情報確認日:2026年10月3日。書誌情報は駿台文庫の公式ページで確認した内容です。「編集部の提案」と書いた部分は、公式情報ではなく学習の進め方についての私たちの考えです。
結論:基礎解法を自力で使えるかで、基礎編か実戦編かを選ぶ
駿台文庫の「短期攻略 大学入学共通テスト 数学I・A」には、解法パターンを身につける基礎編と、共通テスト形式のオリジナル問題を単元別に演習する実戦編があります。どちらを選ぶかは、評判や模試の点数の目安よりも、教科書レベルの基本解法を、解答を見ずに自力で使えるかどうかで判断するのが分かりやすい、というのが編集部の考えです。
- 基本の解き方を思い出せない単元が多い:基礎編から始める。または苦手な単元だけ基礎編で確認してから実戦編へ進む
- 基本解法は使えるが、共通テスト形式の誘導や目標時間内の処理に不安がある:実戦編で単元別に演習する
- 本番と同じ通し形式で時間配分を練習したい:実戦編とは別に、通し形式の問題で練習する
以下では、公式ページで確認できる事実と、編集部の学習提案を分けて説明します。
基礎編と実戦編の違い
実戦編〈改訂版〉の公式ページによると、実戦編は単元別に並べたオリジナル問題58題で構成されています。各問には目標時間と3段階の難易度が示され、単元の中ではおおむね易しい問題から難しい問題へと並んでいます。出版社は、1日2題のペースなら約1か月で終えられるという目安も示しています。表示価格は税込1,210円です(確認日時点)。
一方、基礎編〈改訂版〉の公式ページによると、基礎編は基本的な解法パターンを例題と類題で身につける構成で、STAGE1(基礎)とSTAGE2(応用)に分かれています。69テーマに例題と類題が各110題、総合演習が7題収録されています。
| 項目 | 基礎編〈改訂版〉 | 実戦編〈改訂版〉 |
|---|---|---|
| 著者 | 吉川浩之・榎明夫 | 榎明夫・吉川浩之 |
| 主な役割 | 基本解法パターンの習得 | 共通テスト形式の単元別演習 |
| 構成 | 例題・類題、STAGE1・STAGE2 | オリジナル58題、目標時間と難易度3段階つき |
| 判型・ページ数 | A5判・304ページ | A5判・192ページ |
| ISBN | 978-4-7961-2390-7 | 978-4-7961-2392-1 |
同じシリーズには旧版や数学II・B・C版もあります。購入時は書名の〈改訂版〉表記とISBNが上の表と一致するかを確認してください。本記事は数学I・Aの改訂版2冊だけを扱っています。
実戦編のレベルと難易度をどう読むか
本全体のレベルを一言で決めるより、各問題に付いている難易度表示と目標時間を「自分の到達度を測る物差し」として使うのが実用的です。本番の試験と比べて難しいか易しいかは、本記事では断定しません。
編集部の提案としては、単元ごとに易しい表示の問題から解き、目標時間内に根拠を持って解けるかを確認します。易しい問題で手が止まる単元は基礎の確認が先、難しい表示の問題まで時間内に解ける単元は演習量を減らして他の単元に時間を回す、という使い分けができます。
自己チェック:基礎解法を自力で使えるか
実戦編に進む前に、苦手な単元について次の3点を確かめてみてください(編集部の提案)。
- 教科書の例題を見て、解答を見ずに「何を求めるか」「どの公式や考え方を使うか」を言える
- 途中式を書きながら、最後まで計算し切れる
- 間違えたとき、解説を読めば「どこで何を誤ったか」を自分の言葉で説明できる
できない項目が多い単元は、基礎編の該当テーマや教科書で確認してから実戦編に戻るほうが、解説を読んでも分からない状態が続くのを避けやすくなります。
実戦編の使い方:5つのステップ
ここからは編集部が提案する進め方です。問題数をこなすことより、同じ問題を根拠を持って解き直せるようにすることを目的にしています。
①時間を測らずに基本を確認する
その単元で初めて解く問題は、時間を気にせず解きます。方針が立たない場合は、すぐ解答を読むのではなく、使えそうな公式や考え方を書き出してから解説を確認します。
②目標時間で解き、根拠を記録する
次の問題からは目標時間を意識して解きます。各設問で「なぜその方針を選んだか」を1行でメモしておくと、正解した問題でも偶然かどうかを見分けられます。
③誤りを4つに分類する
間違えた設問は、原因を次のように分けると、次に何をすべきかがはっきりします。
| 分類 | よくある状態 | 次の行動 |
|---|---|---|
| 知識 | 公式や定理を思い出せない、誤って覚えている | 教科書や基礎編の該当テーマで確認し、要点を自分で書き出す |
| 立式 | 誘導の意図が読めず、式を立てられない | 誘導文の各行が何を求めているかを言い換えてから解き直す |
| 計算 | 方針は合っているが計算で崩れる | 途中式を省かずに書き、検算する箇所を決めておく |
| 時間 | 解けるが目標時間を大きく超える | 手が止まった箇所を特定し、その部分だけ繰り返す |
④翌日と数日後に解き直す
間違えた問題と、迷いながら正解した問題は、翌日と数日後にもう一度解きます。解答を見ずに、②で書いた根拠を説明しながら解けるかを、理解を確認する目安にしましょう。
⑤通し形式の練習に移る
実戦編は単元別の演習書なので、本番と同じ構成で大問を続けて解き、時間配分を練習する用途とは異なります。単元ごとの弱点がある程度減ったら、通し形式の問題で全体の時間配分を練習しましょう。
4〜6週間で進める配分例
出版社が示す「1日2題で約1か月」は、新しい問題を解くペースの目安です。復習や解き直しの時間、定着にかかる時間は別に考える必要があります。以下はあくまで配分の一例です。
| 項目 | 案A(約4週間) | 案B(約6週間) |
|---|---|---|
| 新しい問題 | 1日3題×週5日 | 1日2題×週5日 |
| 復習日 | 週2日 | 週2日 |
| 向く状況 | 基本解法が安定していて、残り期間が短い | 誤りが多く、解き直しに時間がかかる |
どちらの場合も、復習日は削らないことを優先してください。予定より遅れたときは、新しい問題を減らして解き直しを確保するほうが、得点に結びつきやすいと編集部は考えます。参考書の冊数を増やすことより、根拠を説明できる問題を増やすことを目標にしましょう。
よくある質問
基礎編を全部終えてから実戦編に進むべきですか
必ずしもそうではありません。基本解法が使える単元は実戦編から始め、手が止まる単元だけ基礎編で確認する使い方もできます(編集部の提案)。
実戦編だけで本番の時間配分は練習できますか
実戦編は単元別に目標時間を意識して解く本です。試験全体を通した時間配分は、別に通し形式の問題で練習することをおすすめします。
何周すればよいですか
周回数そのものより、間違えた問題を解答を見ずに根拠つきで解き直せるかを基準にしてください。正解できて理由も説明できる問題は、繰り返す必要が小さくなります。
解説が分かりにくいと感じたら?
解説の感じ方は人によって異なるため、本記事では評価しません。解説を読んでも分からない問題が同じ単元で続く場合は、基礎の確認が先というサインとして、基礎編や教科書に戻ってみてください。
まとめ
実戦編は、単元別のオリジナル58題を目標時間と難易度表示つきで演習できる本です。基本解法を自力で使えるなら実戦編、まだ不安な単元があるなら基礎編で確認してから進む、という分岐で考えると選びやすくなります。使うときは、根拠の記録、誤りの分類、解き直しを組み合わせ、最後は通し形式の練習につなげましょう。

