重要知識と着眼点
(i) 分散は「平均との差の2乗」の平均
分散・標準偏差の求め方
分散はデータの散らばりを表し、「平均との差の2乗の平均」で求める。
。
「2乗の平均 − 平均の2乗」でも計算できる。
。
は平均、 はデータ数。標準偏差は 。
データが100前後の値なので、そのまま2乗すると計算が重くなります。
平均との差は と小さいので、定義どおり「差の2乗の平均」で計算するのが速いです。
4日目の100回は、ちょうど平均と同じ値です。
平均は変わらず、差の2乗の和も増えないまま、データの個数だけが3から4に増えます。
そのため、4日間の分散は3日間の分散より小さくなる、と計算の前に見通せます。
(ii) 底と真数が入れ替わった2つの対数を、1つの文字で表す
対数の底をそろえる方法(底の変換公式)
のとき、
。
三角関数・指数・対数を含む方程式や最大・最小の扱い方
- 「1種類のもの」で表せないか考える。
例えば「 のみで表す」「 のみで表す」「 のみで表す」。
- 1種類のもので表せたら、それを とおく。
- もとの変数の範囲から の範囲を求めて解く。
例えば なら 。
と は、底と真数が入れ替わった関係です。
底の変換公式から なので、 とおけば だけの不等式になります。
分母を払うために両辺に をかけるので、 の符号が重要です。
、 なので、 と分かります。
この符号を確認してから、2次不等式に直します。
の範囲が分かったら、 の範囲を の範囲に戻します。
底 は より大きいので、大小関係はそのまま保たれ、 になります。
は についても についても増加するので、 と をそれぞれできるだけ大きくとることを考えます。
(iii) 漸化式ではなく、 についての1次方程式
1乗・2乗・3乗の和の公式
。
。
。
与えられた式には だけが現れ、 などはありません。
つまり、これは漸化式ではなく、 を固定するごとに を求める1次方程式です。
の項を左辺に集めると、係数が の簡単な式にまとまります。
和を計算するときは、2乗の和と1乗の和に共通する因数 でくくってから足すと、展開の手間が減ります。
(iv) 条件を、数直線上の範囲として比べる
必要条件と十分条件の定義
ならば が成り立つとき、
- は の必要条件。
- は の十分条件。
絶対値を含む式・不等式の扱い方
中身の符号で場合分けして外す。
なら 、 なら 。
また、 のとき、。
「 は であるための〜」という文では、まず「 ならば 」と「 ならば 」の2つを調べます。
「 ならば 」が正しければ は必要条件、「 ならば 」が正しければ は十分条件です。
向きを取り違えやすいので、毎回この2つを書き出して確かめましょう。
はどれも の範囲で表せるので、数直線にかくと包含関係が一目で分かります。
「ならば」が正しいことは、範囲が含まれることで確かめます。
正しくないことは、反例を1つ挙げれば示せます。
(24) では、上線が「 または 」全体にかかっています。
「〜または〜」全体の否定は、それぞれを否定して「かつ」で結んだものになります(ド・モルガンの法則)。
上線が だけにかかる (23) と、全体にかかる (24) を区別して読みましょう。
(v) を で表し、3次方程式にする
三倍角の公式
として、加法定理と倍角の公式から導ける。
覚えなくても良いが導けるようにしておく。
多項式の因数の見つけ方(因数定理)
多項式 について、 は を因数にもつ。
求めるものが の値なので、式全体を だけで表すことを考えます。
は三倍角の公式で の3次式になります。
とおくと、 の3次方程式です。
3次方程式は、まず などの簡単な値を代入して解を探し、因数定理で因数分解します。
最後に、 なので を満たす解だけが答えになることを確認します。
解答
(i)
1日目から3日目までの平均は (回)である。
平均との差は だから、分散は
4日間の平均は (回)である。
平均との差は だから、分散は
答えは (1)(2)(3) が 、(4) が 、(5)(6) が である。
補足「2乗の平均 − 平均の2乗」で確かめる
3日間について、 となり、一致します。
(ii)
、 より、底 はどちらも正で でなく、真数も正である。
とおく。
、 より である。
底の変換公式より だから、1つ目の不等式は
両辺に をかけて整理すると、
より、 は について増加するので、
のとき なので、 は自動的に満たされる。
よって、領域は である。
この領域の点について、
等号は のときに成り立ち、この点は領域に含まれる。
よって、 の最大値は (7)(8) が である。
補足最大となる点を元の不等式で確かめる
のとき、、 です。
となり、1つ目の不等式を等号で満たします。
(iii)
与えられた式の の項を左辺に集めると、
だから、
よって、(9) は 、(10)(11) は 、(12) は 、(13) は である。
次に、和を求める。
よって、(14) は 、(15)(16) は 、(17) は 、(18) は 、(19) は 、(20)(21) は である。
補足小さい n で確かめる
、 です。
で、和の式に を代入した と一致します。
(iv)
、 である。
よって、各条件を満たす の範囲は次のとおりである。
(22)
は を満たすが を満たさないので、「 ならば 」は偽である。
は を満たすが を満たさないので、「 ならば 」も偽である。
よって、 は であるための必要条件でも十分条件でもない。
(22) は である。
(23)
は だから、「 かつ 」は である。
これは と同じ範囲なので、 は「 かつ 」であるための必要十分条件である。
(23) は である。
(24)
は「 または 」である。
また、
であり、 は「 または 」、 は だから、「」は である。
ならば が成り立つので、「 ならば 」は真である。
一方、 は を満たすが を満たさないので、「 ならば 」は偽である。
よって、 は「」であるための必要条件であるが十分条件でない。
(24) は である。
補足必要・十分の向きを取り違えない
「 は であるための必要条件」は「 ならば 」が正しいという意味です。
(24) では「 ならば 」が正しいので、 は必要条件です。
(v)
とおく。
より、 は の範囲の値をとり、この範囲のどの値にも、それをとる が存在する。
三倍角の公式 より、与えられた方程式は
を代入すると なので、左辺は を因数にもつ。
を解くと である。
だから、
よって、 を満たすのは である。
求める の値は
補足求めた値を元の方程式で確かめる
は を満たします。
これを使って次数を下げると、 です。
よって となり、確かに解です。
講評
データの分析、対数、数列、必要条件と十分条件、三角関数を1問ずつ問う小問集合です。
どの小問も教科書の基本事項で解けるので、全問正解を目指したい大問です。
ここで落とすと、後半の大問で取り返すのが難しくなります。
(i) は、平均との差が と小さいことに気付けば、暗算に近い計算で済みます。
データの値をそのまま2乗し始めると、時間がかかるうえに計算ミスもしやすくなります。
(ii) では、 とおいた後、 を確認してから両辺に をかけることが大切です。
符号を確かめずに分母を払う習慣があると、 が負になりうる問題で誤ります。
また、 の範囲を に戻せれば、最大値は領域の端の点を調べるだけです。
(iii) は一見すると漸化式に見えますが、 についての1次方程式です。
式の見た目にとらわれず、どの文字が未知数なのかを確認しましょう。
(iv) で差がつきやすいのは、否定の上線がどこまでかかっているかの読み取りです。
(23) は だけ、(24) は「 または 」全体を否定しています。
「必要」「十分」の向きも取り違えやすいので、「 ならば 」が正しいとき は の必要条件、と毎回確認してください。
(v) は解答用紙Bに答えのみを記入する形式なので、解の吟味の漏れがそのまま答えの誤りになります。
の範囲 による解の吟味を忘れて を答えに含めたり、 を書き落としたりしないよう注意が必要です。
難易度はA、目標時間は20分としました。
各小問は基本事項の確認ですが、5問を正確に処理し、(iv)(v) の向きや範囲を見直す時間まで含めて見積もっています。


問題データ