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【解答・解説】2026年 慶應義塾大学 理工学部 数学 第1問

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座標平面上において,原点 O\mathrm{O} を中心とする半径 11 の円を CC とし,点 A(3, 0)\mathrm{A}(3,\ 0) を通り傾きが tt の直線を ll とする。

(1)円 CC と直線 ll がただ1つの共有点をもつとき,その点の xx 座標は ア\boxed{\text{ア}} である。

(2)円 CC と直線 ll が異なる2点で交わるような tt の値の範囲は イ<t<ウ\boxed{\text{イ}}<t<\boxed{\text{ウ}} である。

以下,tt が イ<t<ウ\boxed{\text{イ}}<t<\boxed{\text{ウ}} を満たすように動くとする。このとき,円 CC と直線 ll の2つの交点を結ぶ線分の中点を M\mathrm{M} とする。

(3)線分 OM\mathrm{OM} の長さを tt の式で表すと,エ\boxed{\text{エ}} である。

(4)点 M\mathrm{M} の軌跡の方程式は オ=0\boxed{\text{オ}}=0 である。ただし,xx の範囲は 0≦x<ア0\leqq x<\boxed{\text{ア}} である。

(5)円 CC と直線 ll の2つの交点と原点 O\mathrm{O} を頂点とする三角形を,直線 ll のまわりに1回転してできる立体の体積を VV とする。VV が最大となる tt の値は カ\boxed{\text{カ}} である。

(注意)空欄については,分数は既約分数にするなど最もふさわしいもの(数,式など)を記入する。

重要知識と着眼点

(1)(2)中心と直線の距離で、共有点の個数を判定する

円と直線が接する条件

円の中心と直線の距離が、円の半径に等しい。

点と直線の距離の求め方

点 (x0,y0)(x_0,y_0) と直線 ax+by+c=0ax+by+c=0 の距離は、∣ax0+by0+c∣a2+b2\dfrac{|ax_0+by_0+c|}{\sqrt{a^2+b^2}}。

円と直線の共有点は、連立して判別式を調べても求められます。
ただし、この問題では(3)で OM\mathrm{OM} の長さ、(5)で回転体の半径が問われます。
どちらも「中心 O\mathrm{O} と直線 ll の距離」なので、最初から距離 dd を使っておくと、後の小問にそのまま使えます。

dd と半径 11 を比べると、d=1d=1 なら接し、d<1d<1 なら2点で交わります。
接するときの共有点(接点)は、O\mathrm{O} から ll に下ろした垂線の足です。
そこで、垂線の足の座標を tt で表しておきます。

(3)(4)中点 M\mathrm{M} は、O\mathrm{O} から ll に下ろした垂線の足

直径の両端から円の方程式を求める方法

異なる2点 A,BA,B を直径の両端とする円周上に点 PP がある   ⟺  \iff AP→⋅BP→=0\overrightarrow{AP}\cdot\overrightarrow{BP}=0。

2つの交点を P,Q\mathrm{P},\mathrm{Q} とすると、OP=OQ=1\mathrm{OP}=\mathrm{OQ}=1 です。
O\mathrm{O} は線分 PQ\mathrm{PQ} の垂直二等分線上にあるので、O\mathrm{O} から ll に下ろした垂線の足は、ちょうど PQ\mathrm{PQ} の中点 M\mathrm{M} になります。
つまり、M\mathrm{M} は(1)(2)で調べた垂線の足そのものです。
OM\mathrm{OM} の長さも、中心と直線の距離 dd になります。

さらに、t≠0t\ne0 のときは M≠O\mathrm{M}\ne\mathrm{O} で、OM⊥l\mathrm{OM}\perp l、ll は A\mathrm{A} を通ります。
したがって ∠OMA=90∘\angle\mathrm{OMA}=90^\circ となり、M\mathrm{M} は OA\mathrm{OA} を直径とする円の上にあると予想できます。
t=0t=0 のときは M=O\mathrm{M}=\mathrm{O} で、この点もその円の上にあります。
答案では、M\mathrm{M} の座標を代入して確かめます。

原点Oを中心とする半径1の円C、点A(3,0)を通る直線l、2つの交点の中点Mを描いた図。OAを直径とする円を破線で示し、Mの軌跡は2つの接点を結ぶ太い円弧
円 CC、直線 ll と中点 M\mathrm{M} の軌跡

(5)回転体は、2つの円錐を底面で貼り合わせた形

関数の最大・最小の求め方

定義域を確認し、微分して増減を調べる。極値や区間の端の値を調べ、最大・最小を判断する。
2次関数は平方完成してグラフを描いても求められる。

三角形 OPQ\mathrm{OPQ} の辺 PQ\mathrm{PQ} は回転軸 ll 上にあります。
頂点 O\mathrm{O} は軸から距離 dd の位置にあり、O\mathrm{O} から軸に下ろした垂線の足 M\mathrm{M} は P\mathrm{P} と Q\mathrm{Q} の間にあります。
そのため、回転してできる立体は、底面の半径が dd の円錐2つを、底面どうしで貼り合わせた形です。
2つの円錐の高さの和は PQ\mathrm{PQ} なので、体積は 13πd2⋅PQ\dfrac13\pi d^2\cdot\mathrm{PQ} とまとめられます。
なお、d=0d=0 のときは三角形が線分に退化し、体積は 00 です。

三角形OPQを直線lのまわりに回転させる図。Oから直線lに下ろした垂線の足Mが底面の円の中心になり、高さPMとMQの2つの円錐が底面で貼り合わさる
三角形 OPQ\mathrm{OPQ} を直線 ll のまわりに回転させた立体

PQ\mathrm{PQ} も三平方の定理から dd で表せるので、VV は dd だけの式になります。
tt のまま微分すると計算が重くなるので、d2d^2 を1つの文字に置き換えて最大値を調べましょう。
最後に、その d2d^2 になる tt を求めます。

解答

準備:O\mathrm{O} から ll に下ろした垂線の足

直線 ll の方程式は y=t(x−3)y=t(x-3)、すなわち tx−y−3t=0tx-y-3t=0 である。
O\mathrm{O} から ll に下ろした垂線の足を H\mathrm{H} とする。
H\mathrm{H} は ll 上にあるので H(x, t(x−3))\mathrm{H}(x,\ t(x-3)) とおける。
ll の方向ベクトル (1, t)(1,\ t) と OH→\overrightarrow{\mathrm{OH}} が垂直だから、

x+t⋅t(x−3)=0よりx=3t2t2+1.x+t\cdot t(x-3)=0\quad\text{より}\quad x=\frac{3t^2}{t^2+1}.

このとき y=t(x−3)=−3tt2+1y=t(x-3)=-\dfrac{3t}{t^2+1} なので、

H(3t2t2+1, −3tt2+1).\mathrm{H}\left(\frac{3t^2}{t^2+1},\ -\frac{3t}{t^2+1}\right).

また、O\mathrm{O} と ll の距離を dd とすると、

d=∣−3t∣t2+1=3∣t∣t2+1.d=\frac{|-3t|}{\sqrt{t^2+1}}=\frac{3|t|}{\sqrt{t^2+1}}.

(1)

円 CC と直線 ll がただ1つの共有点をもつのは、d=1d=1 のときである。

9t2t2+1=1よりt2=18.\frac{9t^2}{t^2+1}=1\quad\text{より}\quad t^2=\frac18.

接点では半径と接線が垂直なので、接点は H\mathrm{H} である。
よって、その xx 座標は

3t2t2+1=3/89/8=13.\frac{3t^2}{t^2+1}=\frac{3/8}{9/8}=\boxed{\frac13}.

(2)

異なる2点で交わる条件は d<1d<1 である。

9t2t2+1<1  ⟺  t2<18  ⟺  −24<t<24.\frac{9t^2}{t^2+1}<1\iff t^2<\frac18\iff -\frac{\sqrt2}{4}<t<\frac{\sqrt2}{4}.

よって、イは −24-\dfrac{\sqrt2}{4}、ウは 24\dfrac{\sqrt2}{4} である。

(3)

2つの交点を P,Q\mathrm{P},\mathrm{Q} とする。
OP=OQ=1\mathrm{OP}=\mathrm{OQ}=1 より、O\mathrm{O} は線分 PQ\mathrm{PQ} の垂直二等分線上にある。
この垂直二等分線は ll に垂直で、ll と M\mathrm{M} で交わるから、O\mathrm{O} から ll に下ろした垂線の足は M\mathrm{M} である。
すなわち M=H\mathrm{M}=\mathrm{H} であり、

OM=d=3∣t∣t2+1.\mathrm{OM}=d=\boxed{\frac{3|t|}{\sqrt{t^2+1}}}.
補足絶対値を忘れない

tt は負の値もとるので、9t2=3∣t∣\sqrt{9t^2}=3|t| です。
3tt2+1\dfrac{3t}{\sqrt{t^2+1}} と書くと、t<0t<0 のとき長さが負になってしまいます。

(4)

M(x, y)\mathrm{M}(x,\ y) とすると、準備の結果から

x=3t2t2+1,y=−3tt2+1.x=\frac{3t^2}{t^2+1},\qquad y=-\frac{3t}{t^2+1}.

これより、

x2+y2=9t4+9t2(t2+1)2=9t2t2+1=3x.x^2+y^2=\frac{9t^4+9t^2}{(t^2+1)^2}=\frac{9t^2}{t^2+1}=3x.

よって、M\mathrm{M} の軌跡の方程式は

x2+y2−3x=0\boxed{x^2+y^2-3x}=0

であり、これは OA\mathrm{OA} を直径とする円である。
また、x=3−3t2+1x=3-\dfrac{3}{t^2+1} で、t2t^2 は 0≦t2<180\leqq t^2<\dfrac18 の範囲を動くから、xx の範囲は 0≦x<130\leqq x<\dfrac13 となり、問題文の範囲と一致する。

逆に、x2+y2=3xx^2+y^2=3x、0≦x<130\leqq x<\dfrac13 を満たす点に対し、t=yx−3t=\dfrac{y}{x-3} とおく。
y2=x(3−x)y^2=x(3-x) より t2=x3−x<18t^2=\dfrac{x}{3-x}<\dfrac18 であり、この tt を上の M\mathrm{M} の座標に代入すると、もとの (x,y)(x,y) に一致する。
したがって、この範囲の円弧上のすべての点が軌跡に含まれる。

(5)

t=0t=0 のとき、O\mathrm{O} は線分 PQ\mathrm{PQ} 上にあり、三角形は線分に退化して V=0V=0 となる。
まず t≠0t\ne0 として考える。

P\mathrm{P}、Q\mathrm{Q} は ll 上にあり、O\mathrm{O} から ll に下ろした垂線の足 M\mathrm{M} は線分 PQ\mathrm{PQ} の中点である。
よって、三角形 OPQ\mathrm{OPQ} を ll のまわりに1回転してできる立体は、底面の半径が OM=d\mathrm{OM}=d、高さが PM\mathrm{PM}、QM\mathrm{QM} の2つの円錐を合わせたものである。

V=13πd2⋅PM+13πd2⋅QM=13πd2⋅PQ.V=\frac13\pi d^2\cdot\mathrm{PM}+\frac13\pi d^2\cdot\mathrm{QM}=\frac13\pi d^2\cdot\mathrm{PQ}.

三角形 OPM\mathrm{OPM} は直角三角形で OP=1\mathrm{OP}=1 だから、PM=1−d2\mathrm{PM}=\sqrt{1-d^2}、PQ=21−d2\mathrm{PQ}=2\sqrt{1-d^2} である。

V=2π3d21−d2=2π3d4(1−d2).V=\frac{2\pi}{3}d^2\sqrt{1-d^2}=\frac{2\pi}{3}\sqrt{d^4(1-d^2)}.

この体積の式は、t=0t=0、すなわち d=0d=0 のときも V=0V=0 となり成り立つ。
u=d2=9t2t2+1u=d^2=\dfrac{9t^2}{t^2+1} とおく。
(4)より u=3xu=3x だから、tt が −24<t<24-\dfrac{\sqrt2}{4}<t<\dfrac{\sqrt2}{4} を動くとき、uu は 0≦u<10\leqq u<1 の範囲を動く。
VV が最大となるのは、g(u)=u2(1−u)=u2−u3g(u)=u^2(1-u)=u^2-u^3 が最大となるときである。

g′(u)=2u−3u2=u(2−3u).g'(u)=2u-3u^2=u(2-3u).
u0⋯23⋯(1)g′(u)0+0−g(u)0↗427↘\begin{array}{c|ccccc} u & 0 & \cdots & \dfrac23 & \cdots & (1) \\ \hline g'(u) & 0 & + & 0 & - & \\ g(u) & 0 & \nearrow & \dfrac{4}{27} & \searrow & \end{array}

よって、g(u)g(u) は u=23u=\dfrac23 のとき最大となる。
このとき、

9t2t2+1=23  ⟺  27t2=2t2+2  ⟺  t2=225.\frac{9t^2}{t^2+1}=\frac23\iff27t^2=2t^2+2\iff t^2=\frac{2}{25}.

25<24\dfrac{\sqrt2}{5}<\dfrac{\sqrt2}{4} だから、これは範囲内にある。
したがって、VV が最大となる tt の値は

t=±25.t=\boxed{\pm\frac{\sqrt2}{5}}.

なお、最大値は V=2π3427=4327πV=\dfrac{2\pi}{3}\sqrt{\dfrac{4}{27}}=\dfrac{4\sqrt3}{27}\pi である。

補足相加平均と相乗平均の関係で確かめる

0<u<10<u<1 のとき、g(u)=4⋅u2⋅u2⋅(1−u)g(u)=4\cdot\dfrac u2\cdot\dfrac u2\cdot(1-u) と見ると、3つの正の数 u2, u2, 1−u\dfrac u2,\ \dfrac u2,\ 1-u の和は 11 で一定です。
相加平均と相乗平均の関係から、

u2⋅u2⋅(1−u)≦(13)3,g(u)≦427.\frac u2\cdot\frac u2\cdot(1-u)\leqq\left(\frac13\right)^3,\qquad g(u)\leqq\frac{4}{27}.

等号は u2=1−u\dfrac u2=1-u、つまり u=23u=\dfrac23 のときに成り立ち、微分で求めた結果と一致します。

問題データ

関連分野
微分・積分
難易度の目安
B(標準)
目標時間
20分

講評

円と直線の位置関係から、弦の中点の軌跡、回転体の体積の最大までを順に問う、図形と方程式の標準的な問題です。
すべての小問が「中心 O\mathrm{O} と直線 ll の距離」と「O\mathrm{O} から ll に下ろした垂線の足」でつながっています。
この2つを最初に tt で表しておけるかどうかで、後半の解きやすさが大きく変わります。

(1)〜(4)は確実に取りたい小問です。
(1)は接点の yy 座標まで求める必要はなく、問われている xx 座標だけを答えます。
(3)では、t<0t<0 のときを考えて絶対値を付けることを忘れないようにしましょう。
(4)は、垂直に着目して「OA\mathrm{OA} を直径とする円」と見抜ければ、計算はほぼ確認だけで済みます。
xx の範囲が問題文に書かれているので、自分の計算と一致するかを見直しに使えます。

差がつくのは(5)です。
回転してできる立体を正しく思い描けるかが鍵になります。
M\mathrm{M} が P\mathrm{P} と Q\mathrm{Q} の間にあるので、円錐2つの体積の和が 13πd2⋅PQ\dfrac13\pi d^2\cdot\mathrm{PQ} にまとまります。
また、tt のまま微分しようとすると式が複雑になります。
体積を d2d^2 の式にしてから文字を置き換える、という「変数の選び方」を身に付けておきましょう。
答えは t=±25t=\pm\dfrac{\sqrt2}{5} の2つで、片方だけを書かないよう注意が必要です。

難易度はB、目標時間は20分としました。
どの小問も典型的な方針で解けますが、(5)で立体の形をつかみ、置き換えて最大値を調べる処理に時間がかかるためです。

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