子どもが獣医学部への進学を希望した際、保護者の方や高校2年生の受験生が最初に直面するのが、「医学部と何が違うのか」「複雑な入試方式をどう選べばよいのか」「6年間の学費は実際いくらかかるのか」という疑問です。全国にわずか17校しかない獣医学部は、定員枠も極めて限られた激戦分野であり、大学ごとの特色や入試制度の違いを見極めることが合否や進路を大きく左右します。
本記事では、私立獣医学部の伝統校である麻布大学獣医学部獣医学科について、最新の2027年度入試要項および直近の入試・国家試験実績をもとに分かりやすく解説します。
この記事を読むとわかること:
- 入試制度の全体像がわかる
- 正確な学費と総支出を把握できる
- 受かりやすさと倍率の実態を理解できる
- 国家試験と卒業後の進路が見通せる
※本記事は2026年9月時点で公開されている2027年度入学試験要項等を基準に作成しています。現在高校2年生(2028年4月入学予定)の方は早期準備の比較資料として活用し、出願時には受験年度の最新募集要項を必ずご確認ください。
獣医学部入試で知っておくべきこと
志望校を比較する前に、獣医学部受験の前提となる4つの基本知識を押さえておきましょう。
獣医師国家試験の合格が目標
獣医師になるためには、6年間の課程を修了したうえで獣医師国家試験に合格しなければなりません。大学受験は通過点であり、真のゴールは獣医師国家試験の合格です。
志望校を選ぶ際は、各大学の合格実績がひとつの指標になります。新卒の合格率は例年8〜9割ほどですが、毎年高水準を維持する大学もあれば年度によって変動する大学もあります。特に定員が少ない大学は数名の合否で率が上下しやすいため、単年度だけでなく直近数年間の推移や大学の手厚いサポート体制を確認することが大切です。
なお、国家試験の結果を見るときは「新卒者」と「既卒者」を区別する必要があります。2026年(第77回)試験では全国の新卒合格率が83.9%であったのに対し、既卒者は32.4%に留まりました。また公表される新卒合格率は「受験した新卒者」を分母としており、入学者のストレート卒業率とは異なります。6年間で着実に実力を伸ばし、現役合格へ導いてくれる教育体制があるかどうかが重要です。
全国に17校だけ
獣医学を学べる大学は、全国で国公立11校、私立6校の計17校しかありません。
医学部(80校以上)と比べても極めて少なく、全国の定員枠も1,000名強に限られる激戦分野です。限られた選択肢だからこそ、各大学の教育環境や得意とする領域(犬猫などの小動物臨床か、牛馬などの産業動物医療か、研究分野かなど)を丁寧に見極め、目指す獣医師像に合った進学先を選ぶ必要があります。
| 設置区分 | 大学数 | 大学名 |
|---|---|---|
| 国立大学 | 10 | 北海道大学、帯広畜産大学、岩手大学、東京大学、東京農工大学、岐阜大学、鳥取大学、山口大学、宮崎大学、鹿児島大学 |
| 公立大学 | 1 | 大阪公立大学 |
| 私立大学 | 6 | 酪農学園大学、北里大学、日本獣医生命科学大学、日本大学、麻布大学、岡山理科大学 |
国公立と私立の違い
国公立と私立では、科目数・受験機会・学費が大きく異なります。
国公立大学は、共通テスト(「情報」を含む6教科8科目が原則)と個別試験(2次試験)が必要です。個別試験でも記述力を問われるため幅広い学習が欠かせません。受験機会は前期日程1校と後期日程1校が基本で少数回ですが、6年間の学費総額を約350万円程度に抑えられます(東京大学・東京農工大学・山口大学は約414万円、大阪公立大学は約460万円〜)。
私立大学は、主に英語・数学・理科1科目の3教科型が中心で、特定科目に絞った対策が可能です。同じ大学を複数回受験したり、複数校を併願できる一方で学費は6年間で約1,300万〜1,500万円前後かかります。
ただし家計の総支出では、「自宅通学できる私立」と「下宿が必要な地方国公立」の比較も大切です。下宿費用(月10万円で6年間約720万円)を加味すると総費用の差は縮まるため、通学条件を含めてシミュレーションしましょう。
推薦入試の枠が多い大学も
学校推薦型選抜や総合型選抜を視野に入れた受験戦略も重要です。
特に私立大学では、定員の2〜3割程度を推薦枠が占めるケースが珍しくありません。推薦入試では評定平均に加え、志望動機や面接、小論文が重視されます。早い段階から学校の成績を維持し、年内の推薦入試と年明けの一般選抜の両方を想定して準備を進めることが、現役合格への手堅い道筋となります。
麻布大学獣医学科でも、現役生向けの公募推薦枠が28名(定員の約23.3%)設けられています。ただし私立獣医の推薦は面接だけでなく英・数・理の学力試験が課されることが多いため、教科学習の手を緩めないことが成功の秘訣です。また合格時の専願(入学確約)が条件となる点や、12月上旬の納入金準備も念頭に置く必要があります。
麻布大学獣医学部獣医学科の特徴
麻布大学獣医学部獣医学科の教育環境、強み、および慎重に検討すべき点について整理します。
麻布大学の特徴
麻布大学は、1890(明治23)年に設立された東京獣医講習所をルーツとし、130年以上の歴史を誇る私立獣医の伝統校です。獣医学部には複数の学科がありますが、本記事が対象とするのは獣医師を養成する**6年制の「獣医学科(定員120名)」**です。
- 5系統のカリキュラム:基礎、病態、環境、生産、臨床の5系統から構成され、小動物医療から感染症、食品安全まで幅広く学びます。
- 学部約40の研究室:私立屈指の多彩な研究室を擁し、高度な専門研究に触れられます。
- 通学利便性の高い立地:キャンパスは神奈川県相模原市にあり、JR横浜線「矢部駅」から徒歩4分。新宿・渋谷・横浜から概ね1時間圏内で、首都圏からの自宅通学が容易です。
- 第三者評価で基準適合:大学基準協会による獣医学教育評価で基準適合認定(2025年4月〜2032年3月)を受けており、教育の質が保証されています。
伴侶動物の高度医療と産業動物の臨床を同じキャンパスで学べる強み
麻布大学獣医学科の最大の魅力は、「伴侶動物(犬猫など)の高度医療」と「産業動物(牛馬など)の臨床施設」が同一キャンパス内に揃っている点です。
学内の「附属動物病院」は、地域の一次診療施設から紹介を受ける高度二次診療拠点です。がん放射線治療装置(リニアック)やCT、MRIなどの先進設備を備え、5年次に共用試験(vetCBT/vetOSCE)に合格してスチューデント・ドクターとなった学生が診療チームに加わって実践的な臨床実習を学びます。
同時に、学内には大型動物に対応する「産業動物臨床教育センター(LAVEC)」が設置されています。油圧式大型手術台や大型CT、保定設備が整い、都市近郊にいながら日常的に牛や馬の診療・手術に触れられます。さらにVR技術を活用した臨床シミュレーション教育も導入されており、動物福祉に配慮しながら安全に手技を習得できる先進的な教育体制が整っています。
他大学と慎重に検討すべき点
志望校選びで後悔しないために、以下の課題や留意点も把握しておきましょう。
- 6年間の学納金が約1,400万円:初年度250万円、2年次以降毎年230万円がかかります。諸経費やPC代、教材費等を含めた資金計画が必要です。
- 一般選抜の後半日程は極めて高倍率:募集枠の小さいD日程(8名枠)やⅡ期(5名枠)は、2026年度の実質倍率がD日程113.0倍、Ⅱ期88.3倍に達しました。後半日程をあてにした受験計画は禁物です。
- 国家試験合格率の年による変動:直近5年の新卒合格率は82.2〜89.9%です。全国平均を上回る年が多いものの、毎年9割を超えるわけではありません。
- 外部評価での指摘:2024年度の大学基準協会評価において、学生1人当たりの産業動物症例数の確保や実習時の教員配置について改善課題が指摘されました。大動物志望者は学外実習の状況なども確認しておくと安心です。
- 科学的学修と生命への覚悟:「動物が好き」という動機だけでは不十分です。解剖実習、病理検査、感染症実験など、科学的な学びと生命の尊厳に向き合う覚悟が求められます。
こんな人におすすめ
- 犬猫の臨床を中心に考えつつ、産業動物や公衆衛生の可能性も幅広く学びたい人
- 首都圏在住で、自宅通学によって6年間の生活費を抑えたい家庭
- 英語・数学・理科(化学または生物)の3教科をバランスよく学習してきた人
- 高校の成績を維持し、年内の公募推薦入試(28名枠)に挑戦したい現役生
- 将来、地域の産業動物獣医師や公務員として貢献する意思があり、地域枠修学資金を活用したい人
入試制度
麻布大学獣医学科の難易度と、2027年度の入試方式の詳細を解説します。
難易度
大手予備校のデータに基づく、全国の獣医学課程(全17大学)の偏差値ランキングは以下の通りです。
| 順位 | 大学名 | 区分 | 偏差値 |
|---|---|---|---|
| 1 | 東京大学 | 国公立 | 67.5 |
| 2 | 北海道大学 | 国公立 | 65.0 |
| 2 | 宮崎大学 | 国公立 | 65.0 |
| 2 | 鹿児島大学 | 国公立 | 65.0 |
| 5 | 岐阜大学 | 国公立 | 62.5 |
| 5 | 日本獣医生命科学大学 | 私立 | 62.5 |
| 7 | 帯広畜産大学 | 国公立 | 60.0 |
| 7 | 岩手大学 | 国公立 | 60.0 |
| 7 | 東京農工大学 | 国公立 | 60.0 |
| 7 | 鳥取大学 | 国公立 | 60.0 |
| 7 | 山口大学 | 国公立 | 60.0 |
| 7 | 大阪公立大学 | 国公立 | 60.0 |
| 7 | 麻布大学 | 私立 | 60.0 |
| 14 | 北里大学 | 私立 | 57.5 |
| 14 | 日本大学 | 私立 | 57.5 |
| 16 | 酪農学園大学 | 私立 | 55.0 |
| 16 | 岡山理科大学 | 私立 | 55.0 |
本比較表において、麻布大学獣医学科の偏差値は60.0で、全17大学中7位タイ、私立6大学中では2位に位置します。
私立獣医の中ではトップクラスの難度です。
2026年度入試結果一覧
大学公表の直近入試結果は以下の通りです。
| 入試方式 | 志願者 | 受験者 | 合格者 | 実質倍率 | 合格最低点 |
|---|---|---|---|---|---|
| 学校推薦型選抜(公募制) | 224人 | 223人 | 55人 | 4.1倍 | 非公表 |
| 一般選抜 第Ⅰ期B日程 | 1,167人 | 1,104人 | 96人 | 11.5倍 | 220/300点(73.3%) |
| 一般選抜 第Ⅰ期D日程 | 479人 | 452人 | 4人 | 113.0倍 | 非公表 |
| 一般選抜 第Ⅱ期 | 374人 | 265人 | 3人 | 88.3倍 | 非公表 |
| 共通テスト利用 第Ⅰ期 | 785人 | 780人 | 94人 | 8.3倍 | 500.0/600点(83.3%) |
| 共通テスト利用 第Ⅱ期 | 45人 | 43人 | 3人 | 14.3倍 | 非公表 |
| 卒業生後継者特別入試 | 26人 | 26人 | 9人 | 2.9倍 | 非公表 |
| 地域枠特別入試 | 4人 | 4人 | 4人 | 1.0倍 | 非公表 |
| 社会人特別入試 | 6人 | 6人 | 2人 | 3.0倍 | 非公表 |
| 学士特別入試 | 21人 | 20人 | 3人 | 6.7倍 | 非公表 |
| 附属高校関係特別入試 | 5人 | 5人 | 3人 | 1.7倍 | 非公表 |
| 外国人特別入試 | 2人 | 2人 | 0人 | ― | 非公表 |
| 帰国生特別入試 | 1人 | 1人 | 0人 | ― | 非公表 |
※合格者5名以下の方式は合格最低点等が非公表。志願者数は延べ人数です。
入試方式
2027年度の主要募集枠は以下の通りです。定員120名に対し、一般選抜と推薦選抜がバランスよく配分されています。
- 一般選抜:計80名(第Ⅰ期B日程 67名、第Ⅰ期D日程 8名、第Ⅱ期 5名)
- 共通テスト利用選抜:計12名(第Ⅰ期 7名、第Ⅱ期 5名)
- 学校推薦型選抜(公募制):現役生 28名、既卒者 若干名
- 指定校推薦・各種特別選抜:若干名
各選抜方式の特徴と対策を詳しく見ていきましょう。
一般入学試験・第Ⅰ期B日程の特徴
麻布大学一般選抜の最大枠(67名)を持つ本命方式です。
- 募集人員:67名
- 日程:出願 2026/12/21〜2027/1/19、試験日 2027/2/3、発表 2/12、手続締切 2/18
- 試験会場:本学(相模原)のほか、仙台、さいたま、名古屋、大阪、福岡の全国6会場
科目・配点(300点満点・マークシート方式・各60分)
- 外国語(英語):100点(英語コミュニケーションⅠ〜Ⅲ、論理・表現Ⅰ〜Ⅲ)
- 数学:100点(数学Ⅰ・A・Ⅱ、数学B数列、数学Cベクトル。数Ⅲなし)
- 理科:100点(「化学基礎・化学」または「生物基礎・生物」から当日選択。物理不可)
対策
2026年度の実質倍率は11.5倍、合格最低点は220点(得点率約73.3%)でした。合格には75%以上の得点率が目安です。各60分の試験時間は短めなため、時間配分の練習が欠かせません。標準問題のミスを徹底的に防ぐ演習を重ねましょう。
一般入学試験・第Ⅰ期D日程の特徴
得意科目を組み合わせて受験できる特殊方式です。
- 募集人員:8名
- 試験日:2027/2/7(本学のみ。出願・発表・手続日程はB日程と同一)
- 科目・配点:英語、数学(ⅠAⅡのみ、数列・ベクトルなし)、化学、生物の4科目から3科目を選択(各100点、計300点)。3科目一括で試験時間120分。
「英語・化学・生物」で数学を外す、あるいは「数学・化学・生物」で英語を外すことが可能です。ただし募集枠が8名と狭く、2026年度の実質倍率は113.0倍(受験者452名に対し合格者4名)の超激戦でした。120分の時間配分管理も難しいため、B日程の併願チャンスと捉えるのが現実的です。
一般入学試験・第Ⅱ期の特徴
国公立前期終了後の3月に実施される最終日程です。
- 募集人員:5名
- 試験日:2027/3/2(本学のみ)
- 科目:B日程と同一(英語、数学ⅠAⅡBC、理科各100点、計300点・各60分)
2026年度は実質倍率88.3倍(受験者265名に対し合格者3名)でした。合格発表(3/8)から手続締切(3/12)まで4日間しかないため、保護者は資金(約135万円)の手当てを事前に済ませておく必要があります。
大学入学共通テスト利用入学試験・第Ⅰ期の特徴
個別学力試験がなく、共通テストの成績のみで合否を判定します。
- 募集人員:7名
- 配点換算(600点満点):
- 英語:200点(リーディング100点を1.6倍の160点、リスニング100点を0.4倍の40点に傾斜配点)
- 数学:200点(「数Ⅰ・A」100点、「数Ⅱ・B・C」100点の2科目必須)
- 理科:200点(出願時申告の1科目。「物理」「化学」「生物」から選択可能。または基礎2科目)
個別試験で使えない物理が利用可能です。2026年度の実質倍率は8.3倍、合格最低点は500.0点/600点(約83.3%)でした。国公立併願者の滑り止めとしても使われ、85%以上の得点が目標となります。
大学入学共通テスト利用入学試験・第Ⅱ期の特徴
自己採点後に出願できる後期日程です(募集5名)。 2026年度は受験者43名に対し合格者3名、実質倍率は14.3倍でした。枠が小さく高得点争いとなるため、自己採点で9割近い手応えがある場合に出願を検討しましょう。
学校推薦型選抜入学試験・公募制〈現役生〉の特徴
現役生にとって一般選抜と並ぶ最大のチャンスです。
- 募集人員:28名(専願:合格時入学確約)
- 日程:出願 2026/11/2〜11/9、試験日 11/21、発表 12/1、納入期限 12/7
- 選考内容:
- 基礎学力試験:3教科マークシート方式・一括60分・100点満点(英語30点、数学30点[数Ⅰ・数A確率のみ]、理科40点[化・生から1科目])
- 小論文:60分・50点満点(800字以内)
- 面接:段階評価(A〜D)
評定と倍率の実態
要項上に数値の評定基準は書かれていませんが、学校長推薦が必要なため校内基準(評定4.0以上等)が課されるのが一般的です。2026年度は受験者223名に対して55名が合格し、実質倍率は4.1倍でした。一般入試より圧倒的に高い合格率を誇ります。
小論文では、地球温暖化と反芻家畜、AIと獣医師の役割、動物愛護管理法、災害時のペット同行避難など、社会問題と獣医学を結ぶテーマが出題されます。合格発表から納入期限まで1週間しかないため、資金準備も必須です。
学校推薦型選抜入学試験・公募制〈既卒者〉の特徴
2027年度より新設された1浪生対象の推薦枠です(若干名・専願)。現役枠と異なり**「全体の学習成績の状況3.7以上」**および学校長推薦が必須条件となります。試験科目や日程は現役生枠と同一です。
学校推薦型選抜入学試験・指定校制の特徴
大学が指定する高校のみに出願資格がある推薦です(全学科対象で若干名)。詳細は高校の進路指導部に通知されるため、通っている高校が指定校かどうか早めに確認しましょう。
地域枠産業動物獣医師育成特別入学試験の特徴
将来、地方の産業動物獣医師として働くことを条件に、手厚い修学資金貸与を受けられる制度です(若干名・専願)。青森、岩手、秋田、高知、鹿児島など13県が対象(2026年6月時点予定)。自治体の選考に合格・推薦を得た上で大学の試験(11/21:基礎学力+面接 ※小論文なし)を受験します。
高知県の例では、入学時納付金相当(約135万円)に加え、大学在学中に**月額18万円(6年最大1,296万円)**が無利子貸与され、卒業後指定期間(10年など)勤務することで全額返還免除となります。
その他の特別入試の特徴
- 附属高校特別入試:内部進学枠(2026年度は5名受験・3名合格、倍率1.7倍)。入学金免除特例あり。
- 卒業生後継者特別入試:親・祖父母が麻布大卒かつ獣医師免許保持者の専願枠(2026年度は26名受験・9名合格、倍率2.9倍)。基礎学力・小論文・面接で選考。
- 学士・社会人特別入試:大卒者や25歳以上の社会人対象。**麻布大学には編入制度はなく、1年次入学(6年間)**となります。
国家試験合格率と卒業後の進路
6年間の学びの成果である「国家試験合格率」と「卒業後の進路」を分析します。
国試合格率の推移
農林水産省公表の大学別合格データに基づく、直近5年間(2022〜2026年)の麻布大学(新卒者)の実績です。
| 実施年・回次 | 受験者数 | 合格者数 | 麻布大学 新卒合格率 | 全国 新卒合格率 |
|---|---|---|---|---|
| 2022年(第73回) | 146人 | 120人 | 82.2% | 88.6% |
| 2023年(第74回) | 129人 | 108人 | 83.7% | 81.1% |
| 2024年(第75回) | 129人 | 107人 | 82.9% | 84.4% |
| 2025年(第76回) | 119人 | 107人 | 89.9% | 83.8% |
| 2026年(第77回) | 139人 | 120人 | 86.3% | 83.9% |
最新の2026年試験では**新卒合格率86.3%を達成し、全国平均(83.9%)を上回りました。直近5年間で毎年100名以上の新卒合格者を社会に送り出しており、5年合算(662名中562名合格)でも約84.9%**と、8割台半ばの安定した実績を維持しています。
卒業後の進路
大学公表の2024年度進路データ(就職率99.1%)による内訳は以下の通りです。
| 進路区分 | 構成比 | 主な就職先 |
|---|---|---|
| 伴侶動物臨床 | 66% | 全国の小動物動物病院(犬・猫等の診療) |
| 産業動物臨床 | 10% | 農業共済組合(NOSAI)、JRA(日本中央競馬会)、地方競馬、牧場 |
| 公務員 | 10% | 農林水産省、厚生労働省、各都道府県・政令市(家畜衛生・食品衛生) |
| 医療福祉・医薬品・企業 | 4% | アステラス製薬、中外製薬、日本全薬工業、共立製薬、農研機構など |
| 大学院等進学 | 1% | 麻布大学大学院、東大・京大・北大などの大学院 |
| 動物園・水族館 | 1% | サファリパーク、水族館など |
| その他 | 8% | 留学、再受験準備等 |
約3分の2が犬猫の動物病院へ進む一方、JRAや農業共済組合、国家・地方公務員、製薬企業の研究職など、多彩な分野で獣医師の資格が生かされています。
サポート体制
- 6年次後期の必修科目「総合獣医学」:国家試験直前期に全領域の重要知識を集中演習し、全員の学力を合格水準へ引き上げます。
- 教育推進センターによる補習:低学年時に高校理科(生物・化学・物理)や数学の個別指導・補習を行い、基礎学力の不安を解消します。
- 担任制と保護者連携:クラス担任が成績や出席を把握し、学修不振者には早期面談を実施。留年防止に組織的に取り組みます。
- キャリア支援:5年次からの就職ガイダンス、学内合同説明会、公務員試験対策講座(約1万2,000円)などを展開しています。
学費と奨学金
保護者にとって最大の関心事である学費の詳細と他大学比較、利用できる奨学金をまとめました。
学費
2027年度入試要項に記載されている麻布大学獣医学科の学納金は以下の通りです。
| 費目 | 初年度(1年次) | 2年次以降(年額) | 6年間合計 |
|---|---|---|---|
| 入学金 | 250,000円 | ― | 250,000円 |
| 授業料 | 1,800,000円 | 1,850,000円 | 11,050,000円 |
| 施設設備費 | 450,000円 | 450,000円 | 2,700,000円 |
| 学納金合計 | 2,500,000円 | 2,300,000円 | 14,000,000円 |
※所定年限で卒業し学納金改定がない場合の試算。
年間学費
進学情報で「年額約225万円」と紹介されることがありますが、これは初年度の授業料(180万円)と施設設備費(45万円)から入学金を除いた数字です。実際には初年度250万円、2年次以降毎年230万円が必要で、6年間の学納金合計は1,400万円となります。
初年度の納入スケジュールは、春の入学手続時に1,344,740円(入学金+前期学納金+諸会費等69,740円)、秋の9月に1,225,000円(後期学納金)の分納方式です。2年次以降も諸会費が年約1.7万円かかります。
他の獣医大学との比較
全国の獣医系大学の学費(年額)の比較表です。
| 大学名 | 学費(年額) |
|---|---|
| 酪農学園大学 | 約259万円 |
| 岡山理科大学 | 約250万円 |
| 北里大学 | 約233万円 |
| 日本獣医生命科学大学 | 約230万円 |
| 麻布大学 | 約225万円 |
| 日本大学 | 約218万円 |
| 東京農工、東京、山口大学 | 約64万円 |
| 国立大学(東京農工大学・東京大学・山口大学を除く) | 約53万円 |
利用可能な奨学金・授業料免除制度
大学独自の奨学金
- 成績優秀者奨学金(給付):2〜6年次の成績優秀者に年額10万円を給付(各学科3〜4名)。
- 獣医学部特別奨学金(給付):6年次在籍で修学支援新制度第Ⅰ区分かつGPA3.0以上の学生に年額30万円を給付。
- 麻布大学奨学金・父母会奨学金(無利子貸与):学納金年額または半額相当を貸与(上限1年分)。
- 同窓会奨学金(緊急時無利子貸与):家計急変時に半額相当を貸与(1回限り)。
公的支援制度
- 日本学生支援機構(JASSO):無利子の第一種と有利子の第二種。私立獣医学課程では**第二種に「月額2万円の増額」**が認められ、最大で月額14万円まで貸与可能です(※6年間で元金約1,008万円となるため返還計画に注意)。
- 国の高等教育の修学支援新制度:麻布大学は対象校です。世帯収入要件に応じて授業料減免(私立大上限年約70万円・入学金実額上限25万円)と給付奨学金が受けられます(多子世帯の支援拡充あり)。
- 自治体の地域枠産業動物修学資金:月10万〜18万円貸与+指定期間勤務で全額返還免除となる手厚い制度です。
出典一覧
- 麻布大学 公式ホームページ
- 麻布大学 獣医学部獣医学科 紹介
- 麻布大学 交通アクセス
- 麻布大学 就職・進路状況
- 麻布大学 国家試験対策
- 大学基準協会 獣医学教育評価結果報告書(麻布大学)
- 麻布大学受験生入試情報サイト LIVE!
- 2027年度 麻布大学入学試験要項(PDF)
- 2026年度 麻布大学獣医学部獣医学科 入試結果一覧(PDF)
- 麻布大学 奨学金制度案内
- 農林水産省 獣医師国家試験合格者状況
- 公益社団法人日本獣医師会 獣医師になるには
- 河合塾 Kei-Net 大学検索システム(麻布大学)
- 独立行政法人日本学生支援機構(JASSO)
- 文部科学省 高等教育の修学支援新制度

