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大学受験ブログ

【期待値マスター講座29】大学入試頻出の「得点の期待値」を指示関数でマスター!
この記事では、入試で頻出する「得点の期待値」の問題を、指示関数で扱う練習をします。
さいころの目で点数が変わる階段状の得点と、「条件を満たしたらボーナス」型の得点設計、2つの典型例を見ます。
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シリーズ全体の流れを先に見たい方は、まず 期待値マスター講座の導入記事 からどうぞ。全56回の構成と読み進め方をまとめています。
https://note.com/goukalize/n/n9de4e3c6c4fb
まずは階段状の得点
さいころを1回振り、出た目が $${k}$$ のとき $${k^2}$$ 点を獲得する。獲得点を $${X}$$ とするとき、 $${E(X)}$$ を求めよ。
$${X = k^2}$$ となる確率はすべて $${\frac{1}{6}}$$ なので、定義通り
$$
E(X) = \frac{1}{6}\sum_{k=1}^{6} k^2 = \frac{1 + 4 + 9 + 16 + 25 + 36}{6} = \frac{91}{6}.
$$
答えは $${E(X) = \frac{91}{6}}$$。
これは定義通りの計算ですが、 得点設計が「目に応じて変わる」だけならそれで十分 です。指示関数の出番はここでは特にありません。
ところが、得点が「条件を満たしたらボーナス」のように 複数の条件の組合せ で決まるとき、指示関数を使うと整理が一気に楽になります。
条件付き加点の例
1から10までの番号がついたカード10枚から、無作為に3枚を取り出す。取り出したカードの番号がすべて偶数なら $${+5}$$ 点、1枚以上奇数を含むなら $${0}$$ 点とする。得点 $${X}$$ の期待値を求めよ。
「すべて偶数」を事象 $${A}$$ とおきます。指示関数 $${I_A}$$ を使うと、得点は
$$
X = 5\cdot I_A
$$
と書けます。「 $${A}$$ が起これば $${5}$$ 点、起こらなければ $${0}$$ 点」をそのまま式にしただけです。
期待値は線形性から $${E(X) = 5\cdot E(I_A) = 5\cdot P(A)}$$。 $${P(A)}$$ を求めます。
偶数のカードは $${{2, 4, 6, 8, 10}}$$ の5枚なので
$$
P(A) = \frac{\binom{5}{3}}{\binom{10}{3}} = \frac{10}{120} = \frac{1}{12}.
$$
したがって
$$
E(X) = 5\cdot \frac{1}{12} = \frac{5}{12}.
$$
答えは $${E(X) = \frac{5}{12}}$$。
複数のボーナス条件が乗るとき
得点設計が複雑になり、複数のボーナス条件が組み合わさる場合も、指示関数を並べて線形性で処理できます。
たとえば、「条件 $${A}$$ で $${+a}$$ 点、条件 $${B}$$ で $${+b}$$ 点、条件 $${C}$$ で $${+c}$$ 点」というルールなら
$$
X = a\cdot I_A + b\cdot I_B + c\cdot I_C
$$
と書けて
$$
E(X) = a\cdot P(A) + b\cdot P(B) + c\cdot P(C).
$$
条件 $${A, B, C}$$ が独立か否かは関係ありません。 各条件の確率さえ出れば、合計得点の期待値が線形性で出る という、扱いやすい形になります。
例題:複数条件の得点設計
さいころを2回振り、次のルールで得点 $${X}$$ を決める。
・2回とも偶数の目なら $${+3}$$ 点
・2回の目の合計が10以上なら $${+5}$$ 点
・1回目と2回目が同じ目(ゾロ目)なら $${+2}$$ 点
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$${E(X)}$$ を求めよ。
3つの条件をそれぞれ事象 $${A, B, C}$$ とおき、 $${X = 3 I_A + 5 I_B + 2 I_C}$$。
$${P(A) = }$$ 「2回とも偶数」 $${= \frac{3}{6}\cdot \frac{3}{6} = \frac{1}{4}}$$
$${P(B) = }$$ 「和が10以上」 $${= P(S \in {10, 11, 12}) = \frac{3 + 2 + 1}{36} = \frac{6}{36} = \frac{1}{6}}$$
$${P(C) = }$$ 「ゾロ目」 $${= \frac{6}{36} = \frac{1}{6}}$$
線形性で
$$
E(X) = 3\cdot \frac{1}{4} + 5\cdot \frac{1}{6} + 2\cdot \frac{1}{6} = \frac{3}{4} + \frac{5}{6} + \frac{1}{3} = \frac{9 + 10 + 4}{12} = \frac{23}{12}.
$$
ここで、3つの条件 $${A, B, C}$$ は互いに独立ではありません。たとえば「2回とも偶数」と「ゾロ目」は両方が同時に起こることもあれば(4ゾロ、6ゾロなど)、片方だけのこともあります。
それでも線形性は問題なく使えるので、 同時に起こる場合の重複 を気にせず、各条件の確率を素直に足せます。 「和の期待値は期待値の和」が、複雑な得点設計でもそのまま効く のが、線形性のありがたみです。
注意:複数条件で1回ずつ加点なら線形性
例題で「両方の条件が同時に起こったときに、両方の点数が加算される」と読みました。 これが線形性が素直に効くケース です。
一方、「複数の条件が同時に起こっても1回しか加点されない」「条件が排他的(どれか1つだけ)」のような設計だと、指示関数を素朴に足すと重複してしまうので、 包除原理を経由する必要 が出てきます。問題文の読み方次第で扱いが変わるので、 「複数条件が同時に起きた場合の扱い」を必ず確認 してから式を立ててください。
練習問題
3個のさいころを同時に振る。
・「3個とも同じ目(ゾロ目)」なら $${+10}$$ 点
・「最大の目が6」なら $${+4}$$ 点
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2つの条件は両方とも独立に判定し、両方が同時に起こったら両方の点数が加算される。得点 $${X}$$ の期待値を求めよ。
$${A}$$:3個ともゾロ目、$${B}$$:最大が6。 $${X = 10 I_A + 4 I_B}$$。
$${P(A) = \frac{6}{6^3} = \frac{6}{216} = \frac{1}{36}}$$
$${P(B) = P(\text{最大} = 6) = P(\text{最大}\le 6) - P(\text{最大}\le 5) = 1 - \bigl(\frac{5}{6}\bigr)^3 = 1 - \frac{125}{216} = \frac{91}{216}}$$
線形性で
$$
E(X) = 10\cdot \frac{1}{36} + 4\cdot \frac{91}{216} = \frac{60}{216} + \frac{364}{216} = \frac{424}{216} = \frac{53}{27}.
$$
答えは $${E(X) = \frac{53}{27}\approx 1.96}$$ 点。
「ゾロ目」と「最大が6」は両方同時に起こりうる(6のゾロ目)ので、両方とも加算される設計です。線形性は重複を気にせず素直に足せるので、計算は楽でした。
次に読む記事
次回は、もう一つの典型「連続する並びの個数」を扱います。さいころを $${n}$$ 回振って、 $${k}$$ 回目と $${k+1}$$ 回目が同じ目になる回数の期待値を、指示関数で出します。隣り合うペアごとに指示関数を立てる、というおなじみの分解を、また別の角度から見る回です。
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