
Blog
大学受験ブログ

【期待値マスター講座10】 "期待値の線形性"はなぜ道具として「強力」なのか!?
この記事では、シリーズ全体の中核となる「期待値の線形性」を最初に紹介します。
さいころを ${n}$ 回振った目の和の期待値という典型題を、確率分布を求めずに1行で出すところを体験してください。
公式LINEでテキスト配布中
公式LINE追加→ 期待値テキスト と送信
で120ページ超えのテキストを自動送信!
ㅤ
無料勉強相談も受付中
学習相談も受け付けています。
ゴウカライズは情報の少ない獣医学部や医学部受験にも精通しています。
一般入試はもちろん、総合型選抜や推薦など、なんでもお問い合わせください!

シリーズ全体の流れを先に見たい方は、まず 期待値マスター講座の導入記事 からどうぞ。全56回の構成と読み進め方をまとめています。
https://note.com/goukalize/n/n9de4e3c6c4fb
言葉だけで言うと
期待値の線形性は、言葉で書くとたった一行です。
任意の確率変数 $${X, Y}$$ と実数 $${a, b}$$ について
$$
E(aX + bY) = aE(X) + bE(Y).
$$
「和の期待値は、期待値の和」。これだけです。証明は次の記事で扱うので、いまはこの式を認めて使うところを見ます。
線形性が革命的なのは、 どんな確率変数にも、独立性を仮定せずに成立する 点です。第I部で見てきた独立性や無相関の議論は、線形性を使うときには 一切必要ありません 。これは何度強調しても足りないくらい大切な事実です。
例題:さいころを$n$回振った目の和
さいころを $${n}$$ 回振り、出た目の和を $${S}$$ とする。 $${E(S)}$$ を求めよ。
まず、線形性を使わずに解こうとするとどうなるか見ておきます。確率分布 $${P(S=k)}$$ は、 $${n}$$ が大きくなるとどんどん複雑になります。 $${n=2}$$ でも前に書き出したように11通りの値があり、 $${n=3}$$ ではさらに増え、一般の $${n}$$ では場合の数が指数的に膨れます。 事実上、定義通りには手が出ない問題 です。
ここで線形性を使います。 $${k}$$ 回目に出る目を $${X_k}$$ とおくと、 $${X_k}$$ は $${1, 2, \ldots, 6}$$ を確率 $${\frac{1}{6}}$$ ずつでとるので
$$
E(X_k) = \frac{1+2+3+4+5+6}{6} = \frac{7}{2}.
$$
求めたい和 $${S}$$ は
$$
S = X_1 + X_2 + \cdots + X_n
$$
と $${n}$$ 個の確率変数の和に分解できます。期待値の線形性で
$$
E(S) = \sum_{k=1}^{n} E(X_k) = n \cdot \frac{7}{2} = \frac{7n}{2}.
$$
答えは $${E(S) = \frac{7n}{2}}$$。3行で出ました。
何が起きたか
ポイントは2つあります。
まず、 $${S}$$ そのものの分布を一切求めていない 。 $${P(S=k)}$$ を計算した瞬間はありません。それでも $${E(S)}$$ は出ました。これは、線形性が「全体の確率変数の値ごとに重み付け」ではなく、「部品ごとの期待値を足す」という別ルートで期待値を出せるからです。
次に、 各回が独立かどうかは一切問われていません 。たまたまさいころを独立に振っているので各 $${X_k}$$ は独立ですが、線形性の議論では独立性を使いませんでした。仮に「2回目以降は1回目の目に依存する」ような複雑な振り方をしても、 $${E(X_k)=\frac{7}{2}}$$ が成り立つ限り(独立性に関係なく $${X_k}$$ の確率分布が同じなら)、答えは同じ $${\frac{7n}{2}}$$ になります。
これが「線形性は強力」と繰り返し言われる理由です。
戦略:求めたい量を「小さな部品の和」に分解する
線形性が効くときの定石は、次の手順です。
- 求めたい確率変数 $${X}$$ を、期待値が簡単に出る小さな部品 $${X_1, X_2, \ldots, X_n}$$ の和に書き換える。
- 各部品 $${X_k}$$ の期待値を、それぞれ計算する。
- 線形性 $${E(X) = \sum_k E(X_k)}$$ で和を取る。
たとえば、上のさいころの例では、
- 全体の和 $${S}$$ という1つの確率変数を、
- 各回の目 $${X_1, \ldots, X_n}$$ という $${n}$$ 個の部品に分解し、
- 各 $${X_k}$$ の期待値はすぐ $${\frac{7}{2}}$$ と分かるので、
- 線形性で和を取る、
という流れでした。
シリーズ第IV部で扱う 指示関数 は、この「部品」を $${0/1}$$ 値の確率変数として作る道具です。指示関数と線形性を組み合わせると、入試で出る期待値問題のほとんどに対応できます。
補足:線形性が出てくる場面
線形性が活躍するのは、たとえば次のような場面です。
- 和の期待値:複数回の試行の目の和、点数の合計
- 個数の期待値:何回成功したか、何種類集まったか
- カードの並び:「カード $${k}$$ が間にある」「 $${k}$$ 番目が一致」など、項目ごとに条件を見たいとき
- 最大値・最小値の期待値: $${X = \sum_k \mathbf{1}_{{X\ge k}}}$$ という分解(tail-sum)を経由するとき
逆に、線形性が直接効かない場面もあります。 $${E(XY)}$$ や $${E(X^2)}$$、 $${E(\max(X,Y))}$$ などは、「和の形」にはなっていないので、線形性だけでは扱えません。これらをどう処理するかは、第VII部や第VI部で扱います。
練習問題
さいころを3回振り、出た目の積を $${X}$$、出た目の和を $${S}$$ とする。 $${E(X)}$$ と $${E(S)}$$ を求めよ。
$${E(S)}$$ は上の例題と同じく、 $${E(S) = 3\cdot \frac{7}{2} = \frac{21}{2}}$$ です。
$${E(X)}$$ は、 $${X = X_1 X_2 X_3}$$ と書けます。3回のさいころは独立なので、「独立な確率変数の積の期待値」の公式が使えて
$$
E(X) = E(X_1)E(X_2)E(X_3) = \Bigl(\frac{7}{2}\Bigr)^3 = \frac{343}{8}.
$$
ここで使ったのは線形性ではなく、独立な確率変数の積の公式です。 和なら線形性で独立性に触れず処理できる、積なら独立性が十分条件として使える という対比を、ここでも確認してください。仮に「3回のさいころが独立でない設計」(たとえば1回目と同じ目だけ出す細工をされたさいころ)なら、 $${E(X) = E(X_1)E(X_2)E(X_3)}$$ は無条件には使えません(厳密には、独立よりも弱い「無相関」で成り立つ場面もあります。詳細は第VII部)。一方、 $${E(S)}$$ のほうは設計が変わってもそのままです。
次に読む記事
次回は、線形性の正確なステートメントを書き、 証明の中で独立性を使っていないこと を、その場で確かめます。証明は短いので、いったん読んでおくと「なぜ独立性が要らないのか」が腑に落ちます。
【無料相談受付中】学習マネジメントはゴウカライズにおまかせを!
「成績が伸び悩んでいるけどどうやって打破すればいいかわからない…」
「塾・予備校に行ってるけど、全体の成績が思ったように上がらない…」
そんな悩みをお持ちの受験生・保護者の皆様、ゴウカライズにご相談ください!
入試を突破するため、私たちはあなたの志望校や受験方式に必要なすべてをトータルサポートします。
【一般入試】完全オーダーメイドの学習計画 :
入試は、わずかな失点が合否を分けることもあります。
あなたの現状と志望校の出題傾向を分析し、合格ラインに到達するための最短ルートを設計。
日々の進捗管理で、学習の遅れも見逃しません。
【推薦・総合型選抜】面接・小論文もプロが対応 :
推薦入試や総合型選抜で必須となる「面接・小論文・志望理由書」の対策もお任せください。
医学部や獣医系特有のテーマ(動物倫理や獣医療時事など)に対応できるプロ講師が、合格レベルの答案作成と受け答えを指導します。
プロ講師・優秀学生講師の個別指導 :
学習管理だけでなく、経験豊富なプロ講師や、高倍率から選抜された優秀な学生講師による完全個別指導も提供。
苦手科目の克服や過去問解説など、あなたのニーズに合わせた1対1の指導が可能です。
【医学部・獣医学部対策】特殊な対策に完全対応 :
医学部入試、獣医学部入試は特殊な対策が必要です。
面接などがある入試形式の場合、面接対策も侮れません。
そんな入試に精通したプロがゴウカライズには多数在籍しています。
ゴウカライズ代表の大北も医学部・獣医学部受験の指導経験は15年を超える大ベテランです。
まずは無料相談で、あなたの合格までのロードマップを一緒に描きませんか?
無理な勧誘は一切ありません。
予備校選びに迷っているなどの相談でも、客観的にアドバイスを行います。
公式LINEでいつでも無料相談を受け付けています!
https://goukalize-official-line-harness.tiny-atlas.workers.dev/r/Expected-Value
#オンライン予備校 #大学受験 #数学 #期待値 #線形性
医学部受験生はこちらへ!
獣医学部受験生はこちらへ!
ゴウカライズ編集部
オンライン予備校ゴウカライズの編集部が、大学受験に役立つ情報を整理してお届けしています。
