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【期待値マスター講座54】赤白n個ずつの隣接同色ペアの平均がn-1になる理由
この記事では、第XI部の自作演習1題目として「赤白 ${n}$ 個ずつを並べたときの隣接同色ペアの個数」の期待値を扱います。位置に依らず確率が一定になる対称性と、線形性の組合せで、簡潔な答え ${n-1}$ が出ます。
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シリーズ全体の流れを先に見たい方は、まず 期待値マスター講座の導入記事 からどうぞ。全56回の構成と読み進め方をまとめています。
https://note.com/goukalize/n/n9de4e3c6c4fb
問題
$${2n}$$ 個の玉のうち $${n}$$ 個が赤、 $${n}$$ 個が白である。これら $${2n}$$ 個を無作為に1列に並べたとき、隣接する2玉が同色である組の個数を $${X}$$ とする。 $${E(X)}$$ を求めよ。
第I部・第III部で扱った「個別の指示関数で分解」の発展形です。隣接ペアごとに指示関数を立てる、というのが流れ。
指示関数で分解
位置 $${k\in{1, 2, \ldots, 2n-1}}$$ について
$$
I_k = \begin{cases} 1 & (k \text{ 番目と } k+1 \text{ 番目が同色}) \\ 0 & (\text{それ以外}) \end{cases}
$$
と定めると $${X = \sum_{k=1}^{2n-1} I_k}$$。
「 $${k}$$ 番目と $${k+1}$$ 番目」のペアは、 $${2n}$$ 個の玉から特定の2席に2つを置く問題です。
同色になる確率
$${k}$$ 番目と $${k+1}$$ 番目に同色(赤赤または白白)が来る確率を求めます。 $${2n}$$ 個から特定の2席に置く玉の組合せは $${\binom{2n}{2}}$$ 通り(順序を考えると $${2n(2n-1)}$$ 通りですが、ここでは単に「2席にどの2玉が入るか」だけ見れば十分)。
「両方赤」になる組合せは赤 $${n}$$ 個から2個選ぶ $${\binom{n}{2}}$$ 通り。同じく「両方白」も $${\binom{n}{2}}$$ 通り。
$$
P(I_k = 1) = \frac{2\binom{n}{2}}{\binom{2n}{2}} = \frac{2\cdot \frac{n(n-1)}{2}}{\frac{2n(2n-1)}{2}} = \frac{n(n-1)}{n(2n-1)} = \frac{n-1}{2n-1}.
$$
ここで重要なのは、この確率が 位置 $${k}$$ に依らず一定 だということです。どの位置のペアでも、同じ $${\frac{n-1}{2n-1}}$$ の確率で同色になります。
線形性で和を取る
$${2n - 1}$$ 個のペアそれぞれが確率 $${\frac{n-1}{2n-1}}$$ で同色なので
$$
E(X) = (2n - 1)\cdot \frac{n-1}{2n-1} = n - 1.
$$
答えは $${E(X) = n - 1}$$。
きれいに $${2n - 1}$$ が約分されて、 $${n - 1}$$ という単純な形になります。
数値で確認
具体的に小さな $${n}$$ で見ます。
- $${n = 1}$$(赤1白1、計2個):ペアは1つ、必ず異色なので $${X = 0}$$、 $${E(X) = 0}$$。公式 $${n - 1 = 0}$$ と一致
- $${n = 2}$$(赤2白2、計4個):ペアは3つ、 $${E(X) = 1}$$。直接計算でも、6通りの並べ方それぞれの同色ペア数を平均すると1になる
- $${n = 3}$$(赤3白3、計6個):$${E(X) = 2}$$
- $${n = 10}$$(赤10白10、計20個):$${E(X) = 9}$$
「全長 $${2n}$$ の配列で、約半分が同色ペア」というのが感覚。
なぜ位置に依らず一定か
「 $${k}$$ 番目と $${k+1}$$ 番目が同色」の確率が、 $${k}$$ の値に依らず同じ $${\frac{n-1}{2n-1}}$$ になるのは、 「特定の2席にどの2玉が入るか」が全 $${\binom{2n}{2}}$$ 通りの中で対称 だからです。
どの2席を選んでも、「2玉の組合せ」の分布は同じ。だから「同色である確率」も同じ。 位置の対称性 が効いている、というのがポイントです。
これは、第III部の非復元抽出(記事17)や第IV部のヒット問題(記事23)と同じ構造です。 対称性に頼って、ややこしい場合分けを回避する 、というのが線形性 + 指示関数の中核技法です。
$${I_k}$$ たちは独立ではない
$${I_1, I_2, \ldots, I_{2n-1}}$$ は互いに独立ではありません。隣接するペアは中央の玉を共有しています。それでも線形性は使えるので、答えは出ます。
「分散」など独立性が必要な量を扱うときは、共分散項を考慮する必要があります(第VII部)。ただ、期待値だけなら問題なし、というのは何度も確認してきた通りです。
一般化:$${r}$$ 色のとき
色を $${r}$$ 種類に増やし、それぞれ $${n_1, n_2, \ldots, n_r}$$ 個ずつ(合計 $${N = \sum n_i}$$ 個)あるとき、隣接同色ペアの個数の期待値は
$$
E(X) = (N - 1)\cdot \frac{\sum_i n_i(n_i - 1)}{N(N - 1)} = \frac{\sum_i n_i(n_i - 1)}{N}.
$$
$${r = 2}$$、 $${n_1 = n_2 = n}$$ で $${N = 2n}$$ なら
$$
E(X) = \frac{2\cdot n(n - 1)}{2n} = n - 1
$$
で本問の結果と一致します。
3色以上にしても、 「個別の同色ペアの確率を足す」だけで一気に出る 、という構造は同じです。
練習問題
赤玉 $${n}$$ 個と白玉 $${m}$$ 個( $${n + m\ge 2}$$ )を無作為に1列に並べたとき、隣接同色ペアの個数の期待値 $${E(X)}$$ を求めよ。
総数 $${N = n + m}$$。1ペアが同色になる確率は
$$
\frac{\binom{n}{2} + \binom{m}{2}}{\binom{N}{2}} = \frac{n(n-1) + m(m-1)}{N(N-1)}.
$$
線形性で
$$
E(X) = (N - 1)\cdot \frac{n(n-1) + m(m-1)}{N(N-1)} = \frac{n(n-1) + m(m-1)}{N}.
$$
$${n = m}$$ なら $${\frac{2n(n-1)}{2n} = n - 1}$$ で本問と一致。 $${n = N, m = 0}$$(全部同色)なら $${\frac{N(N-1)}{N} = N - 1}$$ で「全ペア同色」になる、と整合します。
次に読む記事
次回は、自作演習2題目として「3個のうち最大と中央値の差」の期待値を扱います。順序統計量の公式 $${E(X_{(r)}) = \frac{r(n+1)}{k+1}}$$ を、 $${k = 3}$$ の場合で具体的に使い、線形性で2つの順序統計量の差を出します。
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