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【期待値マスター講座29】大学入試頻出の「得点の期待値」を指示関数でマスター!

    ゴウカライズ編集部
    4 June, 2026

    この記事では、入試で頻出する「得点の期待値」の問題を、指示関数で扱う練習をします。

    さいころの目で点数が変わる階段状の得点と、「条件を満たしたらボーナス」型の得点設計、2つの典型例を見ます。

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    シリーズ全体の流れを先に見たい方は、まず 期待値マスター講座の導入記事 からどうぞ。全56回の構成と読み進め方をまとめています。

    https://note.com/goukalize/n/n9de4e3c6c4fb


    まずは階段状の得点

    さいころを1回振り、出た目が $${k}$$ のとき $${k^2}$$ 点を獲得する。獲得点を $${X}$$ とするとき、 $${E(X)}$$ を求めよ。

    $${X = k^2}$$ となる確率はすべて $${\frac{1}{6}}$$ なので、定義通り

    $$
    E(X) = \frac{1}{6}\sum_{k=1}^{6} k^2 = \frac{1 + 4 + 9 + 16 + 25 + 36}{6} = \frac{91}{6}.
    $$

    答えは $${E(X) = \frac{91}{6}}$$。

    これは定義通りの計算ですが、 得点設計が「目に応じて変わる」だけならそれで十分 です。指示関数の出番はここでは特にありません。

    ところが、得点が「条件を満たしたらボーナス」のように 複数の条件の組合せ で決まるとき、指示関数を使うと整理が一気に楽になります。

    条件付き加点の例

    1から10までの番号がついたカード10枚から、無作為に3枚を取り出す。取り出したカードの番号がすべて偶数なら $${+5}$$ 点、1枚以上奇数を含むなら $${0}$$ 点とする。得点 $${X}$$ の期待値を求めよ。

    「すべて偶数」を事象 $${A}$$ とおきます。指示関数 $${I_A}$$ を使うと、得点は

    $$
    X = 5\cdot I_A
    $$

    と書けます。「 $${A}$$ が起これば $${5}$$ 点、起こらなければ $${0}$$ 点」をそのまま式にしただけです。

    期待値は線形性から $${E(X) = 5\cdot E(I_A) = 5\cdot P(A)}$$。 $${P(A)}$$ を求めます。

    偶数のカードは $${{2, 4, 6, 8, 10}}$$ の5枚なので

    $$
    P(A) = \frac{\binom{5}{3}}{\binom{10}{3}} = \frac{10}{120} = \frac{1}{12}.
    $$

    したがって

    $$
    E(X) = 5\cdot \frac{1}{12} = \frac{5}{12}.
    $$

    答えは $${E(X) = \frac{5}{12}}$$。

    複数のボーナス条件が乗るとき

    得点設計が複雑になり、複数のボーナス条件が組み合わさる場合も、指示関数を並べて線形性で処理できます。

    たとえば、「条件 $${A}$$ で $${+a}$$ 点、条件 $${B}$$ で $${+b}$$ 点、条件 $${C}$$ で $${+c}$$ 点」というルールなら

    $$
    X = a\cdot I_A + b\cdot I_B + c\cdot I_C
    $$

    と書けて

    $$
    E(X) = a\cdot P(A) + b\cdot P(B) + c\cdot P(C).
    $$

    条件 $${A, B, C}$$ が独立か否かは関係ありません。 各条件の確率さえ出れば、合計得点の期待値が線形性で出る という、扱いやすい形になります。

    例題:複数条件の得点設計

    さいころを2回振り、次のルールで得点 $${X}$$ を決める。
    ・2回とも偶数の目なら $${+3}$$ 点
    ・2回の目の合計が10以上なら $${+5}$$ 点
    ・1回目と2回目が同じ目(ゾロ目)なら $${+2}$$ 点

    $${E(X)}$$ を求めよ。

    3つの条件をそれぞれ事象 $${A, B, C}$$ とおき、 $${X = 3 I_A + 5 I_B + 2 I_C}$$。

    $${P(A) = }$$ 「2回とも偶数」 $${= \frac{3}{6}\cdot \frac{3}{6} = \frac{1}{4}}$$

    $${P(B) = }$$ 「和が10以上」 $${= P(S \in {10, 11, 12}) = \frac{3 + 2 + 1}{36} = \frac{6}{36} = \frac{1}{6}}$$

    $${P(C) = }$$ 「ゾロ目」 $${= \frac{6}{36} = \frac{1}{6}}$$

    線形性で

    $$
    E(X) = 3\cdot \frac{1}{4} + 5\cdot \frac{1}{6} + 2\cdot \frac{1}{6} = \frac{3}{4} + \frac{5}{6} + \frac{1}{3} = \frac{9 + 10 + 4}{12} = \frac{23}{12}.
    $$

    ここで、3つの条件 $${A, B, C}$$ は互いに独立ではありません。たとえば「2回とも偶数」と「ゾロ目」は両方が同時に起こることもあれば(4ゾロ、6ゾロなど)、片方だけのこともあります。

    それでも線形性は問題なく使えるので、 同時に起こる場合の重複 を気にせず、各条件の確率を素直に足せます。 「和の期待値は期待値の和」が、複雑な得点設計でもそのまま効く のが、線形性のありがたみです。

    注意:複数条件で1回ずつ加点なら線形性

    例題で「両方の条件が同時に起こったときに、両方の点数が加算される」と読みました。 これが線形性が素直に効くケース です。

    一方、「複数の条件が同時に起こっても1回しか加点されない」「条件が排他的(どれか1つだけ)」のような設計だと、指示関数を素朴に足すと重複してしまうので、 包除原理を経由する必要 が出てきます。問題文の読み方次第で扱いが変わるので、 「複数条件が同時に起きた場合の扱い」を必ず確認 してから式を立ててください。

    練習問題

    3個のさいころを同時に振る。
    ・「3個とも同じ目(ゾロ目)」なら $${+10}$$ 点
    ・「最大の目が6」なら $${+4}$$ 点

    2つの条件は両方とも独立に判定し、両方が同時に起こったら両方の点数が加算される。得点 $${X}$$ の期待値を求めよ。

    $${A}$$:3個ともゾロ目、$${B}$$:最大が6。 $${X = 10 I_A + 4 I_B}$$。

    $${P(A) = \frac{6}{6^3} = \frac{6}{216} = \frac{1}{36}}$$

    $${P(B) = P(\text{最大} = 6) = P(\text{最大}\le 6) - P(\text{最大}\le 5) = 1 - \bigl(\frac{5}{6}\bigr)^3 = 1 - \frac{125}{216} = \frac{91}{216}}$$

    線形性で

    $$
    E(X) = 10\cdot \frac{1}{36} + 4\cdot \frac{91}{216} = \frac{60}{216} + \frac{364}{216} = \frac{424}{216} = \frac{53}{27}.
    $$

    答えは $${E(X) = \frac{53}{27}\approx 1.96}$$ 点。

    「ゾロ目」と「最大が6」は両方同時に起こりうる(6のゾロ目)ので、両方とも加算される設計です。線形性は重複を気にせず素直に足せるので、計算は楽でした。

    次に読む記事

    次回は、もう一つの典型「連続する並びの個数」を扱います。さいころを $${n}$$ 回振って、 $${k}$$ 回目と $${k+1}$$ 回目が同じ目になる回数の期待値を、指示関数で出します。隣り合うペアごとに指示関数を立てる、というおなじみの分解を、また別の角度から見る回です。

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