重要知識と着眼点
(1)指数の条件から逆数の和を求める
logの基本事項
底は 、真数は正。 のとき、
対数の底の選び方
底の選び方によって解けなくなることはないので、底を何にするかは気にしなくて良い。 底を1種類にそろえることだけが重要。
求めるのは そのものではなく、逆数の和です。 共通の底で対数を取り、 を表すことを考えます。 底は や でも構いませんが、ここでは右辺の に合わせて を選ぶと、 から と表せます。 も同様に処理し、 に着目して対数の和をまとめます。
(2)三倍角の公式を見抜く
三倍角の公式
として、加法定理と倍角の公式から導ける。 覚えなくても良いが導けるようにしておく。
の係数と符号が、 の右辺と一致しています。 を代入すると、角が3倍されて になります。 自体の値を求める必要はありません。
公式の形を連想できないときは、式だけでなく角度に注目します。 は、そのままでは値を知らない角ですが、3倍すると値の分かる になります。 そこで とおき、 を加法定理で展開してみます。 倍角の公式を使い、 を に直せば、 の式にそろえられます。 整理すると が現れ、求める式につながります。
(3)直線上の点を表し、垂直条件を使う
ベクトルの内積
内積は、二つのベクトルから定まる数。 零ベクトルでない のなす角を とすると、
成分で計算するときは、対応する成分どうしを掛けて足す。
平面では、 に対して、
空間では、 に対して、
ベクトルの垂直条件
零ベクトルでない二つのベクトルが垂直であることと、内積が であることは同値。
垂直という条件を式にするときは、二つのベクトルの内積を計算し、 とおく。
交点を とすると、条件は「 が直線 上にある」と「」の二つです。 まず とおき、直線上にある条件を満たす形にします。 あとは を使えば、 が決まります。
(4)必要な次数を作る項だけを選ぶ
の扱い方(二項定理)
が 以上の整数のとき、展開した式の の係数は ()。
二項定理の係数は、各因子からどちらの項を選ぶかを数えたものです。 同じ考え方で、9個の因子それぞれから のいずれかを選びます。 を 個、 を 個選ぶと次数は なので、 を満たす組だけを調べれば十分です。 全体を展開せず、3通りの寄与を足し合わせます。
解答
(1)
、 の両辺の底 の対数を取ると、
したがって、
よって、アは 、イウは である。
(2)
三倍角の公式より、
よって、エは 、オは である。
補足三倍角の公式を忘れたとき
加法定理と倍角の公式から、次のように導けます。
(3)
交点を とする。 より、ある実数 を用いて
と表せる。 より、
したがって であり、求める交点の座標は
よって、カは 、キクは 、ケコは である。
補足交点の検算
得られた に対して、
直線上にあることと、垂直であることの両方を確認できます。
(4)
9個の因子から を 個、 を 個、 を 個選ぶと、積の次数は となる。 の項を作る非負整数の組は、
の3通りである。 それぞれの係数への寄与は次のとおり。
| 係数への寄与 | |
|---|---|
したがって、求める係数は
よって、サシスセソは である。
補足項の選び方と係数を区別する
では、まず9個の因子から を選ぶ1個を決め、残り8個から を選ぶ2個を決めます。 その選び方が 通りです。
さらに、選んだ が2個あるので係数 を掛けます。 を選ぶ因子は残りの6個です。 各場合で、 の累乗と の累乗を別々に書くと、係数や符号の間違いを防げます。
講評
教科書の基本事項と典型的な処理を、異なる分野で使い分ける小問集合です。 この大問の内容から判断すると、麻布大学獣医学科の受験生としては、まず(1)〜(3)を確実に取り、(4)まで完答を目指したいところです。 全体の難易度は標準、目標解答時間は見直しを含めて15分程度とします。
(1)は、求める式に合わせて逆数を作れるかが要点です。 を別々に求めても解けますが、底の違う対数のまま計算を続けると遠回りになります。 対数の底をそろえ、 とまとめれば短く処理できます。
(2)は、三倍角の公式を思い出せればすぐに得点できます。 公式が出てこない場合も、加法定理から導けるようにしておきたい問題です。 と、余弦の三倍角の式の符号を混同しないようにしましょう。
(3)は、空間図形でも「直線上の点を文字で表す」「垂直を内積で表す」という基本どおりに解けます。 図を正確に描くことに時間をかける必要はありません。 負の成分が多いため、ベクトルの引き算と内積の符号に注意し、最後に直線上の条件と垂直条件を確かめると安心です。
4問の中では、(4)が最も差につながりやすいと考えられます。 難しい発想は不要ですが、 を選ぶ個数による3通りをそろえ、組合せの数、 の累乗、残りの の個数を正確に処理する必要があります。 すべてを展開し始めると時間を失います。 方針が立たなければいったん後回しにし、戻ったときに から整理し直しましょう。
本番では、(1)(2)を短く終え、(3)(4)の検算に時間を残すのが有効です。 最終的には空欄を埋める形式なので、答えの転記まで含めて確認してください。 特に(3)の二つの と、(4)の は、負号も空欄に入れる必要があります。


問題データ