医学部の面接で聞かれる質問は、大きく「あなた自身」「医師・医療への理解」「医療の社会課題」の3つに分かれます。どの質問にも、結論 → 根拠となる経験 → 将来とのつながりの順で答えると、短くても伝わる回答になります。
この記事では、頻出質問を12のカテゴリーに整理し、それぞれ「悪い例 → 良い例」の回答例文を示します。個人面接・集団面接・MMI・集団討論の違い、志望理由書との一貫性、当日のマナー、準備スケジュールもまとめました。
先に全体像を表で示します。自分がまだ答えを用意できていない行から読み進めてください。
カテゴリー | 代表的な質問 | 回答の型 |
|---|---|---|
志望理由 | なぜ医師になりたいのですか | きっかけ → 気づき → 医師でなければならない理由 |
大学の志望理由 | なぜ本学なのですか | 大学の特色 → 自分の目標との接点 → 入学後の行動 |
理想の医師像 | どんな医師になりたいですか | 医師像を一言で → 背景の経験 → 具体的な行動 |
高校生活 | 高校で力を入れたことは | 活動 → 困難 → 工夫 → 学び |
長所・短所 | あなたの短所は | 短所 → 具体例 → 改善の行動 |
医療ニュース | 最近気になった医療ニュースは | 事実 → 課題 → 自分の意見 |
生命倫理 | 安楽死をどう考えますか | 論点整理 → 立場 → 反対意見への配慮 |
チーム医療 | チーム医療で大切なことは | 定義 → 大切な点 → 自分の経験 |
地域医療 | 地域医療の課題は | 現状 → 原因 → 医師としての関わり方 |
医師の働き方改革 | 働き方改革をどう思いますか | 制度の事実 → 利点と課題 → 自分の考え |
AIと医療 | AIで医師は不要になりますか | できること → できないこと → 医師の役割 |
逆質問・その他 | 最後に質問はありますか | 調べても分からない点を1つ |
医学部面接の形式は4種類
医学部の面接は、大学によって形式が大きく異なります。まず志望校の募集要項で、形式・時間・配点を確認してください。
形式 | 進め方 | 見られやすい点 | 対策の中心 |
|---|---|---|---|
個人面接 | 受験生1人に面接官が2〜3人程度 | 志望理由の一貫性、人柄、深掘りへの対応 | 自分の経験の棚卸し |
集団面接 | 受験生数人に同じ質問が順に出される | 他者の発言を聞く姿勢、簡潔さ | 1分以内で答える練習 |
MMI | 複数の部屋(ステーション)を回り、部屋ごとに別の課題に答える | 倫理的判断、共感、状況対応 | 課題文を読んで短時間で考える練習 |
集団討論 | 受験生同士で1つのテーマを話し合う | 協調性、議論の整理、傾聴 | 役割を決めずに議論を進める練習 |
面接の人数・時間・形式は大学と年度で変わります。上の表は一般的な傾向です。
個人面接
最も多い形式です。提出書類をもとに質問され、答えの内容をさらに深く聞かれます。1つの回答に対して「なぜ」「具体的には」と2〜3回掘り下げられる前提で準備します。
集団面接
同じ質問に受験生が順番に答えます。前の人と似た内容になっても構いません。無理に奇抜な答えを作るより、自分の経験で具体的に話す方が評価されやすいです。他の受験生が話している間の姿勢も見られています。
MMI(マルチプル・ミニ・インタビュー)
MMIは、Multiple Mini Interviewの略です。短い面接を複数回行い、それぞれ別の面接官が別の課題で評価します。1回の面接で印象が決まる偏りを減らすための方式です。
課題は、倫理的な場面(例:患者に病名を伝えるかどうか)、対人場面(例:怒っている相手への対応)、資料の読み取りなどです。課題文を読む時間が与えられ、その後に考えを話します。
集団討論
受験生5〜8人程度で1つのテーマについて話し合います。結論を出すこと自体より、議論への関わり方が評価の対象です。発言量が多い人が有利とは限りません。論点を整理する発言や、発言が少ない人に意見を求める発言も貢献になります。
面接官が見ている評価ポイント
面接官は、答えの「正しさ」より「医師として一緒に働ける人か」を見ています。評価の軸は、次の4つに整理できます。
誠実さ:分からないことを分からないと言えるか。書類と話す内容が一致しているか。
対話の力:質問の意図をつかんで答えているか。相手の話を最後まで聞けるか。
考える力:賛否が分かれる問題で、根拠を示して自分の立場を述べられるか。
医療への理解:医師の仕事の大変さも理解したうえで志望しているか。
文部科学省の「医学教育モデル・コア・カリキュラム(令和4年度改訂版)」は、医師に求められる基本的な資質・能力として、プロフェッショナリズム、総合的に患者・生活者をみる姿勢、生涯にわたって共に学ぶ姿勢、コミュニケーション能力、多職種連携能力、社会における医療の役割の理解など10項目を挙げています。面接の質問は、これらの資質を入学前の段階で確かめるものと考えると準備しやすくなります。
回答の基本の型
どの質問にも使える型は「結論 → 理由(経験) → 今後」です。最初の一文で質問に答え、次に根拠となる経験を1つだけ話し、最後に医師・大学での学びにつなげます。
1回の回答は、個人面接で1分前後、集団面接で30秒〜1分が目安です。長く話すより、短く答えて深掘りを待つ方が会話になります。
悪い回答には、共通する特徴があります。
結論が最後まで出てこない
「人の役に立ちたい」など、誰にでも言える抽象語で終わる
暗記した文章をそのまま読み上げている
深掘りされると、最初の答えと矛盾する
志望理由(なぜ医師になりたいのか)の回答例
最も重要な質問です。「医師 志望動機」は、医療職の中でなぜ医師なのかまで説明できると強くなります。看護師や薬剤師でも実現できる内容なら、面接官は「なぜ医師なのですか」とさらに理由を問うことがあります。
悪い例(例文)
小さいころから人の役に立つ仕事がしたいと思っていました。医師は人の命を救うことができる素晴らしい仕事なので、医師になりたいと考えました。
きっかけが具体的でなく、医師でなければならない理由がありません。
良い例(例文)
医師を志したのは、祖父の入院がきっかけです。主治医の先生は、検査の結果を祖父と家族の両方に、図を使って説明してくださいました。治療の選択肢とそれぞれの危険性を示したうえで、祖父の希望を何度も確認していた姿が印象に残っています。病気を治す技術だけでなく、患者が納得して治療を選べるように支える役割も医師にあると知りました。診断と治療方針に責任を持つ立場で患者を支えたいと考え、医師を志望しています。
「医師だから担える役割」(診断と治療方針への責任)に触れているため、他の医療職との違いが伝わります。
深掘りされやすい質問
そのとき、医師以外の医療職の働きには気づきましたか。
医師の大変な面は、どのように理解していますか。
親族に医師はいますか。その影響はありますか。
親や親族が医師であることは、隠す必要はありません。ただし「親が医師だから」だけでは受け身の理由に聞こえます。身近で見た医師の仕事から、自分が何を感じて決めたのかを話してください。
なぜこの大学なのかの回答例
「どこの大学でも言える理由」は評価されにくい質問です。大学の公式サイト、シラバス(授業計画)、パンフレットから特色を調べ、自分の目標と結びつけます。
悪い例(例文)
貴学は歴史と伝統があり、優れた先生方がそろっていて、医師国家試験の合格率も高いため志望しました。
どの大学にも当てはまり、入学後に何をしたいのかが見えません。
良い例(例文)
私は将来、地域の病院で幅広い病気を診られる医師になりたいと考えています。貴学では低学年から地域の医療機関で実習する機会があると知りました。早い段階で地域の患者さんや多職種の方と接し、教科書だけでは分からない課題を知りたいと考えています。入学後は実習の経験をもとに、地域医療に関わる学生の活動にも参加したいです。
大学の特色(ここでは早期の地域実習)と、自分の目標(地域の医師)がつながっています。実際に書くときは、志望校のカリキュラムを確認し、事実と違う内容を話さないでください。
地域枠で受験する場合
地域枠は、卒業後に一定期間、指定された地域で働くことを条件とする枠です。条件は都道府県や大学ごとに異なります。「その地域で働き続ける意思があるか」「その地域の医療課題を知っているか」を聞かれる前提で、地域の病院や医療体制を調べておきます。
理想の医師像の回答例
「理想の医師像」「目指す医師像」は、準備しておきたい質問の一つです。答えを一言で言い切ってから、その医師像を持った理由と、実現のための行動を話します。
悪い例(例文)
患者さんに寄り添い、信頼される優しい医師になりたいです。技術と人間性を兼ね備えた医師を目指します。
内容は正しいものの、全員が同じことを言えます。何をする医師なのかが分かりません。
良い例(例文)
私の理想は、患者さんが自分の治療を自分の言葉で説明できるまで対話する医師です。高校の保健委員として、健康診断の結果の見方を下級生に説明する機会がありました。数値を伝えるだけでは伝わらず、相手の生活に置き換えて話したときに初めて理解してもらえた経験があります。医療でも、専門用語を相手に合わせて言い換える力が大切だと考えています。大学では、コミュニケーションの授業や臨床実習で、説明の仕方を意識して学びたいです。
「対話する医師」という抽象的な言葉を、「患者が自分の言葉で説明できるまで」と具体的な状態で示しています。
理想の医師像を作る3つの軸
例文をそのまま使わず、次の3つの軸で自分の医師像を組み立ててください。
軸 | 自分に問うこと | 例 |
|---|---|---|
どこで | どんな場所・分野で働きたいか | 地域の病院、救急、研究、小児医療 |
どのように | 何を大切にして医療を行いたいか | 対話、多職種との連携、根拠に基づく判断 |
なぜ | その医師像を持った経験は何か | 家族の入院、ボランティア、部活動 |
3つを1文にまとめると「〇〇で、△△を大切にする医師」という形になります。これが面接の軸になり、他の質問の答えともつながります。
医師法から考える医師の役割
医師法第1条は、医師の任務を「医療及び保健指導を掌ることによつて公衆衛生の向上及び増進に寄与」することと定めています。治療だけでなく、病気の予防や健康の保持も医師の役割に含まれます。理想の医師像を考えるとき、予防や地域の健康づくりの視点を加えると内容に広がりが出ます。
高校生活・長所短所の回答例
人柄を確かめる質問です。成果の大きさより、困難にどう向き合ったかが見られます。
高校生活で力を入れたこと
悪い例(例文)
部活動のバスケットボールを3年間頑張りました。練習は大変でしたが、最後まで続けることができました。
「頑張った」「続けた」だけで、何を工夫し、何を学んだかがありません。
良い例(例文)
部活動で、練習メニューの見直しに取り組みました。2年生の夏に、けがで練習を休む部員が増えたことがきっかけです。顧問の先生と相談し、部員全員に体の状態を聞き取って、練習の量と強度を調整しました。意見が合わない部員とも何度も話し合い、全員が納得する形にするまで時間がかかりました。立場の違う人の意見を集めて1つの方針にまとめる経験は、多職種で働く医療の現場でも生かせると考えています。
長所と短所
短所は「医師として致命的でないもの」を選び、改善の行動をセットで話します。「短所はありません」や、長所の言い換え(「頑張りすぎるところ」など)は避けます。
悪い例(例文)
短所は心配性なところです。でも、心配性だからこそ慎重になれるので、長所でもあると思います。
良い例(例文)
短所は、一人で抱え込みやすいところです。文化祭の準備で担当の作業が遅れた際、周りに相談せず締め切り直前に困ったことがあります。それ以来、作業の進み具合を毎日メモし、遅れそうなときは早めに相談するようにしています。医療はチームで行うものなので、大学でもこの習慣を続けたいと考えています。
医療ニュースの回答例
「最近気になった医療ニュース」は、医学部面接の定番です。ニュースの事実を正確に述べ、課題を示し、自分の意見を加えます。事実があいまいなまま話すと、深掘りで答えられなくなります。
悪い例(例文)
医師の働き方改革に関心があります。お医者さんは忙しいので、休めるようになるのは良いことだと思います。
事実の説明がなく、意見も一面的です。
良い例(例文)
2024年4月から始まった、医師の時間外労働の上限規制に関心があります。勤務医の時間外・休日労働は、原則として年960時間が上限になりました。医師の健康を守ることは、医療の安全にもつながると考えます。一方で、医師が不足している地域では、診療体制を維持することが難しくなる可能性もあります。私は、医師の業務の一部をほかの職種と分担することや、地域の病院同士の連携を進めることが必要だと考えています。
制度の事実、利点、課題、自分の考えの4点がそろっています。
医師の働き方改革の要点
厚生労働省の資料をもとに、面接で使える事実をまとめます。
項目 | 内容 |
|---|---|
開始時期 | 2024年4月から、医師の時間外・休日労働の上限規制を適用 |
A水準 | 年960時間(一般の労働者と同程度) |
B水準・連携B水準 | 地域医療の確保のため、都道府県の指定を受けた医療機関では年1,860時間(連携B水準は各医療機関では年960時間) |
C-1水準・C-2水準 | 研修や高度な技能の修得のため、指定を受けた医療機関では年1,860時間 |
健康確保の措置 | 月100時間以上の時間外・休日労働が見込まれる医師への面接指導、勤務間インターバル(例:始業から24時間以内に9時間の連続した休息)の確保 |
今後の目標 | B水準・連携B水準は2035年度末をめどに解消することが目標 |
出典:厚生労働省「医師の働き方改革の制度について」、厚生労働省労働基準局「医師の時間外労働の上限規制に関するQ&A」
医療ニュースの準備のしかた
新聞やニュースサイトの医療面を週に数本読み、要点を3行でメモします。
厚生労働省などの公的な発表で、年や数値を確かめます。
1つのテーマについて「賛成の根拠」「反対の根拠」を両方書き出します。
面接直前に多くのテーマを覚えるより、3〜5テーマを深く理解する方が深掘りに対応できます。
生命倫理(安楽死・臓器移植・出生前診断)の回答例
倫理の質問に正解はありません。見られているのは、論点を整理し、異なる立場の人の考えを踏まえたうえで、自分の意見を述べる力です。
安楽死
日本には、安楽死を認める法律はありません。安楽死(薬物などで死期を早める行為)と、延命治療を行わない・中止する尊厳死は分けて考えます。
悪い例(例文)
本人が望んでいるなら、安楽死を認めるべきだと思います。苦しみ続けるのはかわいそうだからです。
良い例(例文)
安楽死の法制化には、慎重であるべきだと考えます。本人の意思を尊重することは大切です。しかし、家族への負担を気にして、本心とは違う選択をする人が出るおそれがあります。まずは、痛みや苦しみを和らげる緩和ケアを、どの地域でも受けられるようにすることが先だと考えます。そのうえで、本人の意思を確かめる仕組みについて社会で議論を続けることが必要だと思います。
「本人の意思」と「周囲からの圧力」の両方に触れているため、一面的な意見に見えません。
臓器移植
厚生労働省によると、2010年(平成22年)7月17日から改正臓器移植法が施行されました。改正により、本人の臓器提供の意思が不明な場合も、家族の承諾があれば脳死下での臓器提供ができるようになりました。15歳未満の人からの臓器提供も可能になりました。
面接では「臓器提供の意思表示をしていますか」「家族と話し合ったことはありますか」と、自分の考えを聞かれることがあります。提供する・しないのどちらを選んでも構いません。大切なのは、意思を表示し、家族と共有しておくことの意味を説明できることです。
出生前診断
出生前診断は、妊娠中に胎児の病気や染色体の変化を調べる検査です。母体の血液で調べる検査(NIPT)も広がっています。論点は、親が情報を得て準備できる利点と、検査結果が命の選別につながるおそれ、検査前後の説明(遺伝カウンセリング)の体制です。
良い例(例文)
出生前診断は、親が子どもの病気を早く知り、生まれた後の治療や生活の準備ができる点で意義があると考えます。一方で、結果だけが伝えられると、十分に考える時間がないまま判断を迫られるおそれがあります。検査の前後に専門家が丁寧に説明し、どの選択をしても親を支える体制が必要だと思います。
チーム医療の回答例
「チーム医療とは」「チーム医療で大切なことは」は、面接でも小論文でもよく出るテーマです。定義を正確に言えるようにしておきます。
厚生労働省「チーム医療の推進について」(2010年3月、チーム医療の推進に関する検討会報告書)は、チーム医療を「医療に従事する多種多様な医療スタッフが、各々の高い専門性を前提に、目的と情報を共有し、業務を分担しつつも互いに連携・補完し合い、患者の状況に的確に対応した医療を提供すること」と説明しています。
悪い例(例文)
チーム医療では、医師が判断し、ほかの職種はその指示に従えばよいと思います。
他職種の専門性や判断を軽視する答えは、多職種連携の考え方と合いません。医師がリーダーの役割を担うこと自体が問題なのではなく、互いの専門性を尊重して協力できるかが大切です。
良い例(例文)
チーム医療で大切なのは、職種ごとの専門性を尊重し、患者の情報と治療の目的を全員で共有することだと考えます。医師は診断と治療方針に責任を持ちますが、患者の生活の様子は看護師の方が詳しく知っていることもあります。私は部活動で、選手とマネージャーが練習の目的を共有していなかったために、準備がうまくいかなかった経験があります。それ以来、目的を最初に確認することを意識しています。医療の現場でも、職種を超えて意見を言い合える関係を作れる医師になりたいです。
チーム医療を小論文で書くときの注意
小論文でも、構成は面接と同じです。定義を示し、チーム医療が必要な理由(医療の高度化・複雑化など)を述べ、課題(情報共有の不足、職種間の上下関係など)と解決策を書きます。自分の経験は短く添える程度にし、論理の流れを優先します。
地域医療の回答例
地域医療の質問では、医師の偏在(地域や診療科による医師数の偏り)がよく取り上げられます。地域枠で受験する人は、特に深く聞かれます。
悪い例(例文)
地方は医師が足りないので、地方で働く医師が増えればよいと思います。
良い例(例文)
地域医療の課題は、医師の数が地域や診療科によって偏っていることだと考えます。医師が少ない地域では、一人の医師が幅広い病気を診る必要があります。私は、幅広い病気を診られる力を身につけることに加えて、遠隔診療などの技術や、近くの病院との連携を活用することが大切だと思います。将来は、地域の病院で働きながら、若い医師がその地域で働き続けたいと思える環境づくりにも関わりたいです。
AIと医療の回答例
「AIが発達すると医師は不要になりますか」という形で聞かれることがあります。AIにできることとできないことを分け、医師の役割を述べます。
悪い例(例文)
AIはどんどん進化しているので、将来は医師の仕事の多くがAIに置き換わると思います。
良い例(例文)
AIは、画像診断の補助など、多くの情報から特徴を見つける作業で医師を助けると考えます。一方で、AIの結果が正しいかを判断し、最終的な治療方針に責任を持つのは医師です。また、患者の価値観や生活を聞き取り、一緒に治療を選ぶ対話は、人が担う役割として残ると思います。AIを使いこなすための知識と、患者と向き合う力の両方を身につけたいです。
MMIの課題例と答え方
MMIでは、課題文を読んでから答えます。考える時間が短いため、答え方の手順を決めておくと落ち着いて話せます。
状況に関わる人(患者・家族・医療者など)を挙げる
それぞれの立場で何が問題かを考える
自分ならどう行動するかを述べ、理由を添える
別の選択肢や、確認したい情報にも触れる
課題例(例文)
あなたは医学部の学生です。実習中、同じ班の学生が、患者の個人情報が書かれたメモを病院の外に持ち出しているのに気づきました。あなたはどうしますか。
答え方の例(例文)
まず、その学生に持ち出しをやめるよう伝え、患者の情報がさらに広がらないようにします。同時に、持ち出しに気づいた事実を速やかに指導医や病院の指定する窓口に報告し、メモの回収・保管などはその指示に従います。事情は落ち着いて確認しますが、自分たちだけで処分して済ませることはしません。友人との関係に配慮しながらも、患者の個人情報と信頼を守る対応を優先したいと考えます。
「情報の拡散を防ぐ」「速やかに責任者へ報告する」「指示に従って対応する」という流れを示した回答例です。個人情報保護委員会のガイドライン(通則編・漏えい等が発覚した場合の対応)でも、責任ある立場への報告と被害拡大の防止が示されています。面接では、自分の行動とその理由を説明しましょう。
MMI・集団討論でよくある失敗
課題文の条件を読み落とし、別の状況について話してしまう
「正しい答え」を探して沈黙が長くなる
集団討論で、他の人の意見を否定することから話し始める
司会役を取ることが目的になり、議論の中身に貢献できない
志望理由書と面接の一貫性
面接官は、志望理由書や調査書を手元に置いて質問します。書類と面接で話す内容がずれていると、どちらかが本心ではないと受け取られます。
志望理由書の書き方の基本
志望理由書は、面接の「台本」ではなく「質問の出発点」です。面接で深掘りされても答えられる内容だけを書きます。
段落 | 書く内容 | 800字の場合の目安 |
|---|---|---|
1 | 医師を志したきっかけ | 約200字 |
2 | その経験から考えた、目指す医師像 | 約200字 |
3 | その大学を選んだ理由(特色との接点) | 約250字 |
4 | 入学後に取り組みたいこと | 約150字 |
字数の配分は目安です。大学が指定する設問や字数に合わせて調整してください。
一貫性を保つための準備
提出した志望理由書は必ずコピーを取り、面接前に読み返します。
書いた内容の一文ごとに「なぜ」「具体的には」を3回ずつ問い、答えをメモします。
併願校ごとに志望理由が違っても構いません。ただし、医師を目指すきっかけと理想の医師像は変えないようにします。
当日のマナー
マナーそのもので合否が決まることは少ないですが、第一印象は会話のしやすさに影響します。
場面 | 注意点 |
|---|---|
服装 | 高校生は制服、浪人生・再受験生はスーツが一般的。清潔感を優先する |
入室 | ノックをし、「どうぞ」と言われてから入る。「失礼します」と言って一礼する |
着席 | 名前と受験番号を名乗り、「どうぞ」と言われてから座る |
話し方 | 面接官の目を見て、少しゆっくり話す。分からない質問は「分かりません」と正直に答える |
退室 | 「ありがとうございました」と一礼し、ドアの前で再度一礼して出る |
待ち時間 | 控室での様子も見られていると考え、静かに過ごす |
オンライン面接の場合は、カメラの高さを目線に合わせ、背景を整理し、通信環境を事前に確認します。
面接の準備スケジュール
2027年度入試(2027年4月入学)を一般選抜で受ける場合を想定した目安です。学校推薦型選抜・総合型選抜を受ける人は、出願が秋になるため、全体を2〜3か月前倒しします。
時期 | やること |
|---|---|
高3の春〜夏 | 自分の経験を書き出す(きっかけ、部活動、失敗、学んだこと)。理想の医師像の3つの軸を考える |
夏〜秋 | 志望校の特色を調べる。医療ニュースを週に数本読み、メモを作る。志望理由書の下書きを作る |
秋〜12月 | 頻出質問の回答メモを作る。先生や家族に模擬面接をしてもらう |
1月 | 共通テストの後、志望校ごとに志望理由を仕上げる |
一次試験の合格発表後 | 志望理由書を読み返す。医療ニュースの最新情報を確認する。模擬面接で最終確認 |
私立医学部の一般選抜では、一次試験の合格発表から二次試験(面接など)までの期間が短い大学があります。学科の勉強が忙しい時期に慌てないよう、回答メモは秋までに作っておくと安心です。
回答メモの作り方
回答は文章で丸暗記せず、キーワードで覚えます。暗記した文章は、途中で言葉が詰まると続きが出てこなくなるためです。
質問ごとに「結論」「経験」「今後」の3つのキーワードを書く
声に出して1分で話し、録音して聞き返す
深掘りされそうな質問を自分で3つ考え、答えを用意する
よくある質問
医学部の面接で落ちることはありますか
あります。面接の配点が低い大学でも、面接の評価が一定の基準に届かない場合は、学科試験の点数にかかわらず不合格とすることがあります。志望校の募集要項で、面接の扱いを確認してください。
理想の医師像の例文をそのまま使ってもよいですか
おすすめしません。例文は型の参考にとどめ、医師像の中身は自分の経験から作ってください。例文のままでは深掘りの質問に答えられなくなります。
医師の志望動機に「親が医師だから」と言ってもよいですか
言っても構いません。ただし、それだけでは受け身の理由に聞こえます。親の仕事を見て何を感じ、なぜ自分も医師を選んだのかまで話してください。
医学部の面接対策はいつから始めればよいですか
一般選抜なら、高3の夏から自分の経験の棚卸しを始めると余裕があります。学校推薦型選抜や総合型選抜は出願が秋のため、高3の春には始めてください。
MMIがある大学はどう対策すればよいですか
医療倫理や対人場面の課題文を読み、2分程度で考えを話す練習を繰り返します。答えの手順(関係者を挙げる→問題を考える→行動と理由を述べる→別の選択肢に触れる)を決めておくと、初めて見る課題でも対応できます。
医療ニュースはいくつ準備すればよいですか
3〜5テーマを深く理解することをおすすめします。医師の働き方改革、地域医療、AIと医療、生命倫理(安楽死・臓器移植)などから選び、事実と自分の意見をまとめておきます。
医学部の小論文対策と面接対策は分けるべきですか
テーマの多くは共通しているため、まとめて準備すると効率的です。チーム医療や生命倫理について小論文で書いた意見は、面接でも使えます。書いた内容を声に出して説明する練習を加えてください。
浪人や再受験の理由は聞かれますか
聞かれることが多い質問です。前年の反省と、この1年で何を改善したかを具体的に話します。再受験生は、前の進路や仕事の経験が医師の仕事にどう生きるかを説明できるようにしておきます。
まとめ
医学部面接の形式は、個人面接・集団面接・MMI・集団討論の4種類です。志望校の形式を募集要項で確認します。
どの質問も「結論 → 理由(経験) → 今後」の型で、1分前後で答えます。
理想の医師像は「どこで」「どのように」「なぜ」の3軸で、自分の経験から作ります。
医療ニュースは、医師の働き方改革(2024年4月開始、原則年960時間)など、事実を公的な資料で確認してから話します。
志望理由書と面接の内容をそろえ、書類の一文ごとに深掘りへの答えを用意します。
回答は丸暗記せず、キーワードで覚えて声に出す練習を重ねます。
面接・小論文の相談はゴウカライズMEDICALへ
ゴウカライズMEDICALは、医学部専門の完全オンライン予備校です。志望理由書や面接の準備について、公式LINEで無料の学習・受験相談を受け付けています。

