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【解答・解説】2026年 慶應義塾大学 商学部(A方式) 数学 第3問

公開

3

f(x)=x3−6x2+8x+16f(x)=x^3-6x^2+8x+16 とし,曲線 C: y=f(x)C:\ y=f(x) と2つの直線 l: y=g(x)l:\ y=g(x),m: y=h(x)m:\ y=h(x) を考える。直線 ll は点 (4, 16)(4,\ 16) における曲線 CC の接線である。また,直線 ll と直線 mm は平行であり,直線 mm は原点を通る。

(i) g(x)=(43) x−(44)(45)g(x)=\boxed{\text{(43)}}\,x-\boxed{\text{(44)(45)}} である。

(ii) 曲線 CC と直線 mm の交点の xx 座標を小さい順に x1, x2, x3x_1,\ x_2,\ x_3 とすると

x1=(46)−(47)(48),x2=(49),x3=(50)+(51)(52)\begin{aligned} x_1&=\boxed{\text{(46)}}-\boxed{\text{(47)}}\sqrt{\boxed{\text{(48)}}},\\ x_2&=\boxed{\text{(49)}},\\ x_3&=\boxed{\text{(50)}}+\boxed{\text{(51)}}\sqrt{\boxed{\text{(52)}}} \end{aligned}

である。また,f(x2)=(53)(54)f(x_2)=\boxed{\text{(53)(54)}} である。

(iii) ∫24{f(x)−g(x)} dx=(55)(56)\displaystyle\int_2^4\{f(x)-g(x)\}\,dx=\boxed{\text{(55)(56)}} である。

(iv) y=∣g(x)∣y=|g(x)| のグラフと曲線 CC の共有点は2つあり,それらの座標は (4,16)(4,16) と (ア)\boxed{\quad\text{(ア)}\quad} である。また,∫04{f(x)−∣g(x)∣} dx=(イ)\displaystyle\int_0^4\{f(x)-|g(x)|\}\,dx=\boxed{\quad\text{(イ)}\quad} である。

(v) ∫02{f(x)−h(x)} dx=(ウ)\displaystyle\int_0^2\{f(x)-h(x)\}\,dx=\boxed{\quad\text{(ウ)}\quad} である。

(問題冊子2ページ「解答するにあたっての注意」より抜粋)
問題I(v),II(vi),およびIII(iv)(v)の解答は解答用紙Bの所定の位置に記入し,それ以外の問題の解答は解答用紙A(マークシート)にマークしなさい。
分数形で解答する場合,それ以上約分できない形で解答しなさい。根号を含む形で解答する場合,根号の中に現れる自然数が最小となる形で解答しなさい。それ以外でも,できるだけ簡単な形で解答しなさい。

重要知識と着眼点

(i) 接点の xx 座標が分かっている接線

接線の方程式の求め方

接点を tt で置いて接線の式を立てる。 y=f(x)y=f(x) の x=tx=t での接線は y=f′(t)(x−t)+f(t)y=f^{\prime}(t)(x-t)+f(t)。

接点 (4,16)(4,16) が与えられているので、f′(4)f'(4) を求めて公式に代入するだけです。
直線 mm は ll と平行で原点を通るので、傾きが ll と同じで切片が 00 の直線、つまり h(x)=f′(4) xh(x)=f'(4)\,x です。

(ii) 交点は3次方程式の解。整数解を探して因数分解する

2つの関数のグラフの交点の求め方

f(x)=g(x)f(x)=g(x) を解いて、交点の xx 座標を求める。
yy 座標は、その値を f(x),g(x)f(x),g(x) の計算しやすい方に代入して求める。

多項式の因数の見つけ方(因数定理)

多項式 P(x)P(x) について、P(a)=0P(a)=0   ⟺  \iff P(x)P(x) は x−ax-a を因数にもつ。

f(x)=h(x)f(x)=h(x) は3次方程式です。
答えの形から x2x_2 は整数なので、定数項 1616 の約数を代入して解を探します。
1つ解が見つかれば、残りは2次方程式の解の公式で求められます。

(iii) 接点では f(x)−g(x)f(x)-g(x) が (x−4)2(x-4)^2 で割り切れる

2つの曲線が接する条件

2つの曲線が接する条件は3つ

  1. f(a)=g(a)f(a)=g(a) かつ f′(a)=g′(a)f^{\prime }(a)=g^{\prime }(a)
  2. x=ax=a で重解
  3. 判別式=0

ll は x=4x=4 で CC に接するので、f(x)−g(x)=0f(x)-g(x)=0 は x=4x=4 を重解にもちます。
したがって、f(x)−g(x)f(x)-g(x) は (x−4)2(x-4)^2 を因数にもち、残りの1次式は定数項を比べるとすぐ分かります。
因数分解しておくと、積分する区間で f(x)−g(x)≧0f(x)-g(x)\geqq0 であること、つまり CC が ll の上側にあることも読み取れます。

(iv) 絶対値は、中身の符号が変わる x=2x=2 で場合分けする

絶対値を含む関数のグラフの定石

  1. 中身の符号で場合分けし、各区間のグラフを描く。
  2. y=∣f(x)∣y=\lvert f(x)\rvert について、y=f(x)y=f(x) のグラフの y<0y<0 の部分を、xx 軸について折り返す。
  3. ∣f(x)∣=max⁡(f(x),−f(x))\lvert f(x)\rvert = \max(f (x),−f (x)) を使う。

絶対値を含む定積分の求め方

絶対値の中身の符号が変わる点で、積分区間を分ける。
各区間で絶対値を外して積分する。

g(x)=8x−16g(x)=8x-16 は x=2x=2 で符号が変わります。
x≧2x\geqq2 では ∣g(x)∣=g(x)|g(x)|=g(x) なので、(iii) で因数分解した式がそのまま使えます。
x<2x<2 では ∣g(x)∣=−g(x)|g(x)|=-g(x) なので、f(x)=−g(x)f(x)=-g(x) を新たに解きます。

積分も x=2x=2 で区間を分けます。
[2,4][2,4] の部分は (iii) の結果そのものなので、新たに計算するのは [0,2][0,2] の部分だけです。

曲線Cと、x=2で折れ曲がるグラフy=|g(x)|を描いた図。2つのグラフは点(0,16)と点(4,16)で共有点をもち、xが0以上4以下でCが上側にある部分を塗っている。x<2の部分の元の直線lの一部を点線で示す
曲線 CC と y=∣g(x)∣y=|g(x)|(縦軸と横軸の目盛りの幅は異なる)

(v) 交点 x2=2x_2=2 までの積分

0≦x≦20\leqq x\leqq2 は、(ii) で求めた交点 x2=2x_2=2 までの区間です。
f(x)−h(x)f(x)-h(x) は (ii) で整理した3次式なので、そのまま積分します。

曲線Cと原点を通る直線m(y=8x)を描き、3つの交点x1、x2=2、x3を示した図。xが0以上2以下でCがmより上にある部分を塗っている
曲線 CC と直線 mm(縦軸と横軸の目盛りの幅は異なる)

解答

(i)

f′(x)=3x2−12x+8f'(x)=3x^2-12x+8 より、f′(4)=48−48+8=8f'(4)=48-48+8=8 である。
また f(4)=64−96+32+16=16f(4)=64-96+32+16=16 だから、点 (4,16)(4,16) における接線 ll は

y=8(x−4)+16  ⟺  y=8x−16.y=8(x-4)+16 \iff y=8x-16.

よって g(x)=8x−16g(x)=8x-16 であり、(43) は 88、(44)(45) は 1616 である。

(ii)

直線 mm は ll と平行で原点を通るから、h(x)=8xh(x)=8x である。
f(x)=h(x)f(x)=h(x) とすると、

x3−6x2+16=0.x^3-6x^2+16=0.

x=2x=2 を代入すると 8−24+16=08-24+16=0 なので、左辺は x−2x-2 を因数にもつ。

(x−2)(x2−4x−8)=0  ⟺  x=2, 2±23.(x-2)(x^2-4x-8)=0 \iff x=2,\ 2\pm2\sqrt3.

2−23<2<2+232-2\sqrt3<2<2+2\sqrt3 だから、

x1=2−23,x2=2,x3=2+23.x_1=2-2\sqrt3,\qquad x_2=2,\qquad x_3=2+2\sqrt3.

また、f(x2)=f(2)=8−24+16+16=16f(x_2)=f(2)=8-24+16+16=16 である。

(46) は 22、(47) は 22、(48) は 33、(49) は 22、(50) は 22、(51) は 22、(52) は 33、(53)(54) は 1616 である。

補足交点は直線 m 上にもある

x2=2x_2=2 は CC と mm の交点なので、f(2)=h(2)=8⋅2=16f(2)=h(2)=8\cdot2=16 からも確かめられます。

(iii)

f(x)−g(x)=x3−6x2+32=(x−4)2(x+2).f(x)-g(x)=x^3-6x^2+32=(x-4)^2(x+2).

よって、

∫24{f(x)−g(x)} dx=∫24(x3−6x2+32) dx=[x44−2x3+32x]24=(64−128+128)−(4−16+64)=12.\begin{aligned} \int_2^4\{f(x)-g(x)\}\,dx&=\int_2^4(x^3-6x^2+32)\,dx\\ &=\Bigl[\frac{x^4}{4}-2x^3+32x\Bigr]_2^4\\ &=(64-128+128)-(4-16+64)\\ &=12. \end{aligned}

(55)(56) は 1212 である。

補足接点を中心に展開して確かめる

(x−4)2(x+2)=(x−4)2{(x−4)+6}=(x−4)3+6(x−4)2(x-4)^2(x+2)=(x-4)^2\{(x-4)+6\}=(x-4)^3+6(x-4)^2 と変形すると、
∫24{(x−4)3+6(x−4)2} dx=[(x−4)44+2(x−4)3]24=0−(4−16)=12\displaystyle\int_2^4\{(x-4)^3+6(x-4)^2\}\,dx=\Bigl[\frac{(x-4)^4}{4}+2(x-4)^3\Bigr]_2^4=0-(4-16)=12 となり、一致します。

(iv)

g(x)=8x−16g(x)=8x-16 は、x≧2x\geqq2 で 00 以上、x<2x<2 で負である。

x≧2x\geqq2 のとき
∣g(x)∣=g(x)|g(x)|=g(x) だから、(iii) より f(x)−∣g(x)∣=(x−4)2(x+2)f(x)-|g(x)|=(x-4)^2(x+2) である。
x≧2x\geqq2 の範囲で (x−4)2(x+2)=0(x-4)^2(x+2)=0 となるのは x=4x=4 だけである。

x<2x<2 のとき
∣g(x)∣=−8x+16|g(x)|=-8x+16 だから、

f(x)−∣g(x)∣=x3−6x2+16x=x{(x−3)2+7}.f(x)-|g(x)|=x^3-6x^2+16x=x\{(x-3)^2+7\}.

(x−3)2+7>0(x-3)^2+7>0 なので、これが 00 となるのは x=0x=0 だけであり、x=0x=0 は x<2x<2 を満たす。

f(0)=16f(0)=16 だから、共有点は (4,16)(4,16) と (0,16)(0,16) である。
よって、(ア)は (0, 16)(0,\ 16) である。

次に積分を求める。
0≦x≦20\leqq x\leqq2 では f(x)−∣g(x)∣=x3−6x2+16xf(x)-|g(x)|=x^3-6x^2+16x だから、

∫02(x3−6x2+16x) dx=[x44−2x3+8x2]02=4−16+32=20.\int_0^2(x^3-6x^2+16x)\,dx=\Bigl[\frac{x^4}{4}-2x^3+8x^2\Bigr]_0^2=4-16+32=20.

2≦x≦42\leqq x\leqq4 では f(x)−∣g(x)∣=f(x)−g(x)f(x)-|g(x)|=f(x)-g(x) だから、(iii) よりこの区間の積分は 1212 である。
よって、

∫04{f(x)−∣g(x)∣} dx=20+12=32.\int_0^4\{f(x)-|g(x)|\}\,dx=20+12=32.

(イ)は 3232 である。

補足積分の値の意味

上の因数分解から、0≦x≦40\leqq x\leqq4 では f(x)−∣g(x)∣≧0f(x)-|g(x)|\geqq0 です。
したがって、この積分は曲線 CC と y=∣g(x)∣y=|g(x)| のグラフで囲まれた部分の面積に等しくなります。

(v)

(ii) より f(x)−h(x)=x3−6x2+16f(x)-h(x)=x^3-6x^2+16 だから、

∫02{f(x)−h(x)} dx=[x44−2x3+16x]02=4−16+32=20.\int_0^2\{f(x)-h(x)\}\,dx=\Bigl[\frac{x^4}{4}-2x^3+16x\Bigr]_0^2=4-16+32=20.

(ウ)は 2020 である。

補足(iv) の前半と比べて確かめる

(iv) の前半では、0≦x≦20\leqq x\leqq2 で f(x)−∣g(x)∣=f(x)+g(x)f(x)-|g(x)|=f(x)+g(x) なので、∫02{f(x)+g(x)} dx=20\displaystyle\int_0^2\{f(x)+g(x)\}\,dx=20 を求めました。
これとの差は、
∫02{g(x)+h(x)} dx=∫02(16x−16) dx=[8x2−16x]02=0\displaystyle\int_0^2\{g(x)+h(x)\}\,dx=\int_0^2(16x-16)\,dx=\Bigl[8x^2-16x\Bigr]_0^2=0 です。
したがって、2つの積分が同じ値 2020 になることと矛盾しません。

問題データ

関連分野
なし
難易度の目安
B(標準)
目標時間
20分

講評

3次関数の接線、直線との交点、定積分を順に問う、微分・積分の標準的な問題です。
(i)〜(iii) はマークシート、(iv)(v) は答えのみを解答用紙Bに書く形式で、どの小問も教科書の例題と同じ考え方で解けます。
確実に取り切りたい大問です。

(ii) では、3次方程式 x3−6x2+16=0x^3-6x^2+16=0 の整数解 x=2x=2 を素早く見つけることが大切です。
答えの形から x2x_2 が整数だと分かるので、定数項の約数から順に代入しましょう。

(iii) は、そのまま展開して積分しても解けます。
ただ、「接点では (x−4)2(x-4)^2 を因数にもつ」と知っていれば、因数分解で CC と ll の上下関係まで確かめられます。
この性質は、接線と曲線で囲まれた面積の問題で繰り返し使います。

差がつきやすいのは (iv) です。
x<2x<2 の部分では ∣g(x)∣=−g(x)|g(x)|=-g(x) となり、CC と ll の交点ではなく、CC と折り返した直線の交点を求め直す必要があります。
x=0x=0 以外の解がないことは、x2−6x+16=(x−3)2+7>0x^2-6x+16=(x-3)^2+7>0 で確かめます。
積分は x=2x=2 で区間を分け、[2,4][2,4] の部分に (iii) の結果を使えば、計算量を減らせます。

(iv)(v) は答えのみを記入する形式なので、計算ミスがそのまま失点になります。
グラフの概形をかいて符号や大小を確かめる、(v) と (iv) の前半を比べるなど、短時間でできる見直しを習慣にしておきましょう。

難易度はB、目標時間は20分としました。
方針はいずれも典型的ですが、絶対値の場合分けと4つの定積分を正確に処理し、見直しをする時間まで含めて見積もっています。

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