重要知識と着眼点
(1)シ:「積が 」は「どちらかが 」、反対の場合を考える
条件を満たさない方も考える(余事象)
条件を満たす方と満たさない方を比べ、数えやすい方を求める。
個数は「全体 − 満たさない個数」。
確率は 。
は「 または 」です。
「または」の確率を直接求めると、両方が の場合を重ねて数えないよう注意が必要です。
反対の「 かつ 」なら、前半と後半の 回は互いに影響しないので、確率の積で求められます。
(1)ス:「和が 」は「 回でちょうど 回表」
独立な試行でちょうど 回成功する確率
成功する確率が毎回 の試行を独立に 回行うとき、ちょうど 回成功する確率は、。
回中 回成功する場合の数が 通り、各々の起こる確率が と考える。
は、続けて投げた 回全体で表が出た回数です。
したがって「」は「 回のうちちょうど 回表が出る」と同じ事象です。
回の表裏の出方のうち、表が出る 回の位置を選ぶと考えれば、 です。
の値で場合分けして を足しても求められますが、まとめて見る方が速く確実です。
(1)セ:積を和に直し、区分求積法の形を作る
logの基本事項
底は 、真数は正。 のとき、
。
。
。
和の極限を積分で求める方法(区分求積法)
が で連続なら、
。
和の部分は 。
和の極限を、この形に直せないか考える。
部分積分の使い方
。
微分すると簡単になる方を に選ぶ。
多項式と三角関数・指数関数の積や、 を含む積分で考える。
を代入すると、 が1つ約分されて になります。
は 個の数の積なので、分母の の を1つずつ割り当てると、 となります。
をとれば積が和になり、前に が付いているので、区分求積法の形がそのまま現れます。
問題文の と は、この形を作るための誘導だと読み取れます。
(2) の値で場合分けし、条件付き確率の定義に当てはめる
条件付き確率の意味と求め方
のとき、事象 が起きたという条件のもとで、事象 が起きる確率。。
の扱い方(二項定理)
が 以上の整数のとき、展開した式の の係数は ()。
後半で投げる回数は 回で、前半の結果によって変わります。
そこで の場合に分け、「 になる確率」と「その後 回すべて裏になる確率」を掛けて足します。
現れる和 は、二項定理で とまとめられます。
条件付き確率 は、「 が起こった」ことが分かったときに「 だった」確率です。
時間の順序とは逆向きですが、定義の式に当てはめれば計算できます。
は「前半がすべて裏、後半の1回も裏」なので、すぐに求められます。
解答
(1)シ
の余事象は「 かつ 」である。
前半の 回と後半の 回は独立で、 となる確率は 、 となる確率も同じだから、
(1)ス
は 回全体で表が出た回数である。
よって、「」となる表裏の出方は、 回のうち表が出る 回を選ぶ方法の数に等しく、
のとき、。
(1)セ
より、
両辺の自然対数をとると、
は で連続だから、区分求積法により
部分積分により、
よって、求める極限は 。
補足数値で確かめる
はおよそ です。
実際に を計算すると、 でおよそ 、 でおよそ となり、この値に近づいていきます。
(2)
()となる確率は である。
このとき後半は 回投げるので、 となる確率は である。
よって、
のとき、。
また、 は「 で、続く1回が裏」という事象だから、
したがって、求める条件付き確率は
補足 で確かめる
のとき、 で続く1回が裏になる確率は です。
で続く2回がともに裏になる確率は です。
よって で、式 と一致します。
条件付き確率は で、 と一致します。
講評
硬貨を投げる確率の問題に、区分求積法による極限を組み合わせた問題です。
小問ごとに必要な道具ははっきりしているので、どの知識を使うかをすばやく判断できるかが勝負になります。
シ・ス・ソは確実に取りたいところです。
シは余事象を使えば1行で終わります。
「または」をそのまま足して としてしまうと、 の場合を2回数えた誤りになります。
スは、 と を別々に考えず、 回全体で表が 回と見れば です。
ソは、後半に投げる回数が によって変わることを場合分けで処理し、二項定理で和をまとめます。
差がつくのはセです。
を約分して 個の積 に直せるかが鍵です。
「 の極限」は、 で和に直して区分求積法を使う典型的な形なので、見た瞬間に方針が立つようにしておきましょう。
最後の も、部分積分の基本問題として確実に計算したいところです。
タは、条件付き確率の定義に当てはめるだけですが、「時間的に後の から前の を推測する」形に戸惑うかもしれません。
定義の式は時間の順序に関係なく使えることを押さえておきましょう。
難易度はB、目標時間は20分としました。
各小問は典型的な処理で解けますが、セで区分求積法の形を作る変形に慣れが必要なためです。


問題データ