私立大学の獣医学科を推薦入試で目指す受験生と保護者に向けて、2027年度入試の主な推薦方式を各大学の公式募集要項で確認し、科目・日程・専願条件を整理しました。
先に結論です。今回確認した6大学の代表的な推薦方式は、いずれも基礎学力試験・確認テスト・試問のいずれかを課しています。さらに、日本大学・麻布大学・日本獣医生命科学大学は試験日がそろって11月21日で、どの大学も「第一志望」「入学確約」「専願」といった条件を出願資格に含めています。ゴウカライズ編集部は、私大獣医の推薦を「小論文と面接だけで済む楽な抜け道」とは考えていません。科目と日程を早めに確定させ、一般入試と並行できる学力対策を進めることをおすすめします。
※確認日は2026年10月8日です。2027年度入学者向けの推薦入試は2026年秋~冬に実施されます。対象は獣医学科(酪農学園大学は獣医学類)で、獣医保健看護学科や動物科学系の学科は含みません。公募推薦・一般推薦を中心に代表的な方式を比較しており、指定校推薦や地域枠などすべての方式を網羅したものではありません。
2027年度の私大獣医推薦で押さえる3つのポイント
- 科目:英語・数学・理科が中心の大学が多い一方、日本大学は国語・数学・英語、酪農学園大学の一般推薦は数学と理科(英語なし)です。同じ「理科」でも、基礎科目だけか発展科目まで含むかが大学・方式で異なります。
- 日程:試験は11月15日から12月19日にかけて集中し、11月21日は3大学が重なります。
- 専願と出願資格:専願や入学確約の意味、評定平均、対象となる卒業年度は大学ごとに違います。ある大学の条件を別の大学にそのまま当てはめないことが大切です。
6大学の推薦方式と試験科目の比較
2027年度の各大学公式要項で確認した選抜方法の要点です。範囲や注意事項の詳細は、次の大学別の項目と公式要項で確認してください。
| 大学・方式 | 学力試験と評価方法 |
|---|---|
| 日本大学 獣医学科 公募制 | 確認テスト:国語・数学・英語(3教科60分・各50点)+面接150点+書類 |
| 麻布大学 獣医学科 公募推薦 | 基礎学力ペーパー:英語30点・数学30点・理科40点(60分)+小論文(60分・50点)+面接(A~D評価) |
| 日本獣医生命科学大学 獣医学科 一般公募推薦 | 基礎学力検査:英語・数学I/A・理科(生物基礎または化学基礎)の3科目90分+小論文(400字以内・60分)+口頭試問+書類 |
| 北里大学 獣医学科 公募制 | 基礎学力試験:英語・数学・理科1科目(90分・150点)+個人面接(15分・20点)+調査書30点 |
| 酪農学園大学 獣医学類 一般推薦 | 基礎学力試験:数学I・A 50点+化学基礎または生物基礎50点(60分・英語なし・基準点あり)→小論文100点+面接100点で選抜 |
| 岡山理科大学 獣医学科 推薦A | 試問:英語・数学・理科1科目(90分・300点)+調査書100点+面接 |
| 岡山理科大学 獣医学科 推薦B | 試問:英語・数学・理科1科目(120分・300点)+調査書50点+面接 |
同じ「3科目型」に見えても、時間・配点・理科の範囲はそろっていません。たとえば日本獣医生命科学大学の理科は生物基礎または化学基礎ですが、北里大学と岡山理科大学の推薦Bは物理・化学・生物の発展範囲まで含む科目から1つを選びます。志望校の候補が決まったら、まず理科を何で受けるかを確定させましょう。
大学別の確認ポイント
日本大学(獣医学科):国語を含む確認テストと面接
学校推薦型選抜(公募制)の獣医学科の募集人員は13人です。選考は、国語・数学・英語の確認テスト(3教科で60分、各50点の計150点)、面接150点、書類で行われます。面接の配点が確認テストと同じ150点であることに加え、面接が最低基準に達しない場合は、総合点が合格最低点を上回っていても不合格になる場合があると示されています。
出願資格は、2027年3月卒業見込みの人、または2026年3月卒業者などで、学校長の推薦を受け、本学科を第一志望として合格した場合に入学を確約できることなどです。在外教育施設や付属校に関する細かな条件は要項本文で確認してください。獣医学科以外の学科で案内されている2教科選択の方式と混同しないことも大切です。出願は11月6日~11月13日(書留郵送・必着)、試験は11月21日です。
編集部の見方として、理系科目中心で準備してきた人は国語の対策時間を別に確保する必要があるため、要項を確認した段階で学習計画に組み込んでおくと慌てずに済みます。
根拠:日本大学生物資源科学部 入試情報(2027(令和9)年度 学校推薦型選抜(公募制)要項 p.1~3)
麻布大学(獣医学科):基礎学力ペーパーと小論文、専願の意味に注意
公募推薦の募集人員は28人で、これとは別に2025年度卒業の既卒者を対象とした若干名の枠があります。現役生(2026年4月~2027年3月に卒業見込みなど)は学校長の推薦が必要です。2025年度卒業者(2025年4月~2026年3月卒業)は、学校長の推薦に加えて全体の評定平均値3.7以上が条件です。この評定3.7以上は2025年度卒業者について示された条件なので、現役生の条件は要項で別に確認してください。
試験は基礎学力ペーパー(60分)で、英語30点、数学30点、理科40点です。数学は数学Iと数学Aの「場合の数と確率」、理科は「生物基礎・生物」または「化学基礎・化学」から試験当日に1科目を選びます。ほかに小論文(60分・50点)と、A~Dで評価される面接があります。
麻布大学の専願は、他大学との併願自体は可能で、麻布大学に合格した場合は必ず入学するという意味です。ほかの大学の「第一志望」「入学確約」も同じ意味だとは限らないため、大学ごとに要項で読み取ってください。出願は11月2日~11月9日(消印有効)、試験は11月21日です。
根拠:麻布大学 入試情報(2027年度 学生募集要項 p.44~45)
日本獣医生命科学大学(獣医学科):理科は「基礎」範囲、書類締切は別日
一般公募推薦の出願資格は、2026年4月1日~2027年3月31日に高校等を卒業(見込み)、評定平均3.5以上、学校長の推薦、第一志望として合格した場合に入学を確約できることなどです。他学科には既卒者も対象とする条件がありますが、獣医学科は上記の期間に卒業(見込み)の人が対象です。
選考は、英語・数学I/A・理科(生物基礎または化学基礎)の3科目による基礎学力検査(90分)、400字以内・60分の小論文、口頭試問、書類です。理科は基礎科目の範囲なので、発展範囲に時間をかけすぎるより、基礎範囲の取りこぼしをなくす計画が合っていると編集部は考えます。
出願はWeb登録が11月2日~11月13日、書類の提出が11月16日必着、試験は11月21日です。Web手続きの最終日と書類の締切日が違うので、両方を予定表に書き込んでおきましょう。
根拠:日本獣医生命科学大学 入試要項(2027年度 p.4、p.8~9)
北里大学(獣医学科):基礎学力試験150点が中心
学校推薦型選抜(公募制)の獣医学科の募集人員は20人です。2027年度要項では、基礎学力試験(英語・数学・理科、90分・150点)、個人面接(15分・20点)、調査書(30点)で選抜します。小論文中心の対策情報を見かけた場合も、2027年度要項の配点を基準に準備してください。
数学の範囲は数学I・II・A、数学Bの「数列」、数学Cの「ベクトル」です。理科は「物理基礎・物理」「化学基礎・化学」「生物基礎・生物」から1科目を選びます。
出願資格は、2025年4月1日~2027年3月31日に高校等を卒業(見込み)、評定平均3.7以上、学校長の推薦などに加え、数学I・II・A・B・Cの履修、物理・化学・生物のうち2科目以上の履修、英語の履修に関する要件があります(履修見込みを含む)。試験で選ぶ理科は1科目でも、高校での履修は2科目以上が条件なので混同しないようにしてください。
公募制は専願者として扱われ、合格後の入学辞退は原則として認められません。出願は11月2日~11月6日(消印有効、国外からの送付は必着)、試験は11月15日で、今回の6大学のなかでは締切・試験日ともに最も早い日程です。
根拠:北里大学 入試情報(2027年度 総合型選抜・学校推薦型選抜 要項 p.32、p.65)
酪農学園大学(獣医学類):一般推薦は英語なし、基準点の後に200点で選抜
獣医学類の一般推薦は、伴侶動物医療、馬医療、公務員獣医師、研究者などを志望する人向けの方式です。生産動物臨床を志望する人には、別に生産動物医療推薦があります。自分の進路希望と方式の趣旨が合っているか、出願前に確認しましょう。
一般推薦の出願資格は、2026年3月卒業者(1浪まで)または2027年3月卒業見込み、評定平均3.5以上、学校長の推薦、専願(合格した場合は必ず入学)です。
試験はまず基礎学力試験(60分)で、数学I・A(50点)と化学基礎または生物基礎(50点)を受けます。英語は課されません。基礎学力試験には非公表の基準点があり、満たさない場合は不合格です。基準を満たした受験者を、小論文(60分・800字以内・100点)と面接(100点)の計200点で選抜します。3つを単純に足した300点満点の方式ではない点に注意してください。
出願登録は11月1日9時~11月10日15時、書類は11月10日必着、試験は11月22日です。酪農学園大学の推薦はすべて専願ですが、指定校推薦や後継者を対象とする推薦などは条件や選抜方法が異なります。一般推薦の内容をほかの推薦方式に当てはめないでください。
根拠:酪農学園大学 Web出願・入試要項(2027年度 入試要項 p.18、p.54)/酪農学園大学 入試案内ページ
岡山理科大学(獣医学科):推薦AとBで範囲・時間・日程が違う
獣医学科の推薦A・推薦Bはどちらも専願で、第一志望として合格した場合は必ず入学することが条件です。学校長の推薦も必要で、卒業年度などの資格は要項で確認してください。他学科の推薦には併願制の方式もあるため、混同しないよう注意が必要です。
- 推薦A:調査書(評定平均×20)100点+試問3科目(90分・300点)+面接。英語・数学は必須で、数学は数学I・II・A・B。理科は物理基礎・化学基礎・生物基礎から1科目を試験開始後に選びます。出願は10月30日~11月9日(Web登録は17時締切、書類は11月9日消印有効)、試験は11月18日(今治キャンパスのみ)。
- 推薦B:調査書(評定平均×10)50点+試問3科目(120分・300点)+面接。数学は数学I・II・A・Bと数学Cの「ベクトル」、英語、理科は「物理基礎・物理」「化学基礎・化学」「生物基礎・生物」から1科目。出願は11月26日~12月10日(Web登録は17時締切、書類は12月10日消印有効)、試験は12月19日(今治・東京)。
AとBでは、理科の範囲(基礎のみか発展まで含むか)、数学Cの有無、試験時間、調査書の配点が異なります。一方の方式の問題だけでもう一方に備えるのは避け、方式ごとに範囲を合わせて演習しましょう。また、面接で適格性を欠くと判断された場合は不合格となる可能性があります。
根拠:岡山理科大学 2027年度 獣医学科 推薦A(p.78~79)/岡山理科大学 2027年度 獣医学科 推薦B(p.80~81)
試験日の重なり:2026年11月21日は3大学が同日
次の表の日付はすべて2026年です。国外からの出願などの例外も、各大学の要項で確認してください。
| 試験日 | 大学・方式(出願締切) |
|---|---|
| 11月15日 | 北里大学 公募制(11月6日消印有効) |
| 11月18日 | 岡山理科大学 推薦A(Web 11月9日17時/書類同日消印有効) |
| 11月21日 | 日本大学 公募制(11月13日必着) 麻布大学 公募推薦(11月9日消印有効) 日本獣医生命科学大学 一般公募推薦(Web 11月13日/書類11月16日必着) |
| 11月22日 | 酪農学園大学 一般推薦(登録11月10日15時/書類同日必着) |
| 12月19日 | 岡山理科大学 推薦B(Web 12月10日17時/書類同日消印有効) |
日本大学・麻布大学・日本獣医生命科学大学は試験日が同じ11月21日のため、この3校から受験できるのは1校だけです。翌22日には酪農学園大学の試験があり、北里大学(15日)や岡山理科大学推薦A(18日)とも日が近いため、移動や体調面の負担も考えて組み合わせを決めましょう。試験会場は各大学の要項で確認してください。
専願・入学確約と出願資格は、高校と大学の両方で確認
今回の6大学の方式は、表現は違っても「第一志望」「入学確約」「専願」「原則入学辞退不可」といった条件をそれぞれ設けています。複数の推薦方式を検討する場合は、合格後の入学義務がぶつからないかを出願前に確認することが欠かせません。
- 各大学の要項で、専願・第一志望の意味(他大学への出願は可能か、合格後の扱いはどうか)を読む
- 評定平均の基準と、対象となる卒業年度(現役のみか、既卒も可か)を確認する
- 北里大学のような科目の履修要件がないかを見る
- 学校長の推薦が必要なので、担任や進路指導の先生と校内手続きのスケジュールを早めに相談する
- 判断に迷う点は自己解釈で済ませず、各大学の入試担当窓口に問い合わせる
倍率の読み方:数字だけで「受かりやすい」と判断しない
2027年度の推薦入試の結果は、試験が終わるまで確定しません。過去の倍率を参考にする場合は、次の点に注意してください。
- 計算方法を確認する:「志願者数÷募集人員」と「受験者数÷合格者数」は別の数字です。欠席者がいたり、合格者数が募集人員と一致しなかったりすると、両者の差は大きくなります。
- 同じ条件でそろえる:同じ年度・方式・学科・母数どうしで比べます。獣医保健看護学科など他学科の数字や、指定校推薦を含む合計と比べても判断材料になりません。
- 一次資料で確かめる:各大学公式サイトの入試結果ページで、年度・方式・学科と志願者数・受験者数・合格者数を確認します。出典や年度がはっきりしない倍率は使わないほうが安全です。
推薦は募集人員が少ないため、倍率は年ごとに動きやすい数字です。倍率が低い年があっても安全とは言えず、高い年でも自分に届かないとは限りません。編集部としては、倍率よりも「試験範囲を本番の時間内で解き切れるか」「面接で志望理由を具体的に話せるか」を判断の中心に置くことをすすめます。
合格に向けた準備の順番
- 最新の要項を入手する:2027年度版の募集要項を大学公式サイトから入手します。
- 出願資格と日程を確定する:評定、卒業年度、専願条件、Web・書類それぞれの締切、試験日を一覧にし、11月21日の重複を踏まえて受験校を絞ります。
- 学力試験の範囲を固める:英語・数学・理科(日本大学は国語も)について、数学の分野や理科の基礎・発展の範囲を大学ごとに書き出し、優先順位を決めます。
- 過去問は年度・方式・科目の一致を確認して使う:公開状況は大学によって違います。使う場合は出題年度・方式・科目が2027年度の内容と合っているかを確かめ、合わない部分は現行の範囲で補います。
- 小論文・面接・志望理由書を仕上げる:書類と面接で話す内容に食い違いが出ないよう、一貫した志望理由を整えます。
- 出願直前に公式の変更告知を確認する:日程、試験会場、提出書類に変更がないか、出願前と受験前に各大学のお知らせを確認します。
「動物が好き」から一歩踏み込んだ志望理由と面接準備
ここからはゴウカライズ編集部としての助言です。特定の質問が必ず出る、この準備をすれば合格できる、という意味ではありません。
獣医学科の面接や小論文で「動物が好きだから獣医師になりたい」だけを伝えるのは、説得力の面で弱いと編集部は考えています。獣医師の仕事は伴侶動物の診療に限らず、次のように幅広いためです。
- 牛・豚・鶏などを対象とする産業動物医療
- 食の安全を守る公衆衛生・食品衛生
- 人獣共通感染症などの感染症対策
- 製薬会社や行政機関、研究機関での仕事
こうした役割を踏まえ、「なぜ獣医学を学びたいのか」「なぜその大学なのか」「将来どのような獣医師になりたいのか」を、高校生活での経験と結びつけて説明できるようにしておきましょう。志望校のカリキュラムや、酪農学園大学の一般推薦と生産動物医療推薦のように方式ごとに想定されている進路を調べると、「その大学で学ぶ理由」を具体的にしやすくなります。暗記した原稿を読み上げるのではなく、自分の言葉で答えられる状態を目指してください。
よくある質問
Q. 推薦なら学科試験の勉強をしなくても受けられますか?
A. 今回確認した6大学の代表的な推薦方式は、いずれも学力試験を課しています。科目や範囲は大学・方式ごとに違うため、志望校の要項で確認してください。
Q. 日本大学・麻布大学・日本獣医生命科学大学をすべて受けられますか?
A. 3校の試験日はいずれも11月21日なので、日程上この3校からは1校を選ぶことになります。
Q. 専願なら他大学には出願できないのですか?
A. 大学によって扱いが違います。たとえば麻布大学は他大学との併願自体は可能で、麻布大学に合格した場合は必ず入学するという意味です。ほかの大学の条件は、それぞれの要項と高校の進路指導で確認してください。
Q. 以前の年度の過去問は役に立ちますか?
A. 演習には使えますが、年度や方式によって科目・範囲・試験時間が違う場合があります。2027年度要項の内容と照らし合わせて使いましょう。
まとめ
私大獣医学科の推薦入試は、編集部の見方では「一般入試を避けるための楽な道」ではなく、学力試験と面接・小論文の両方を準備する入試です。2027年度は北里大学の11月15日から岡山理科大学推薦Bの12月19日まで試験が続き、11月21日には3大学が重なります。
まずは志望校の2027年度要項を開き、出願資格・専願条件・試験科目・締切日をカレンダーに書き出すところから始めてください。受験校の組み合わせや対策の進め方に迷う場合は、ゴウカライズVETへご相談ください。
獣医学部受験の学習計画を相談したい方へ
ゴウカライズVETでは、現在の学力と志望校に合わせた学習計画や、面接・小論文・志望理由書の準備を相談できます。受験校の条件は大学の公式要項で確かめながら、必要な対策を整理しましょう。

