オンライン大学受験予備校ゴウカライズのロゴ
オンライン大学受験予備校ゴウカライズ
LINEで相談!

【解答・解説】2026年 慶應義塾大学 理工学部 数学 第3問

公開

3

表の出る確率が 12\dfrac12 の硬貨が1枚ある。nn を正の整数とする。

(1)硬貨を nn 回投げ,表が出た回数を aa とする。さらに続けて硬貨を nn 回投げたうちで,表が出た回数を bb とする。このとき,aa と bb の積が 00 である確率を nn の式で表すと シ\boxed{\text{シ}} である。「aa と bb の和が nn である」という事象の起こる場合の数を MnM_n とおく。n=5n=5 のとき,M5=スM_5=\boxed{\text{ス}} である。また,

lim⁡n→∞1nlog⁡n! Mnnn=セ\lim_{n\to\infty}\frac1n\log\frac{n!\,M_n}{n^n}=\boxed{\text{セ}}

である。ただし,log⁡x\log x は xx の自然対数とする。

(2)硬貨を nn 回投げ,表が出た回数を cc とする。さらに続けて硬貨を c+1c+1 回投げたうちで,表が出た回数を dd とする。このとき,「c=0c=0 である」という事象を CC とし,「d=0d=0 である」という事象を DD とする。n=4n=4 のとき,事象 DD の起こる確率は ソ\boxed{\text{ソ}} である。また,一般の nn に対して,事象 DD が起こったときに事象 CC の起こる条件付き確率は タ\boxed{\text{タ}} である。

(注意)空欄については,分数は既約分数にするなど最もふさわしいもの(数,式など)を記入する。

重要知識と着眼点

(1)シ:「積が 00」は「どちらかが 00」、反対の場合を考える

条件を満たさない方も考える(余事象)

条件を満たす方と満たさない方を比べ、数えやすい方を求める。
個数は「全体 − 満たさない個数」。
確率は P(A)=1−P(A‾)P(A)=1-P(\overline A)。

ab=0ab=0 は「a=0a=0 または b=0b=0」です。
「または」の確率を直接求めると、両方が 00 の場合を重ねて数えないよう注意が必要です。
反対の「a≧1a\geqq1 かつ b≧1b\geqq1」なら、前半と後半の nn 回は互いに影響しないので、確率の積で求められます。

(1)ス:「和が nn」は「2n2n 回でちょうど nn 回表」

独立な試行でちょうど kk 回成功する確率

成功する確率が毎回 pp の試行を独立に nn 回行うとき、ちょうど kk 回成功する確率は、nCkpk(1−p)n−k{}_nC_kp^k(1-p)^{n-k}。
nn 回中 kk 回成功する場合の数が nCk{}_nC_k 通り、各々の起こる確率が pk(1−p)n−kp^k(1-p)^{n-k} と考える。

a+ba+b は、続けて投げた 2n2n 回全体で表が出た回数です。
したがって「a+b=na+b=n」は「2n2n 回のうちちょうど nn 回表が出る」と同じ事象です。
2n2n 回の表裏の出方のうち、表が出る nn 回の位置を選ぶと考えれば、Mn=2nCnM_n={}_{2n}C_n です。
aa の値で場合分けして nCk⋅nCn−k{}_nC_k\cdot{}_nC_{n-k} を足しても求められますが、まとめて見る方が速く確実です。

(1)セ:積を和に直し、区分求積法の形を作る

logの基本事項

底は a>0, a≠1a>0,\ a\ne1、真数は正。M,N>0M,N>0 のとき、
log⁡a(MN)=log⁡aM+log⁡aN\log_a(MN)=\log_a M+\log_a N。
log⁡aMN=log⁡aM−log⁡aN\log_a\dfrac MN=\log_a M-\log_a N。
log⁡aMr=rlog⁡aM\log_a M^r=r\log_a M。

和の極限を積分で求める方法(区分求積法)

ff が [0,1][0,1] で連続なら、
lim⁡n→∞1n∑k=1nf(kn)=∫01f(x) dx\displaystyle\lim_{n\to\infty}\dfrac1n\sum_{k=1}^n f\left(\dfrac kn\right)=\int_0^1 f(x)\,dx。
和の部分は 1n{f(1n)+f(2n)+⋯+f(1)}\dfrac1n\left\{f\left(\dfrac1n\right)+f\left(\dfrac2n\right)+\cdots+f(1)\right\}。
和の極限を、この形に直せないか考える。

部分積分の使い方

∫f(x)g′(x) dx=f(x)g(x)−∫f′(x)g(x) dx\displaystyle\int f(x)g'(x)\,dx=f(x)g(x)-\int f'(x)g(x)\,dx。
微分すると簡単になる方を ff に選ぶ。
多項式と三角関数・指数関数の積や、log⁡x\log x を含む積分で考える。

Mn=(2n)!n! n!M_n=\dfrac{(2n)!}{n!\,n!} を代入すると、n!n! が1つ約分されて (2n)!n! nn\dfrac{(2n)!}{n!\,n^n} になります。
(2n)!n!=(n+1)(n+2)⋯(2n)\dfrac{(2n)!}{n!}=(n+1)(n+2)\cdots(2n) は nn 個の数の積なので、分母の nnn^n の nn を1つずつ割り当てると、(1+1n)(1+2n)⋯(1+nn)\left(1+\dfrac1n\right)\left(1+\dfrac2n\right)\cdots\left(1+\dfrac nn\right) となります。
log⁡\log をとれば積が和になり、前に 1n\dfrac1n が付いているので、区分求積法の形がそのまま現れます。
問題文の 1nlog⁡\dfrac1n\log と n!nn\dfrac{n!}{n^n} は、この形を作るための誘導だと読み取れます。

(2)cc の値で場合分けし、条件付き確率の定義に当てはめる

条件付き確率の意味と求め方

P(A)>0P(A)>0 のとき、事象 AA が起きたという条件のもとで、事象 BB が起きる確率。P(B∣A)=P(A∩B)P(A)P(B\mid A)=\dfrac{P(A\cap B)}{P(A)}。

(a+b)n(a+b)^n の扱い方(二項定理)

nn が 00 以上の整数のとき、展開した式の an−kbka^{n-k}b^k の係数は nCk{}_nC_k(0≦k≦n0\leqq k\leqq n)。

(a+b)n=∑k=0nnCkan−kbk=an+nC1an−1b+nC2an−2b2+⋯+nCn−2a2bn−2+nCn−1abn−1+bn.\begin{aligned} (a+b)^n&=\sum_{k=0}^{n}{}_nC_k a^{n-k}b^k\\ &=a^n+{}_nC_1a^{n-1}b+{}_nC_2a^{n-2}b^2+\cdots\\ &\quad+{}_nC_{n-2}a^2b^{n-2}+{}_nC_{n-1}ab^{n-1}+b^n. \end{aligned}

後半で投げる回数は c+1c+1 回で、前半の結果によって変わります。
そこで c=kc=k の場合に分け、「c=kc=k になる確率」と「その後 k+1k+1 回すべて裏になる確率」を掛けて足します。
現れる和 ∑k=0nnCk(12)k\displaystyle\sum_{k=0}^n{}_nC_k\left(\dfrac12\right)^k は、二項定理で (1+12)n\left(1+\dfrac12\right)^n とまとめられます。

条件付き確率 P(C∣D)P(C\mid D) は、「DD が起こった」ことが分かったときに「CC だった」確率です。
時間の順序とは逆向きですが、定義の式に当てはめれば計算できます。
C∩DC\cap D は「前半がすべて裏、後半の1回も裏」なので、すぐに求められます。

解答

(1)シ

ab=0ab=0 の余事象は「a≧1a\geqq1 かつ b≧1b\geqq1」である。
前半の nn 回と後半の nn 回は独立で、a≧1a\geqq1 となる確率は 1−(12)n1-\left(\dfrac12\right)^n、b≧1b\geqq1 となる確率も同じだから、

P(ab=0)=1−(1−12n)2=22n−14n=2n+1−14n.\begin{aligned} P(ab=0)&=1-\left(1-\frac{1}{2^n}\right)^2=\frac{2}{2^n}-\frac{1}{4^n}\\ &=\boxed{\frac{2^{n+1}-1}{4^n}}. \end{aligned}

(1)ス

a+ba+b は 2n2n 回全体で表が出た回数である。
よって、「a+b=na+b=n」となる表裏の出方は、2n2n 回のうち表が出る nn 回を選ぶ方法の数に等しく、

Mn=2nCn.M_n={}_{2n}C_n.

n=5n=5 のとき、M5=10C5=252M_5={}_{10}C_5=\boxed{252}。

(1)セ

Mn=(2n)!n! n!M_n=\dfrac{(2n)!}{n!\,n!} より、

n! Mnnn=(2n)!n! nn=(n+1)(n+2)⋯(2n)nn=(1+1n)(1+2n)⋯(1+nn).\begin{aligned} \frac{n!\,M_n}{n^n}&=\frac{(2n)!}{n!\,n^n}=\frac{(n+1)(n+2)\cdots(2n)}{n^n}\\ &=\left(1+\frac1n\right)\left(1+\frac2n\right)\cdots\left(1+\frac nn\right). \end{aligned}

両辺の自然対数をとると、

1nlog⁡n! Mnnn=1n∑k=1nlog⁡(1+kn).\frac1n\log\frac{n!\,M_n}{n^n}=\frac1n\sum_{k=1}^{n}\log\left(1+\frac kn\right).

log⁡(1+x)\log(1+x) は 0≦x≦10\leqq x\leqq1 で連続だから、区分求積法により

lim⁡n→∞1n∑k=1nlog⁡(1+kn)=∫01log⁡(1+x) dx.\lim_{n\to\infty}\frac1n\sum_{k=1}^{n}\log\left(1+\frac kn\right)=\int_0^1\log(1+x)\,dx.

部分積分により、

∫01log⁡(1+x) dx=[(1+x)log⁡(1+x)]01−∫01(1+x)⋅11+x dx=2log⁡2−1.\begin{aligned} &\int_0^1\log(1+x)\,dx\\ &=\Bigl[(1+x)\log(1+x)\Bigr]_0^1\\ &\qquad-\int_0^1(1+x)\cdot\frac{1}{1+x}\,dx\\ &=2\log2-1. \end{aligned}

よって、求める極限は 2log⁡2−1\boxed{2\log2-1}。

補足数値で確かめる

2log⁡2−12\log2-1 はおよそ 0.3860.386 です。
実際に 1nlog⁡n! Mnnn\dfrac1n\log\dfrac{n!\,M_n}{n^n} を計算すると、n=10n=10 でおよそ 0.4210.421、n=1000n=1000 でおよそ 0.3870.387 となり、この値に近づいていきます。

(2)

c=kc=k(k=0,1,…,nk=0,1,\ldots,n)となる確率は nCk(12)n{}_nC_k\left(\dfrac12\right)^n である。
このとき後半は k+1k+1 回投げるので、d=0d=0 となる確率は (12)k+1\left(\dfrac12\right)^{k+1} である。
よって、

P(D)=∑k=0nnCk(12)n(12)k+1=12n+1∑k=0nnCk(12)k=12n+1(1+12)n=12(34)n.\begin{aligned} P(D)&=\sum_{k=0}^{n}{}_nC_k\left(\frac12\right)^n\left(\frac12\right)^{k+1}\\ &=\frac{1}{2^{n+1}}\sum_{k=0}^{n}{}_nC_k\left(\frac12\right)^k\\ &=\frac{1}{2^{n+1}}\left(1+\frac12\right)^n=\frac12\left(\frac34\right)^n. \end{aligned}

n=4n=4 のとき、P(D)=12⋅81256=81512P(D)=\dfrac12\cdot\dfrac{81}{256}=\boxed{\dfrac{81}{512}}。

また、C∩DC\cap D は「c=0c=0 で、続く1回が裏」という事象だから、

P(C∩D)=(12)n⋅12=12n+1.P(C\cap D)=\left(\frac12\right)^n\cdot\frac12=\frac{1}{2^{n+1}}.

したがって、求める条件付き確率は

P(C∣D)=P(C∩D)P(D)=12n+1⋅2(43)n=4n2n⋅3n=(23)n.\begin{aligned} P(C\mid D)&=\frac{P(C\cap D)}{P(D)}=\frac{1}{2^{n+1}}\cdot2\left(\frac43\right)^n\\ &=\frac{4^n}{2^n\cdot3^n}=\boxed{\left(\frac23\right)^n}. \end{aligned}
補足n=1n=1 で確かめる

n=1n=1 のとき、c=0c=0 で続く1回が裏になる確率は 12⋅12=14\dfrac12\cdot\dfrac12=\dfrac14 です。
c=1c=1 で続く2回がともに裏になる確率は 12⋅14=18\dfrac12\cdot\dfrac14=\dfrac18 です。
よって P(D)=14+18=38P(D)=\dfrac14+\dfrac18=\dfrac38 で、式 12⋅34\dfrac12\cdot\dfrac34 と一致します。
条件付き確率は 1/43/8=23\dfrac{1/4}{3/8}=\dfrac23 で、(23)1\left(\dfrac23\right)^1 と一致します。

問題データ

関連分野
微分・積分
難易度の目安
B(標準)
目標時間
20分

講評

硬貨を投げる確率の問題に、区分求積法による極限を組み合わせた問題です。
小問ごとに必要な道具ははっきりしているので、どの知識を使うかをすばやく判断できるかが勝負になります。

シ・ス・ソは確実に取りたいところです。
シは余事象を使えば1行で終わります。
「または」をそのまま足して 22n\dfrac{2}{2^n} としてしまうと、a=b=0a=b=0 の場合を2回数えた誤りになります。
スは、aa と bb を別々に考えず、2n2n 回全体で表が nn 回と見れば 10C5{}_{10}C_5 です。
ソは、後半に投げる回数が cc によって変わることを場合分けで処理し、二項定理で和をまとめます。

差がつくのはセです。
n! Mnnn\dfrac{n!\,M_n}{n^n} を約分して nn 個の積 (1+1n)⋯(1+nn)\left(1+\dfrac1n\right)\cdots\left(1+\dfrac nn\right) に直せるかが鍵です。
「1nlog⁡(積)\dfrac1n\log(\text{積}) の極限」は、log⁡\log で和に直して区分求積法を使う典型的な形なので、見た瞬間に方針が立つようにしておきましょう。
最後の ∫01log⁡(1+x) dx\displaystyle\int_0^1\log(1+x)\,dx も、部分積分の基本問題として確実に計算したいところです。

タは、条件付き確率の定義に当てはめるだけですが、「時間的に後の DD から前の CC を推測する」形に戸惑うかもしれません。
定義の式は時間の順序に関係なく使えることを押さえておきましょう。

難易度はB、目標時間は20分としました。
各小問は典型的な処理で解けますが、セで区分求積法の形を作る変形に慣れが必要なためです。

志望校対策はオンラインで始められる。無料受験相談。今すぐLINEで相談!

同じ試験の問題

【解答・解説】2026年 慶應義塾大学 理工学部 数学 第1問

【解答・解説】2026年 慶應義塾大学 理工学部 数学 第2問

【解答・解説】2026年 慶應義塾大学 理工学部 数学 第4問

【解答・解説】2026年 慶應義塾大学 理工学部 数学 第5問

同じ分野の問題

【解答・解説】2024年 麻布大学 獣医学科 第Ⅰ期F日程 数学 第2問

【解答・解説】2025年 麻布大学 獣医学科 第Ⅱ期 数学 第4問

【解答・解説】2026年 麻布大学 獣医学科 第Ⅰ期B日程 数学 第4問

【解答・解説】2026年 麻布大学 獣医学科 第Ⅰ期D日程 数学 第3問

【解答・解説】2026年 麻布大学 獣医学科 第Ⅱ期 数学 第4問

【解答・解説】2026年 早稲田大学 基幹・創造・先進理工学部 数学 第5問

問題を探す

または