の段階 | 一般枠と募集人数・合否判定を分けて選抜する。出願時に地域枠を選ぶ |
手挙げ方式 | 入学後(または合格後) | 一般枠で入学した学生が、あとから県の修学資金などに応募する |
国は2020年度(令和2年度)以降、臨時定員で設ける地域枠は別枠方式のみ認める方針をとっています(出典:厚生労働省 第34回医師需給分科会 資料1、2020年3月12日)。手挙げ方式は定員が埋まらないことが多く、地域に残る医師の確保につながりにくかったためです。
受験生にとっての違いは、別枠方式では出願する時点で「9年間その県で働く」ことを約束するという点です。国の定義では、志願時に本人・保護者・都道府県が従事要件と離脱要件に書面で同意することになっています。
修学資金の「貸与あり」と「貸与なし」
地域枠には、県から修学資金が貸与されるタイプと、貸与がないタイプがあります。国の地域枠の定義でも、奨学金の貸与は「問わない」とされています。
タイプ | お金 | 勤務義務の性質 |
|---|---|---|
貸与あり | 県などが月額や学費相当額を貸与。義務を果たすと返還免除 | 契約上の返還免除条件として勤務する |
貸与なし | 修学資金なし(大学独自の奨学金がある場合も) | 出願時の誓約として県内勤務を求められる |
「貸与なしだから義務は軽い」とは限りません。貸与がない枠でも、県のキャリア形成プログラムへの参加や、臨床研修先の制限がかかることがあります。
地域枠・地元出身者枠・大学独自枠の違い
似た名前の枠がいくつかあるので整理します。
枠の種類 | 出身地の条件 | 卒後の勤務義務 | 県の関与 |
|---|---|---|---|
地域枠 | 地元出身者に限る場合と、全国から募集する場合がある | 県内で9年以上(国の定義) | あり(地域医療対策協議会で協議) |
地元出身者枠 | 一定期間その県に住んでいた人などに限る | 枠によって異なる | あり |
大学独自枠 | 大学が決める | 大学が決める | 問わない |
募集要項の枠名だけで判断せず、「勤務義務」「修学資金」「県との契約」の3点を必ず読み比べてください。
2027年度(令和9年度)の医学部定員と地域枠の動向
医学部総定員は削減の方向
文部科学省の資料(2026年6月11日)によると、2027年度の医学部総定員は2025年度の9,393人を上限とし、地域の実情に配慮しながら全体として削減を図る方針です。2026年度末で期限を迎える臨時定員(地域枠などの増員分)の枠組みは、2027年度末まで1年延長されました。
2026年度の医学部定員は9,376人です。このうち、地域枠を条件とした臨時定員は935人(自治医科大学を除くと912人)でした。さらに、地域で不足する診療科を指定する「診療科選定地域枠」が406人(自治医科大学を除く)あります(出典:文部科学省「令和9年度 医学部臨時定員の措置延長に伴う大学設置基準等の改正について」2026年6月11日、厚生労働省 第14回検討会資料)。
削減の中身:医師多数県の臨時定員地域枠が減る
厚生労働省の検討会(2025年11月20日)では、2027年度の配分について次の考え方が示されました。
医師が多い県(医師多数県)では、臨時定員の地域枠を一定数削減する
75歳以上の人口が大きく増える地域や、医療機関へのアクセスが難しい地域には配慮する
県が前年度より地域枠を増やしたい場合は、恒久定員(臨時ではない本来の定員)の中に地域枠を設けることを基本とする
2026年4月の検討会では、2028年度(令和10年度)の臨時定員も「全体として削減を図る方向性」の案が示されています。今後は臨時定員が減り、恒久定員の中の地域枠や地元出身者枠が増える流れになると見込まれます。
大学ごとの変更例
大学別の変更も公表されています。大阪公立大学は2026年9月25日、大阪府指定医療枠の2名増員が認められたと発表しました。医学科の定員は90名から92名となり、指定医療枠は一般選抜1名・特別選抜1名です。全国の削減方針から、すべての大学のすべての枠が減ると判断することはできません。
臨時定員は文部科学省への申請・認可を経て確定します。募集要項の公表後に人数が変わる場合もあるため、志望校の入試ページを出願直前まで確認してください。
上記は文部科学省の2026年6月11日資料などに基づく制度の方針です。全国の2027年度募集人数の確定一覧として示したものではありません。大学ごとに認可・変更の公表時期が異なるため、出願時には最終の募集要項と変更通知を確認してください。
地域枠の修学資金はいくら?返還免除の条件
修学資金の典型的な金額
修学資金の金額は県ごとに違います。代表的な形は「月額〇万円を6年間」または「学費相当額を貸与」です。
例1:埼玉県(指定大学奨学金=地域枠医学生奨学金)
項目 | 内容 |
|---|---|
対象の指定大学 | 埼玉医科大学、順天堂大学、日本医科大学、日本大学、北里大学、東京医科大学、東京科学大学、獨協医科大学 |
貸与額 | 月額20万円以内 |
貸与期間 | 大学卒業まで(上限6年) |
返還免除の勤務期間 | 貸与期間の1.5倍(6年間貸与なら9年間) |
出典:埼玉県「指定大学奨学金(地域枠医学生奨学金)制度の概要」(2026年8月18日掲載、2026年9月27日確認)。月額20万円を6年間借りると、貸与総額は最大1,440万円です。
埼玉医科大学の「埼玉県地域枠」は、この県の奨学金とセットになった枠です。2027年度の大学公式案内では、学校推薦型選抜の埼玉県地域枠入学者は「第1種特別待遇奨学生」として初年度納付金550万円の免除対象です。
出典:埼玉医科大学2027年度「学納金・奨学金・特待生」。県の月20万円の貸与と、大学の初年度550万円の免除は別の支援です。これを学費全額の免除や、生活費の追加給付と読み替えないでください。地域枠の臨時定員については、大学が掲載する認可後の出願案内に従います。
例2:自治医科大学(地域枠とは別の仕組み)
自治医科大学は、入学者全員に学生納付金相当額と入学時学業準備費を貸与します。卒業後、出身の都道府県の知事が指定する公立病院等で、貸与期間の1.5倍(6年なら9年)勤務すると返還が免除されます。その勤務期間の半分は、へき地等の病院での勤務です(出典:自治医科大学「修学資金・奨学資金」、2026年9月27日確認)。自治医科大学は国の地域枠の集計から除かれていますが、仕組みは地域枠とよく似ています。
例3:岩手医科大学
岩手医科大学は2026年9月1日、2027年度入学生から、学業成績が特に優秀な学生を対象に学納金の全額または半額を減免する「医学部学納金減免制度」を始めると発表しました。地域枠入学者も選抜区分・学年によって対象になります(出典:岩手医科大学 受験生サイト、2026年9月1日)。
大学の2027年度入学生向け詳細案内では、1年次は一般選抜(地域枠Cを含む)の成績上位3名が全額、次点2名が半額減免です。地域枠D・学校推薦型・総合型の入学者は1年次の対象外ですが、2年次以降は選抜区分を問わず前年度の成績で選ばれます。入学金と諸会費は対象外です。
地域枠の修学資金を受ける場合は、当該年度の学納金から修学資金の年間受給額を引いた差額が減免対象です。大学の掲載例では、地域枠Aの2年次以降は学納金500万円−修学資金440万円=60万円、地域枠Cは同500万円−360万円=140万円が対象額です。ただし、これらの試算は2026年度の学納金を基にしており、2027年度の金額が変われば減免額も変わると明記されています。
私立医学部の6年間の学費は大学によって大きく異なります。学費の比較は、別途まとめる私立医学部の学費ランキングでも扱う予定です。
返還免除の条件(埼玉県の例)
返還免除の条件は「年数」だけでなく「どこで・何科で」働くかまで決まっています。埼玉県の場合は、次の2つを両方満たす必要があります。
県内病院等での勤務が9年に達すること
次のいずれかを満たすこと
特定診療科(産科、小児科、救命救急センター)での勤務が7年(臨床研修期間を除く)
特定医療機関の準特定診療科(外科、総合診療)での勤務が2年
特定医療機関での勤務が4年
「特定医療機関」は、県北部・秩父などの特定地域にある公的医療機関などを指します。たとえば内科を選んだ場合の基本パターンは「県内で臨床研修2年 → 専門研修3年 → 特定医療機関で4年」です(出典:埼玉県「奨学金が返還免除となる場合」、2026年9月27日確認)。
県外での臨床研修・専門研修が認められるか、その期間を義務年限に算入するか、返還や義務履行の猶予が認められるかは、制度と承認条件によって異なります。県外で研修すれば自動的に猶予されるとは限りません。事前に県の担当窓口へ確認してください。
義務年限9年の中身とキャリアへの影響
義務年限の典型的な流れ
国の地域枠の定義では、卒業直後から県内で9年以上働くこと、そのうち医師少数区域等で4年程度働くことが基本です。医師少数区域とは、都道府県が医療計画で定めた、医師が特に足りない地域のことです。
典型的な9年間の流れは次のとおりです。
卒後年数 | 内容 | 主な勤務先 |
|---|---|---|
1〜2年目 | 初期臨床研修(すべての医師が受ける2年間の研修) | 県内の臨床研修病院 |
3〜5年目前後 | 専門研修(専門医を目指す3〜5年の研修) | 県内の基幹病院と連携病院 |
6〜9年目前後 | 医師少数区域等での勤務を含む県内勤務 | 県が指定する地域の病院 |
実際の配置は、県のキャリア形成プログラム(地域枠医師の勤務先と研修を組み合わせた県の計画)で決まります。
専門医は取れる?
多くの県は、義務年限の中で専門医を取れるようにキャリア形成プログラムを組んでいます。国の制度でも、地域枠医師は専門研修の採用上限(シーリング)の対象外とされ、県内の専門研修プログラムに採用されやすい仕組みがあります(出典:厚生労働省 第14回検討会資料、第34回医師需給分科会資料)。
ただし、次の点は制約になります。
選べる診療科が限られる場合がある:診療科選定地域枠や、埼玉県のように特定診療科での勤務を条件とする県があります。
研修先の病院が県内に限られる:県外の有名病院で研修したい場合は、義務の猶予や再契約が必要です。
サブスペシャルティ(より細かい専門分野)や大学院進学の時期がずれる:義務年限と両立できるかは県ごとに違います。
受験生・保護者がつまずきやすい点
9年間は「卒業後」から数える:6年間の在学と合わせると、入学から15年間は進路の自由度が下がります。18歳で入学すると、義務が終わるのは30代前半です。
結婚・出産・介護の時期と重なる:国の調査でも、卒後の離脱理由として「結婚」が一定数あります。配偶者の勤務地との調整が必要になります。
「学費が安くなる」だけで選ぶと後悔しやすい:離脱理由で最も多いのは「希望する進路と不一致」です(後述)。
地域枠を離脱するとどうなる?返還・違約金・国の対応
修学資金の一括返還と利息
地域枠の義務を果たさずにやめることを「離脱」といいます。修学資金を借りていた場合、多くの県で一括返還が求められます。
埼玉県の場合、2025年4月以降に入学した人は、一括返還の際に年10%の利息が付きます。さらに、正当な理由なく期限までに返還しないと年14.5%の延滞利息がかかります(出典:埼玉県「奨学金の返還について」、2026年9月27日確認)。自治医科大学も、条件を満たさなかった場合は「所定の利率」を加えて一括返還すると定めています。
月額20万円を6年間借りていれば元金だけで1,440万円です。そこに利息が加わるため、離脱の経済的な負担は非常に大きいと考えてください。
岩手県の「医師修学資金貸付条例」第9条は、医師免許を受けた年の4月1日から返還事由の発生日までの日数に応じ、年9%の利息相当額を加えると定めています。期限までに正当な理由なく返還しない場合の遅延利息は年14.5%です。返還事由が生じた翌月末までの返還が原則ですが、条例には年賦返還や免除・猶予の規定もあります。県内でも複数の奨学金制度があるため、契約する制度名と適用条例を照合してください(2026年9月27日確認)。
臨床研修マッチングでの扱い
お金を返せば自由になる、というわけではありません。国は臨床研修の段階で離脱を防ぐ仕組みを作っています。
2018年度開始の研修のマッチングから、地域枠医師は従事要件がある都道府県の病院群しか選択できないシステムになっています。
臨床研修病院は、応募者の従事要件を必ず確認しなければなりません。県や大学が離脱を「妥当」と認めていない人を採用した病院は、医師臨床研修費補助金の減額の対象になります(2019年度から実施)。
厚生労働省の通知では、奨学金を返還したかどうかに関わらず、県や大学が離脱を妥当と認めていなければ、趣旨に反した採用は望ましくないとしています。
出典:厚生労働省 第34回医師需給分科会 資料1(2020年3月12日)、医政局医事課長通知(2017年7月31日、2018年8月20日一部改正)。
専門研修・専門医認定での扱い
日本専門医機構は、地域枠医師の専門研修について、都道府県の同意やキャリア形成プログラムとの関係を確認する対応方針を示しています。2023年10月24日付の方針は、2026年6月29日に改定されています(日本専門医機構の対応方針)。
都道府県と専攻医の間で協議し、研修プログラムの再検討、機構による仲介、協定調整委員会での調整などを経ても解決しない場合には、機構の判断で研修実績を認めない扱い等となることがあります。「県の同意なく離脱したら、自動的に専門医認定を受けられない」という単純な仕組みではありません。方針の適用対象・採用年度と、個別の契約条件を併せて確認してください。
離脱が認められるケースもある
国は県に対し、契約の時点で「離脱を認める事由」を示すよう求めています。家族の介護、体調不良、結婚、他県での就労希望などの場合は、義務年限に猶予期間を設けて再契約するなどの対応が望ましいとしています(出典:厚生労働省 第35回医師需給分科会 資料6、2020年8月31日)。
離脱の条件や猶予の扱いは県によって違います。出願前に、県の条例や契約書のひな形を読んでおくことが大切です。
実際にどのくらい離脱している?
厚生労働省の2020年公表資料では、2008〜2019年度に地域枠で入学した対象者9,707人のうち、調査時点で離脱していた人は450人、約4.6%でした。離脱した時期は学部6年次と卒後1〜3年目に多く、理由で最も多かったのは「希望する進路と不一致のため」です(第34回医師需給分科会資料1)。
この集計には在学生も含まれ、対象者ごとの観察期間は異なります。全員を卒後5年間追跡した離脱率でも、現在の地域枠入学者の将来の離脱確率でもありません。
地域枠のメリット・デメリット
メリット
メリット | 内容 |
|---|---|
経済的な負担が軽くなる | 修学資金の貸与と返還免除で、学費・生活費の負担が大きく減る |
一般枠と別に受験できる | 別枠方式なので、一般枠とは別の募集人数・合否判定で選ばれる |
卒後の進路が見えやすい | 県のキャリア形成プログラムで研修・勤務先が組まれる |
地域医療の経験を積める | 幅広い患者を診る経験を若いうちに積める |
デメリット
デメリット | 内容 |
|---|---|
卒後9年間の勤務地の制約 | 県内、かつ一部は医師少数区域での勤務が必要 |
診療科の制約がある場合も | 診療科選定地域枠や特定診療科の勤務条件がある |
離脱の負担が大きい | 一括返還(利息付きの県もある)、研修先の制限 |
ライフイベントとの調整 | 結婚・出産・介護と勤務地の調整が必要 |
「地域枠は入りやすい」と言われることがあります。しかし、枠ごとの倍率や合格者の学力は大学・年度によって違い、一概には言えません。地域枠でも、一般枠と同じ学力試験を課す大学が多くあります。
地域枠が向いている人・向いていない人
向いている人
その県で働き続けたい理由がはっきりしている(地元出身、家族がいる、地域医療に関心がある)
総合診療・内科・救急・小児科など、地域で求められる分野に関心がある
学費の負担を抑えることが、医学部進学の前提になっている
30代前半まで勤務地が決まっていることを、家族を含めて納得できる
向いていない人
都市部の特定の病院や、特定の専門分野(研究・海外留学など)に強くこだわっている
志望科がまだ決まっておらず、将来の選択肢を広く残したい
「一般枠より入りやすそう」が主な理由になっている
保護者が制度を十分に理解しないまま、本人に勧めている
面接では、なぜその県で働きたいのかを必ず聞かれると考えてください。地域の医療の課題(医師が少ない地域、不足している診療科)を、自分の言葉で説明できるように準備しましょう。
出願前の確認リスト
出願する前に、次の項目を募集要項・県の案内・契約書で確認してください。
No. | 確認すること | 確認先 |
|---|---|---|
1 | 選抜方式は別枠方式か、手挙げ方式か | 大学の募集要項 |
2 | 出願資格(出身地・居住地・高校所在地の条件) | 大学の募集要項 |
3 | 修学資金の有無、月額・総額、貸与期間 | 県の案内ページ |
4 | 義務年限の年数と、いつから数えるか | 県の条例・契約書 |
5 | 医師少数区域等での勤務年数と、対象の地域・病院 | 県のキャリア形成プログラム |
6 | 診療科の指定があるか | 大学の募集要項・県の案内 |
7 | 臨床研修・専門研修を県外で受けられるか(猶予の扱い) | 県の条例・案内 |
8 | 離脱時の返還方法、利息・違約金の率 | 県の条例・契約書 |
9 | 離脱や猶予が認められる事由(結婚・介護・病気など) | 県の条例・契約書 |
10 | 一般枠や他大学との併願の可否、合格後の辞退の可否 | 大学の募集要項 |
11 | 2027年度の募集人数が変更されていないか | 大学の入試ページ(出願直前まで) |
12 | 保護者も書面同意する内容を理解しているか | 県の同意書・契約書 |
県や大学が開く地域枠の説明会や相談会に参加し、現役の地域枠医師の話を聞くのも有効です。
よくある質問
Q1. 地域枠とは何ですか?一般枠との違いは?
地域枠は、卒業後に特定の県で一定期間働くことを条件に、一般枠と分けて選抜する入学枠です。一般枠には卒後の勤務義務がありません。地域枠は多くの場合、県の修学資金とセットになっています。
Q2. 地域枠の義務年限は何年ですか?
国の地域枠の定義では、卒業直後から県内で9年以上です。修学資金の場合は「貸与期間の1.5倍」と定める県が多く、6年間借りると9年になります(埼玉県、自治医科大学など)。
Q3. 地域枠のデメリットは何ですか?
指定された地域・医療機関での勤務が求められ、診療科が指定される枠もあります。義務年限、県外研修の承認、離脱時の返還条件は制度によって異なります。例えば貸与期間の1.5倍を義務年限とする制度では、6年間の貸与で9年間が基本になります。出願前に契約内容と希望する進路が両立するか確認してください。
Q4. 地域枠を途中でやめることはできますか?
できますが、負担は大きいです。修学資金は一括返還となり、埼玉県では2025年4月以降の入学者に年10%の利息が付きます。県や大学が離脱を認めていない場合、他県の臨床研修病院に採用されにくい仕組みもあります。
Q5. 埼玉県の地域枠はどの大学にありますか?
埼玉県の地域枠医学生奨学金の指定大学は、埼玉医科大学、順天堂大学、日本医科大学、日本大学、北里大学、東京医科大学、東京科学大学、獨協医科大学の8校です(埼玉県、2026年9月27日確認)。貸与額は月額20万円以内です。
Q6. 自治医科大学と地域枠は何が違いますか?
自治医科大学は、入学者全員が修学資金の貸与を受け、卒後に出身県の指定病院で貸与期間の1.5倍の期間働く仕組みです。一般の大学の地域枠は、定員の一部だけに設けられます。自治医科大学の詳細は、別の記事で解説する予定です。
Q7. 2027年度に地域枠は減りますか?
2027年度の医学部総定員は、2025年度の9,393人を上限に全体として削減する方針です。医師多数県では臨時定員の地域枠が一定数削減される予定です。一方で、恒久定員内に地域枠を設ける動きも進んでいます。志望校の募集人数は、最新の募集要項で確認してください。
Q8. 地域枠は入りやすいですか?
一概には言えません。倍率や合格者の学力は大学・年度で異なり、一般枠と同じ学力試験を課す大学も多くあります。「入りやすさ」だけで選ぶと、入学後や卒業後に後悔する原因になります。
まとめ
医学部の地域枠は、卒後に特定の県で働くことを条件にした、一般枠とは別の入学枠です。
選抜は別枠方式が基本で、出願時に9年間の勤務義務に書面で同意します。
修学資金は県ごとに異なります。埼玉県は月額20万円以内で、貸与期間の1.5倍(9年間)の勤務で返還免除です。
離脱すると一括返還(利息付きの県もある)となり、臨床研修・専門研修の選択も制限されます。
2027年度は医学部総定員を削減する方針で、地域枠の人数も変わる可能性があります。
地域枠は、学費の負担を減らしながら医師を目指せる制度です。同時に、15年先までの進路を18歳で決める選択でもあります。制度を理解し、家族と話し合ってから出願を決めてください。
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