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【解答・解説】2026年 早稲田大学 基幹・創造・先進理工学部 数学 第3問

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3

座標空間内に点 A(0,0,1)\mathrm{A}(0,0,1),点 B(1,1,0)\mathrm{B}(1,1,0),および実数 aa を用いて表される点 P(a,0,0)\mathrm{P}(a,0,0) をとる。さらに,2点 (0,2,0)(0,2,0),(0,0,2)(0,0,2) を通る直線を ℓ\ell として,3点 A,B,P\mathrm{A},\mathrm{B},\mathrm{P} が定める平面と直線 ℓ\ell との交点を Q\mathrm{Q} とする。

(1)点 Q\mathrm{Q} の座標を aa を用いて表せ。

(2)4点 A,B,P,Q\mathrm{A},\mathrm{B},\mathrm{P},\mathrm{Q} が四角形 APBQ\mathrm{APBQ} を成し,線分 AB\mathrm{AB} と線分 PQ\mathrm{PQ} が交わるための aa の条件を求めよ。

(3)aa が(2)の条件を満たすとき,四角形 APBQ\mathrm{APBQ} の面積を aa を用いて表せ。

重要知識と着眼点

座標空間に点A、B、P、Qと直線ℓを描いた図。四角形APBQの対角線ABとPQが点Mで交わる。aが1.2の場合
a=1.2a=1.2 のときの四角形 APBQ\mathrm{APBQ}

(1)平面の方程式に、直線上の点を代入する

3点を通る平面の方程式を求める方法

同一直線上にない3点 A,B,CA,B,C について、次のいずれかを使う。
1. ax+by+cz+d=0ax+by+cz+d=0 に3点の座標を代入し、係数を求める。ただし (a,b,c)≠(0,0,0)(a,b,c)\ne(0,0,0)。
2. AB→\overrightarrow{AB} と AC→\overrightarrow{AC} の両方に垂直な法線ベクトルを、外積で求める。
u⃗=(u1,u2,u3), v⃗=(v1,v2,v3)\vec u=(u_1,u_2,u_3),\ \vec v=(v_1,v_2,v_3) の外積は、
u⃗×v⃗=(u2v3−u3v2, u3v1−u1v3, u1v2−u2v1)\vec u\times\vec v=(u_2v_3-u_3v_2,\ u_3v_1-u_1v_3,\ u_1v_2-u_2v_1)。
3. OP→=OA→+sAB→+tAC→\overrightarrow{OP}=\overrightarrow{OA}+s\overrightarrow{AB}+t\overrightarrow{AC} とおき、成分の式から s,ts,t を消去する。

平面と直線の交点は、「直線上の点を1つの文字で表し、平面の方程式に代入する」と求められます。
直線 ℓ\ell は2点 (0,2,0)(0,2,0)、(0,0,2)(0,0,2) を通るので、xx 座標は常に 00 で、y+z=2y+z=2 を満たします。
したがって、ℓ\ell 上の点は (0,s,2−s)(0,s,2-s) と表せます。

平面の方程式は、法線ベクトルを求めて作ります。
法線ベクトルの成分は、AB→\overrightarrow{\mathrm{AB}} と AP→\overrightarrow{\mathrm{AP}} の両方と内積が 00 になる条件から求められます。
aa を含む式になるので、どの aa でも平面が1つに決まることも確認しておきます。

(2)2つの線分を文字で表し、一致する条件を調べる

内分点・外分点の位置ベクトル

m,n>0m,n>0 とする。
1. 線分 ABAB を m:nm:n に内分する点 PP:OP→=nOA→+mOB→m+n\overrightarrow{OP}=\dfrac{n\overrightarrow{OA}+m\overrightarrow{OB}}{m+n}。
2. 線分 ABAB を m:nm:n に外分する点 QQ:OQ→=−nOA→+mOB→m−n\overrightarrow{OQ}=\dfrac{-n\overrightarrow{OA}+m\overrightarrow{OB}}{m-n}(m≠nm\ne n)。

線分 AB\mathrm{AB} 上の点は、s:(1−s)s:(1-s) に内分する点として OA→+sAB→\overrightarrow{\mathrm{OA}}+s\overrightarrow{\mathrm{AB}}(0≦s≦10\leqq s\leqq1)と表せます。
線分 PQ\mathrm{PQ} 上の点も同じように uu で表し、2つが一致する s,us,u が範囲内にあるかを調べます。

注意したいのは「四角形を成す」という条件です。
2つの線分が端点で交わる場合は、3点が一直線上に並び、四角形がつぶれてしまいます。
交点が両方の線分の端点以外にあることを確認しましょう。

(3)対角線で2つの三角形に分ける

三角形の面積の求め方

  1. 2辺 a,ba,b とその間の角 θ\theta が分かるとき、S=12absin⁡θS=\dfrac12ab\sin \theta。
  2. 3辺の長さが分かるとき、余弦定理で cos⁡θ\cos \theta を求める → sin⁡θ=1−cos⁡2θ\sin \theta=\sqrt{1-\cos^2 \theta} → 面積公式に代入する。
  3. 頂点の座標が (0,0),(a,b),(c,d)(0,0),(a,b),(c,d) のとき、S=12∣ad−bc∣S=\dfrac12|ad-bc|。原点が頂点でなければ、1つの頂点が原点になるように平行移動する。
  4. 3辺の長さ a,b,ca,b,c と外接円の半径 RR が分かるとき、
    S=abc4RS=\dfrac{abc}{4R}。

ベクトルの内積

内積は、二つのベクトルから定まる数。
零ベクトルでない a⃗, b⃗\vec a,\ \vec b のなす角を θ\theta とすると、
a⃗⋅b⃗=∣a⃗∣∣b⃗∣cos⁡θ\vec a\cdot\vec b=|\vec a||\vec b|\cos\theta。
成分で計算するときは、対応する成分どうしを掛けて足す。
平面では、a⃗=(a1,a2), b⃗=(b1,b2)\vec a=(a_1,a_2),\ \vec b=(b_1,b_2) に対して、
a⃗⋅b⃗=a1b1+a2b2\vec a\cdot\vec b=a_1b_1+a_2b_2。
空間では、a⃗=(a1,a2,a3), b⃗=(b1,b2,b3)\vec a=(a_1,a_2,a_3),\ \vec b=(b_1,b_2,b_3) に対して、
a⃗⋅b⃗=a1b1+a2b2+a3b3\vec a\cdot\vec b=a_1b_1+a_2b_2+a_3b_3。

対角線 AB\mathrm{AB} で、四角形を三角形 ABP\mathrm{ABP} と三角形 ABQ\mathrm{ABQ} に分けます。
2つの対角線のなす角を θ\theta とすると、面積は 12AB⋅PQsin⁡θ\dfrac12\mathrm{AB}\cdot\mathrm{PQ}\sin\theta にまとまります。
空間では角を直接測りにくいので、sin⁡θ\sin\theta は内積から求めた cos⁡θ\cos\theta を使って計算します。

解答

(1)

AB→=(1,1,−1)\overrightarrow{\mathrm{AB}}=(1,1,-1)、AP→=(a,0,−1)\overrightarrow{\mathrm{AP}}=(a,0,-1) である。
AP→=cAB→\overrightarrow{\mathrm{AP}}=c\overrightarrow{\mathrm{AB}} とすると、yy 成分から c=0c=0、zz 成分から −1=0-1=0 となり矛盾する。
よって A,B,P\mathrm{A},\mathrm{B},\mathrm{P} は同一直線上になく、どの aa に対しても平面がただ1つ定まる。

法線ベクトルを n⃗=(p,q,r)\vec n=(p,q,r) とすると、n⃗⋅AB→=0\vec n\cdot\overrightarrow{\mathrm{AB}}=0、n⃗⋅AP→=0\vec n\cdot\overrightarrow{\mathrm{AP}}=0 より、

p+q−r=0,ap−r=0.p+q-r=0,\qquad ap-r=0.

p=1p=1 とすると r=ar=a、q=a−1q=a-1 となるので、n⃗=(1, a−1, a)\vec n=(1,\ a-1,\ a) とできる。
平面は A(0,0,1)\mathrm{A}(0,0,1) を通るから、その方程式は

x+(a−1)y+a(z−1)=0,すなわちx+(a−1)y+az=a.\begin{aligned} &x+(a-1)y+a(z-1)=0,\\ &\text{すなわち}\quad x+(a-1)y+az=a. \end{aligned}

直線 ℓ\ell 上の点は、実数 ss を用いて (0, s, 2−s)(0,\ s,\ 2-s) と表せる。
これを平面の方程式に代入すると、

(a−1)s+a(2−s)=a  ⟺  −s+2a=a  ⟺  s=a.\begin{aligned} (a-1)s+a(2-s)=a&\iff -s+2a=a\\ &\iff s=a. \end{aligned}

よって、Q(0, a, 2−a)\mathrm{Q}(0,\ a,\ 2-a)。

(2)

線分 AB\mathrm{AB} 上の点と線分 PQ\mathrm{PQ} 上の点は、それぞれ次のように表せる。

OA→+sAB→=(s, s, 1−s),OP→+uPQ→=(a−au, au, (2−a)u)(0≦s≦1, 0≦u≦1).\begin{aligned} \overrightarrow{\mathrm{OA}}+s\overrightarrow{\mathrm{AB}}&=(s,\ s,\ 1-s),\\ \overrightarrow{\mathrm{OP}}+u\overrightarrow{\mathrm{PQ}}&=(a-au,\ au,\ (2-a)u)\\ &\qquad(0\leqq s\leqq1,\ 0\leqq u\leqq1). \end{aligned}

2点が一致する条件は、

s=a−au,s=au,1−s=(2−a)u.s=a-au,\qquad s=au,\qquad 1-s=(2-a)u.

はじめの2式から a(1−2u)=0a(1-2u)=0 である。

a=0a=0 のとき
P(0,0,0)\mathrm{P}(0,0,0)、Q(0,0,2)\mathrm{Q}(0,0,2) で、A(0,0,1)\mathrm{A}(0,0,1) は線分 PQ\mathrm{PQ} 上にある。
3点 P,A,Q\mathrm{P},\mathrm{A},\mathrm{Q} が一直線上に並ぶので、四角形 APBQ\mathrm{APBQ} を成さない。

a≠0a\ne0 のとき
u=12u=\dfrac12、s=a2s=\dfrac a2 となり、3つ目の式 1−a2=2−a21-\dfrac a2=\dfrac{2-a}{2} も成り立つ。
よって2つの線分が交わる条件は、0≦a2≦10\leqq\dfrac a2\leqq1、すなわち 0<a≦20< a\leqq2 である。

ただし a=2a=2 のときは s=1s=1 で、交点は B\mathrm{B} になる。
このとき P(2,0,0)\mathrm{P}(2,0,0)、Q(0,2,0)\mathrm{Q}(0,2,0) で、B(1,1,0)\mathrm{B}(1,1,0) は線分 PQ\mathrm{PQ} の中点だから、四角形を成さない。

0<a<20< a<2 のときは、交点 M(a2, a2, 1−a2)\mathrm{M}\left(\dfrac a2,\ \dfrac a2,\ 1-\dfrac a2\right) が線分 AB\mathrm{AB} の端点以外にあり、線分 PQ\mathrm{PQ} の中点である。
また、(1)で見たとおり P\mathrm{P} は直線 AB\mathrm{AB} 上にないので、直線 AB\mathrm{AB} と直線 PQ\mathrm{PQ} は異なる。
2本の対角線が互いの端点以外の点で交わるので、A,P,B,Q\mathrm{A},\mathrm{P},\mathrm{B},\mathrm{Q} はこの順に四角形を成す。

以上より、求める条件は 0<a<20< a<2。

(3)

AB→\overrightarrow{\mathrm{AB}} と PQ→\overrightarrow{\mathrm{PQ}} のなす角を θ\theta(0<θ<π0<\theta<\pi)とする。
対角線 AB\mathrm{AB} で四角形を三角形 ABP\mathrm{ABP} と三角形 ABQ\mathrm{ABQ} に分ける。
(2)の交点 M\mathrm{M} を使うと、直線 AB\mathrm{AB} と点 P\mathrm{P} の距離は PMsin⁡θ\mathrm{PM}\sin\theta、点 Q\mathrm{Q} との距離は QMsin⁡θ\mathrm{QM}\sin\theta だから、面積 SS は

S=12AB⋅PMsin⁡θ+12AB⋅QMsin⁡θ=12AB⋅PQsin⁡θ.\begin{aligned} S&=\frac12\mathrm{AB}\cdot\mathrm{PM}\sin\theta+\frac12\mathrm{AB}\cdot\mathrm{QM}\sin\theta\\ &=\frac12\mathrm{AB}\cdot\mathrm{PQ}\sin\theta. \end{aligned}

sin⁡θ=1−cos⁡2θ\sin\theta=\sqrt{1-\cos^2\theta} と内積を使うと、

S=12∣AB→∣2∣PQ→∣2−(AB→⋅PQ→)2.S=\frac12\sqrt{|\overrightarrow{\mathrm{AB}}|^2|\overrightarrow{\mathrm{PQ}}|^2-(\overrightarrow{\mathrm{AB}}\cdot\overrightarrow{\mathrm{PQ}})^2}.

AB→=(1,1,−1)\overrightarrow{\mathrm{AB}}=(1,1,-1)、PQ→=(−a, a, 2−a)\overrightarrow{\mathrm{PQ}}=(-a,\ a,\ 2-a) より、

∣AB→∣2=3,∣PQ→∣2=a2+a2+(2−a)2=3a2−4a+4,AB→⋅PQ→=−a+a−(2−a)=a−2.\begin{aligned} |\overrightarrow{\mathrm{AB}}|^2&=3,\\ |\overrightarrow{\mathrm{PQ}}|^2&=a^2+a^2+(2-a)^2=3a^2-4a+4,\\ \overrightarrow{\mathrm{AB}}\cdot\overrightarrow{\mathrm{PQ}}&=-a+a-(2-a)=a-2. \end{aligned}

よって、

S=123(3a2−4a+4)−(a−2)2=128a2−8a+8=2a2−2a+2.\begin{aligned} S&=\frac12\sqrt{3(3a^2-4a+4)-(a-2)^2}\\ &=\frac12\sqrt{8a^2-8a+8}\\ &=\sqrt{2a^2-2a+2}. \end{aligned}
補足別の方法と特別な場合で確かめる

三角形 ABP\mathrm{ABP} の面積を外積で求めると、AB→×AP→=(−1, 1−a, −a)\overrightarrow{\mathrm{AB}}\times\overrightarrow{\mathrm{AP}}=(-1,\ 1-a,\ -a) より 122a2−2a+2\dfrac12\sqrt{2a^2-2a+2} です。
M\mathrm{M} は PQ\mathrm{PQ} の中点なので、三角形 ABQ\mathrm{ABQ} も同じ面積になり、合計は 2a2−2a+2\sqrt{2a^2-2a+2} です。

また、a=1a=1 のとき P(1,0,0)\mathrm{P}(1,0,0)、Q(0,1,1)\mathrm{Q}(0,1,1) です。
AP→=(1,0,−1)\overrightarrow{\mathrm{AP}}=(1,0,-1)、PB→=(0,1,0)\overrightarrow{\mathrm{PB}}=(0,1,0) は垂直で、四角形は2辺が 2\sqrt2 と 11 の長方形になります。
面積 2\sqrt2 は、式に a=1a=1 を代入した値 2\sqrt2 と一致します。

問題データ

主分野
ベクトル
関連分野
なし
難易度の目安
B(標準)
目標時間
25分

講評

空間の平面・直線・面積を一通り扱う、ベクトルの標準的な問題です。
(1)で Q\mathrm{Q} を正しく求められれば、(2)(3)は計算を順に進めるだけで答えにたどり着けます。
(1)の計算ミスは後の小問すべてに響くので、求めた Q\mathrm{Q} が直線 ℓ\ell 上にあり、平面の方程式を満たすかを必ず確かめましょう。

差がつくのは(2)の端点の扱いです。
線分が交わる条件だけを求めると 0≦a≦20\leqq a\leqq2 になりますが、a=0a=0 と a=2a=2 では3点が一直線上に並び、四角形になりません。
「四角形を成す」という条件をどう式に反映するかを、答案ではっきり書くことが大切です。

(3)は、対角線が交わる四角形の面積を 12×(対角線の積)×sin⁡θ\dfrac12\times(\text{対角線の積})\times\sin\theta とまとめられると、計算が短くなります。
三角形2つに分けて外積や面積公式で求めても、同じ答えになります。

難易度はB、目標時間は25分としました。
どの小問も典型的な方針で解け、注意すべき点は(2)の端点の吟味に限られるためです。

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