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【母関数マスター講座 第15回】整数を分割する(分割数)〜オイラーの五角数定理への招待〜
前回(第14回)は、カタラン数の母関数が2次方程式から求まることを学びました。
今回は「整数の分割」という、一見単純なのに奥が深いテーマを母関数で扱います。高校の範囲を超えた話題ですが、母関数の考え方がそのまま適用できることを見てもらいたいと思います。
母関数マスター講座の全体像、シラバスは以下の記事でご覧ください。
https://note.com/goukalize/n/ne5f45c351ab2
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1. 整数の分割とは
正の整数 $${n}$$ を、1以上の整数の和として表す方法を「 $${n}$$ の分割」と言います。ただし、和の順序は区別しません。
例えば $${n = 4}$$ の分割は次の5通りです。
- $${4}$$
- $${3 + 1}$$
- $${2 + 2}$$
- $${2 + 1 + 1}$$
- $${1 + 1 + 1 + 1}$$
この個数を分割数と呼び、 $${p(4) = 5}$$ と書きます。 $${n}$$ が大きくなると分割数は急激に増え、 $${p(10) = 42}$$ 、 $${p(100) = 190569292}$$ にもなります。樹形図で数え上げるのは到底不可能です。
2. 母関数で分割数を捉える
分割を母関数の言葉に翻訳してみましょう。分割とは「部品 $${k}$$ を0個以上使う」操作の積み重ねです。
部品 $${1}$$ を使う回数の母関数: $${1 + x + x^2 + x^3 + \cdots = \frac{1}{1-x}}$$
部品 $${2}$$ を使う回数の母関数: $${1 + x^2 + x^4 + x^6 + \cdots = \frac{1}{1-x^2}}$$
部品 $${3}$$ を使う回数の母関数: $${1 + x^3 + x^6 + x^9 + \cdots = \frac{1}{1-x^3}}$$
これらをすべて掛け合わせたものが、分割数の母関数です。
$$
\begin{aligned}
\sum_{n=0}^{\infty} p(n) \, x^n = \prod_{k=1}^{\infty} \frac{1}{1 - x^k} \tag{①}
\end{aligned}
$$
①の構造は、第3回の硬貨問題や第4回の整数解の母関数と全く同じ発想です。「部品 $${k}$$ を何個使うか」をカッコ1つずつに割り当て、全部を掛け合わせる。母関数の基本原理が、ここでもそのまま生きています。
3. オイラーの五角数定理
①の右辺の逆数、つまり $${\prod_{k=1}^{\infty} (1 - x^k)}$$ を展開するとどうなるかを調べたのがオイラーです。驚くべきことに、この無限積はほとんどの項が消え合い、まばらな項しか残りません。
$$
\begin{aligned}
\prod_{k=1}^{\infty} (1 - x^k) = 1 - x - x^2 + x^5 + x^7 - x^{12} - x^{15} + \cdots \tag{②}
\end{aligned}
$$
②の右辺で $${x}$$ が生き残る指数は $${1, 2, 5, 7, 12, 15, 22, 26, \dots}$$ です。これらは $${\frac{m(3m-1)}{2}}$$ ( $${m = \pm 1, \pm 2, \pm 3, \dots}$$ )という規則に従っています。 $${m}$$ を正の整数に限ると通常の五角数( $${1, 5, 12, 22, \dots}$$ )になりますが、 $${m}$$ を全整数に拡張したものを「一般化五角数」と呼びます。負の $${m}$$ からは $${2, 7, 15, 26, \dots}$$ が加わり、②の指数列全体が一般化五角数の列になっています。
正確に書くと、
$$
\begin{aligned}
\prod_{k=1}^{\infty} (1 - x^k) = \sum_{m=-\infty}^{\infty} (-1)^m x^{m(3m-1)/2} \tag{③}
\end{aligned}
$$
③がオイラーの五角数定理(一般化五角数定理)です。
4. 分割数の漸化式への応用
五角数定理の真価は、分割数の漸化式を与えてくれる点にあります。①と③を組み合わせると、
$$
\begin{aligned}
\left( \sum_{n=0}^{\infty} p(n) \, x^n \right) \cdot \left( \sum_{m=-\infty}^{\infty} (-1)^m x^{m(3m-1)/2} \right) = 1 \tag{④}
\end{aligned}
$$
④の $${x^n}$$ の係数を比較することで、 $${p(n)}$$ を以前の値から計算する漸化式が得られます。ここで $${p(0) = 1}$$ (空の分割が1通り)、 $${p(m) = 0}$$ ( $${m < 0}$$ )と約束します。
$$
\begin{aligned}
p(n) = p(n-1) + p(n-2) - p(n-5) - p(n-7) + \cdots \tag{⑤}
\end{aligned}
$$
⑤の引く位置が一般化五角数の列に対応しています。このように、母関数の無限積という表現から、実用的な計算手段が導かれるのです。
まとめ
整数の分割は「部品 $${k}$$ を何個使うか」という母関数の基本構造で捉えられ、その母関数は $${\prod \frac{1}{1-x^k}}$$ という無限積になります。そしてオイラーの一般化五角数定理は、この無限積の逆数が形式的冪級数として一般化五角数のみを指数にもつ項(符号つき)に等しいという、驚くべき恒等式を与えてくれます。ここまで来ると、母関数が単なる計算道具ではなく、数学の深い構造を映し出す鏡であることが見えてきます。
次回、第16回では2進法と母関数の意外なつながりを探ります。
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