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【解答・解説】2026年 早稲田大学 基幹・創造・先進理工学部 数学 第5問

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5

関数 f(x)=xlog⁡xf(x)=x\log x について,以下の問に答えよ。ただし,log⁡\log は自然対数,ee は自然対数の底を表す。必要ならば,lim⁡x→+0xlog⁡x=0\displaystyle\lim_{x\to+0}x\log x=0 を用いてよい。

(1)y=f(x)y=f(x) の増減,極値を調べて,そのグラフをかけ。

(2)実数 aa に対して,g(x)=ax−1g(x)=ax-1 とする。曲線 y=f(x)y=f(x) と直線 y=g(x)y=g(x) の共有点の個数は,aa の値によってどのように変わるか調べよ。

(3)曲線 y=f(x)y=f(x) と直線 y=g(x)y=g(x) の共有点の個数が1個のとき,曲線 y=f(x)y=f(x),直線 y=g(x)y=g(x) および直線 x=1ex=\dfrac{1}{e} で囲まれた部分を yy 軸の周りに1回転させてできる立体の体積を求めよ。

重要知識と着眼点

(1)定義域の端での様子まで調べる

関数の増減・極値・グラフの調べ方

微分して f′(x)f^{\prime}(x) の符号を調べ、増減表を作る。
1. f′(x)>0f^{\prime}(x)>0 の区間では増加、f′(x)<0f^{\prime}(x)<0 の区間では減少。
2. 微分可能な点の前後で、f′(x)f^{\prime}(x) の符号が +→−+\to- なら極大、−→+-\to+ なら極小。
増減・極値・定義域の端での値や極限をもとに、グラフを描く。

log⁡x\log x があるので、定義域は x>0x>0 です。
増減表に加えて、x→+0x\to+0 と x→∞x\to\infty でのふるまいを調べると、グラフの両端が決まります。
x→+0x\to+0 の極限は問題文で与えられているので、そのまま使えます。
f′′(x)f''(x) の符号から凹凸も分かり、(2)(3)で曲線と直線の位置関係を考えるときに役立ちます。

(2)文字 aa を分離する

文字定数を含む方程式の実数解の個数の調べ方(定数分離)

文字定数 kk を分離して k=F(x)k=F(x) の形にし、定義域内で y=F(x)y=F(x) と y=ky=k の交点の個数を調べる。

共有点の xx 座標は、方程式 xlog⁡x=ax−1x\log x=ax-1 の実数解です。
x>0x>0 なので両辺を xx で割ることができ、a=log⁡x+1xa=\log x+\dfrac1x と文字 aa だけを分離できます。
右辺のグラフと水平な直線 y=ay=a の交点を数えれば、aa による場合分けが一目で分かります。

直線 y=ax−1y=ax-1 が常に点 (0,−1)(0,-1) を通ることに注目して、傾き aa を変えながら曲線との交わり方を考える方法もあります。
その場合、境目は点 (0,−1)(0,-1) から引いた接線の傾きになります。

(3)yy 軸の周りの回転にはバウムクーヘン積分を使う

薄い円筒を使う回転体の体積(バウムクーヘン積分)

連続関数 y=f(x)y=f(x)、xx 軸、x=α,βx=\alpha,\beta(0≤α<β0\le\alpha<\beta)で囲まれた図形を、yy 軸の周りに回転させると、
V=2π∫αβx∣f(x)∣ dxV=2\pi\int_\alpha^\beta x|f(x)|\,dx。
幅 dxdx の細長い部分が、半径 xx、高さ ∣f(x)∣|f(x)| の薄い円筒になると考える。
円周 2πx2\pi x と高さ、厚さ dxdx の積を足し合わせる。

部分積分の使い方

∫f(x)g′(x) dx=f(x)g(x)−∫f′(x)g(x) dx\displaystyle\int f(x)g'(x)\,dx=f(x)g(x)-\int f'(x)g(x)\,dx。
微分すると簡単になる方を ff に選ぶ。
多項式と三角関数・指数関数の積や、log⁡x\log x を含む積分で考える。

共有点が1個になるのは a=1a=1 のときで、直線 y=x−1y=x-1 は点 (1,0)(1,0) における接線です。
yy 軸の周りの回転体では、ふつうは yy で積分します。
しかし y=xlog⁡xy=x\log x は xx について解けないので、xx で積分できるバウムクーヘン積分が適しています。

今回の部分は、曲線と直線の間にあります。
各 xx での高さは「上の曲線の yy 座標 − 下の直線の yy 座標」なので、上の公式の ∣f(x)∣|f(x)| をこの差に置きかえて使います。

解答

(1)

定義域は x>0x>0 である。

f′(x)=log⁡x+1,f′′(x)=1x>0.f'(x)=\log x+1,\qquad f''(x)=\frac1x>0.

f′(x)=0f'(x)=0 となるのは x=1ex=\dfrac1e のときである。

x(0)⋯1e⋯f′(x)−0+f(x)↘−1e↗\begin{array}{c|cccc} x & (0) & \cdots & \dfrac1e & \cdots \\ \hline f'(x) & & - & 0 & + \\ f(x) & & \searrow & -\dfrac1e & \nearrow \end{array}

よって、x=1ex=\dfrac1e のとき極小値 −1e-\dfrac1e をとる。極大値はない。

さらに、次のことが分かる。

  • lim⁡x→+0f(x)=0\displaystyle\lim_{x\to+0}f(x)=0、lim⁡x→∞f(x)=∞\displaystyle\lim_{x\to\infty}f(x)=\infty
  • f(1)=0f(1)=0 だから、グラフは点 (1,0)(1,0) で xx 軸と交わる。
  • f′′(x)>0f''(x)>0 だから、グラフは下に凸である。

以上から、グラフは次のようになる。
原点は定義域に含まれないので、白丸で示している。

y=x log xのグラフ。原点の近くから下がり、x=1/eで最小値−1/eをとり、x=1でx軸と交わって増加する。原点は含まない
y=xlog⁡xy=x\log x のグラフ
補足原点の近くでの曲線の向き

lim⁡x→+0f′(x)=−∞\displaystyle\lim_{x\to+0}f'(x)=-\infty なので、x→+0x\to+0 のとき接線の傾きは限りなく小さくなります。
グラフは、yy 軸に接するような向きで原点に近づきます。

(2)

共有点の個数は、x>0x>0 における方程式 xlog⁡x=ax−1x\log x=ax-1 の実数解の個数に等しい。
x>0x>0 で両辺を xx で割ると、この方程式は

log⁡x+1x=a\log x+\frac1x=a

と同値である。
h(x)=log⁡x+1xh(x)=\log x+\dfrac1x(x>0x>0)とおくと、

h′(x)=1x−1x2=x−1x2.h'(x)=\frac1x-\frac1{x^2}=\frac{x-1}{x^2}.
x(0)⋯1⋯h′(x)−0+h(x)↘1↗\begin{array}{c|cccc} x & (0) & \cdots & 1 & \cdots \\ \hline h'(x) & & - & 0 & + \\ h(x) & & \searrow & 1 & \nearrow \end{array}

また、

lim⁡x→+0h(x)=lim⁡x→+0xlog⁡x+1x=∞,lim⁡x→∞h(x)=∞.\begin{aligned} &\lim_{x\to+0}h(x)=\lim_{x\to+0}\frac{x\log x+1}{x}=\infty,\\ &\lim_{x\to\infty}h(x)=\infty. \end{aligned}

1つ目の極限は、分子が 11 に近づき、分母が正の側から 00 に近づくことによる。
h(x)h(x) は 0<x≦10< x\leqq1 で減少、x≧1x\geqq1 で増加する連続関数だから、直線 y=ay=a との交点の個数を数えて、次のようになる。

  • a<1a<1 のとき、共有点は 00 個
  • a=1a=1 のとき、共有点は 11 個
  • a>1a>1 のとき、共有点は 22 個

(3)

(2)より、共有点が1個になるのは a=1a=1 のときで、g(x)=x−1g(x)=x-1、共有点は (1,0)(1,0) である。

φ(x)=f(x)−g(x)=xlog⁡x−x+1\varphi(x)=f(x)-g(x)=x\log x-x+1 とおくと、φ′(x)=log⁡x\varphi'(x)=\log x である。
φ(x)\varphi(x) は 0<x≦10< x\leqq1 で減少、x≧1x\geqq1 で増加し、φ(1)=0\varphi(1)=0 だから、x>0x>0 で φ(x)≧0\varphi(x)\geqq0 である。
等号は x=1x=1 のときに限る。

よって、回転させる部分は

1e≦x≦1,x−1≦y≦xlog⁡x\frac1e\leqq x\leqq1,\qquad x-1\leqq y\leqq x\log x

で表される。
この部分は x>0x>0 の側にあり、yy 軸をまたがない。

曲線y=x log xと接線y=x−1、直線x=1/eで囲まれた部分を塗った図。接点は(1,0)
回転させる部分

バウムクーヘン積分により、求める体積 VV は

V=2π∫1/e1x{f(x)−g(x)} dx=2π∫1/e1(x2log⁡x−x2+x)dx.\begin{aligned} V&=2\pi\int_{1/e}^{1}x\{f(x)-g(x)\}\,dx\\ &=2\pi\int_{1/e}^{1}\left(x^2\log x-x^2+x\right)dx. \end{aligned}

部分積分により、

∫x2log⁡x dx=x33log⁡x−∫x33⋅1x dx=x33log⁡x−x39+C\begin{aligned} \int x^2\log x\,dx&=\frac{x^3}{3}\log x-\int\frac{x^3}{3}\cdot\frac1x\,dx\\ &=\frac{x^3}{3}\log x-\frac{x^3}{9}+C \end{aligned}

(CC は積分定数)だから、

∫1/e1(x2log⁡x−x2+x)dx=[x33log⁡x−49x3+x22]1/e1=(−49+12)−(−13e3−49e3+12e2)=118−12e2+79e3.\begin{aligned} &\int_{1/e}^{1}\left(x^2\log x-x^2+x\right)dx\\ &=\left[\frac{x^3}{3}\log x-\frac{4}{9}x^3+\frac{x^2}{2}\right]_{1/e}^{1}\\ &=\left(-\frac49+\frac12\right)-\left(-\frac{1}{3e^3}-\frac{4}{9e^3}+\frac{1}{2e^2}\right)\\ &=\frac{1}{18}-\frac{1}{2e^2}+\frac{7}{9e^3}. \end{aligned}

したがって、

V=2π(118−12e2+79e3)=π(e3−9e+14)9e3.V=2\pi\left(\frac{1}{18}-\frac{1}{2e^2}+\frac{7}{9e^3}\right)=\frac{\pi\left(e^3-9e+14\right)}{9e^3}.

別解

yy 軸に垂直な平面で切った断面を考え、yy で積分する。
回転させる部分は 1e−1≦y≦0\dfrac1e-1\leqq y\leqq0 にあり、高さ yy での切り口は、xx の区間 [x1, y+1][x_1,\ y+1] である。
ここで、x1x_1 は次のように決まる。

  • 1e−1≦y≦−1e\dfrac1e-1\leqq y\leqq-\dfrac1e のとき、x1=1ex_1=\dfrac1e
  • −1e≦y≦0-\dfrac1e\leqq y\leqq0 のとき、x1x_1 は y=xlog⁡xy=x\log x を満たす 1e≦x≦1\dfrac1e\leqq x\leqq1 の値

断面は、半径 y+1y+1 の円から半径 x1x_1 の円を除いた形なので、

Vπ=∫1/e−10(y+1)2 dy−∫1/e−1−1/e1e2 dy−∫−1/e0x1 2 dy.\begin{aligned} \frac{V}{\pi}&=\int_{1/e-1}^{0}(y+1)^2\,dy-\int_{1/e-1}^{-1/e}\frac{1}{e^2}\,dy\\ &\qquad-\int_{-1/e}^{0}x_1^{\,2}\,dy. \end{aligned}

最後の積分は y=xlog⁡xy=x\log x と置換すると、dy=(log⁡x+1) dxdy=(\log x+1)\,dx で、yy が −1e-\dfrac1e から 00 まで動くとき xx は 1e\dfrac1e から 11 まで動く。

∫−1/e0x1 2 dy=∫1/e1x2(log⁡x+1) dx=29+19e3.\int_{-1/e}^{0}x_1^{\,2}\,dy=\int_{1/e}^{1}x^2(\log x+1)\,dx=\frac29+\frac{1}{9e^3}.

残りの2つの積分は 13−13e3\dfrac13-\dfrac{1}{3e^3} と 1e2(1−2e)\dfrac{1}{e^2}\left(1-\dfrac2e\right) だから、

Vπ=13−13e3−1e2+2e3−29−19e3=19−1e2+149e3.\begin{aligned} \frac{V}{\pi}&=\frac13-\frac{1}{3e^3}-\frac{1}{e^2}+\frac{2}{e^3}-\frac29-\frac{1}{9e^3}\\ &=\frac19-\frac{1}{e^2}+\frac{14}{9e^3}. \end{aligned}

これは本解の結果 e3−9e+149e3\dfrac{e^3-9e+14}{9e^3} と一致する。

補足おおよその値で確かめる

e≒2.718e\fallingdotseq2.718 を使うと、V≒0.167V\fallingdotseq0.167 です。
回転させる部分の面積を AA とすると、A=14−1e+54e2≒0.051A=\dfrac14-\dfrac1e+\dfrac{5}{4e^2}\fallingdotseq0.051 です。
この部分は x=1ex=\dfrac1e から x=1x=1 の間にあるので、2πeA≦V≦2πA\dfrac{2\pi}{e}A\leqq V\leqq2\pi A です。
両端の値はおよそ 0.120.12 と 0.320.32 なので、V≒0.167V\fallingdotseq0.167 はこの範囲に入っており、大きな計算ミスがないことを確かめられます。

問題データ

関連分野
なし
難易度の目安
B(標準)
目標時間
30分

講評

y=xlog⁡xy=x\log x を題材に、グラフ・共有点の個数・回転体の体積を順に問う、微分積分の標準的な問題です。
3つの小問がつながっており、(1)で調べたグラフの形が(2)(3)の土台になります。

(1)では、増減表だけでなく x→+0x\to+0 と x→∞x\to\infty の様子を書くことが大切です。
原点が定義域に含まれないことも、グラフにはっきり示しましょう。

(2)は、文字 aa を分離できれば典型問題です。
x>0x>0 だから xx で割ってよい、という一言を答案に書き添えましょう。

差がつくのは(3)です。
まず、回転させる部分の上下関係を確かめる必要があります。
接線 y=x−1y=x-1 が曲線の下にあることは、φ(x)=f(x)−g(x)\varphi(x)=f(x)-g(x) の増減で示せます。
その後は、バウムクーヘン積分と部分積分を組み合わせた計算になります。
1e\dfrac1e を代入する計算は符号を間違えやすいので、項ごとに丁寧に進めてください。
別解のように yy で積分しても解けますが、置換積分が必要で計算量は多くなります。

難易度はB、目標時間は30分としました。
方針はどれも典型的ですが、グラフの記述と体積の計算に時間がかかるためです。

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