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【解答・解説】2026年 慶應義塾大学 理工学部 数学 第5問

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(1)ii を虚数単位とし,実数 θ\theta に対して f(θ)=cos⁡θ+isin⁡θf(\theta)=\cos\theta+i\sin\theta とおく。実数 aa に対して,f(θ1)={f(a)}3f(\theta_1)=\{f(a)\}^3 を満たす θ1\theta_1 の1つを aa を用いて表すと θ1=ナ\theta_1=\boxed{\text{ナ}} であり,

f(θ2)+f(−θ2)2=cos⁡2a−sin⁡2a\frac{f(\theta_2)+f(-\theta_2)}{2}=\cos^2a-\sin^2a

を満たす θ2\theta_2 の1つを aa を用いて表すと θ2=ニ\theta_2=\boxed{\text{ニ}} である。

(2)θ\theta の関数 cos⁡4θ\cos^4\theta を適切な有理数 bb,cc,dd を用いて b+ccos⁡2θ+dcos⁡4θb+c\cos2\theta+d\cos4\theta の形で表すと,cos⁡4θ=ヌ\cos^4\theta=\boxed{\text{ヌ}} となる。

(3)座標平面上で不等式 0≦y≦x0\leqq y\leqq x の表す領域において方程式 (x2+y2)3=(x2−y2)2(x^2+y^2)^3=(x^2-y^2)^2 が定める曲線を CC とする。座標平面において,原点を極,xx 軸の正の部分を始線とする極座標 (r, θ)(r,\ \theta) を考えると,CC の極方程式は ネ\boxed{\text{ネ}} となる。ただし,θ\theta の動く範囲は ノ\boxed{\text{ノ}} である。また,曲線 CC と xx 軸で囲まれた部分の面積は ハ\boxed{\text{ハ}} である。

(注意)空欄については,分数は既約分数にするなど最もふさわしいもの(数,式など)を記入する。

重要知識と着眼点

(1)f(θ)f(\theta) は極形式、掛けると角が足される

複素数の積・累乗の扱い方

極形式で考える。積では絶対値をかけ、偏角を足す。
z=r(cos⁡θ+isin⁡θ)z=r(\cos\theta+i\sin\theta)(r>0r>0)のとき、zn=rn(cos⁡nθ+isin⁡nθ)z^n=r^n(\cos n\theta+i\sin n\theta)(nn は正の整数)。
zz をかける操作は、原点を中心とする rr 倍の拡大・縮小と、角 θ\theta の回転を表す。

f(a)=cos⁡a+isin⁡af(a)=\cos a+i\sin a は絶対値 11、偏角 aa の複素数です。
3乗すると偏角が3倍になるので、{f(a)}3=f(3a)\{f(a)\}^3=f(3a) です。

後半は、f(−θ)=cos⁡θ−isin⁡θf(-\theta)=\cos\theta-i\sin\theta に注目します。
f(θ)f(\theta) と f(−θ)f(-\theta) を足すと虚部が消え、2で割ると cos⁡θ\cos\theta が残ります。
右辺の cos⁡2a−sin⁡2a\cos^2a-\sin^2a は2倍角の公式で cos⁡2a\cos2a です。

(2)次数を下げる公式を2回使う

倍角・半角の公式

sin⁡2θ=2sin⁡θcos⁡θ\sin2\theta=2\sin\theta\cos\theta。
cos⁡2θ=1−2sin⁡2θ=2cos⁡2θ−1\cos2\theta=1-2\sin^2\theta=2\cos^2\theta-1。
これを変形すると、
sin⁡2θ=1−cos⁡2θ2\sin^2\theta=\dfrac{1-\cos2\theta}2、cos⁡2θ=1+cos⁡2θ2\cos^2\theta=\dfrac{1+\cos2\theta}2。

cos⁡4θ=(cos⁡2θ)2\cos^4\theta=(\cos^2\theta)^2 と見て、まず cos⁡2θ=1+cos⁡2θ2\cos^2\theta=\dfrac{1+\cos2\theta}{2} を代入します。
展開すると cos⁡22θ\cos^22\theta が出てくるので、同じ公式をもう一度使うと cos⁡4θ\cos4\theta になります。
(1)の後半から cos⁡θ=f(θ)+f(−θ)2\cos\theta=\dfrac{f(\theta)+f(-\theta)}{2} なので、これを4乗して二項定理で展開する方法もあります(解答の別解)。

(3)x2+y2=r2x^2+y^2=r^2、x2−y2=r2cos⁡2θx^2-y^2=r^2\cos2\theta に置き換える

媒介変数表示された曲線で囲まれた面積の求め方

x=f(t), y=g(t)x=f(t),\ y=g(t) について、
∫y dx=∫g(t)f′(t) dt\displaystyle\int y\,dx=\int g(t)f'(t)\,dt と変換する。
グラフで領域の上側・下側を確認する。xx の増減に応じて区間を分け、上側と下側の差を積分する。

三角関数の積・累乗の積分の扱い方

  1. sin⁡2x,cos⁡2x\sin^2x,\cos^2x は、半角の公式で次数を下げる。
  2. 三角関数の積は、積和公式で和に直す。
  3. tan⁡2x\tan^2x は、tan⁡2x=1cos⁡2x−1\tan^2x=\dfrac1{\cos^2x}-1 と変形する。
  4. tan⁡x\tan x は sin⁡xcos⁡x\dfrac{\sin x}{\cos x} と表し、置換積分を考える。

x=rcos⁡θ, y=rsin⁡θx=r\cos\theta,\ y=r\sin\theta を代入すると、x2+y2=r2x^2+y^2=r^2 です。
さらに x2−y2=r2(cos⁡2θ−sin⁡2θ)=r2cos⁡2θx^2-y^2=r^2(\cos^2\theta-\sin^2\theta)=r^2\cos2\theta となり、(1)の後半で使った2倍角の公式がここでも現れます。
方程式は rr と θ\theta の簡単な関係になります。
領域 0≦y≦x0\leqq y\leqq x は、原点以外では 0≦θ≦π40\leqq\theta\leqq\dfrac{\pi}{4} に当たります。
原点が CC に含まれるかどうかも確認しましょう。

面積は、x=rcos⁡θ, y=rsin⁡θx=r\cos\theta,\ y=r\sin\theta に r=cos⁡2θr=\cos2\theta を代入し、θ\theta を媒介変数とする曲線として ∫y dx\displaystyle\int y\,dx を計算します。
そのためには、θ\theta が増えると xx がどう動くかを確かめ、曲線が xx 軸の上側にあることを確認しておく必要があります。
積分の計算では、cos⁡22θ\cos^22\theta や cos⁡32θ\cos^32\theta が出てきます。
2乗は半角の公式で次数を下げ、3乗は cos⁡22θ=1−sin⁡22θ\cos^22\theta=1-\sin^22\theta として sin⁡2θ\sin2\theta の置換積分に持ち込みます。

解答

(1)

ド・モアブルの定理より、

{f(a)}3=(cos⁡a+isin⁡a)3=cos⁡3a+isin⁡3a=f(3a).\begin{aligned} \{f(a)\}^3&=(\cos a+i\sin a)^3\\ &=\cos3a+i\sin3a=f(3a). \end{aligned}

よって、θ1=3a\theta_1=\boxed{3a} は条件を満たす。

また、f(−θ)=cos⁡θ−isin⁡θf(-\theta)=\cos\theta-i\sin\theta だから、

f(θ2)+f(−θ2)2=cos⁡θ2.\frac{f(\theta_2)+f(-\theta_2)}{2}=\cos\theta_2.

一方、cos⁡2a−sin⁡2a=cos⁡2a\cos^2a-\sin^2a=\cos2a である。
よって、θ2=2a\theta_2=\boxed{2a} は条件を満たす。

(2)

半角の公式を2回使う。

cos⁡4θ=(1+cos⁡2θ2)2=1+2cos⁡2θ+cos⁡22θ4=14(1+2cos⁡2θ+1+cos⁡4θ2)=38+12cos⁡2θ+18cos⁡4θ.\begin{aligned} \cos^4\theta&=\left(\frac{1+\cos2\theta}{2}\right)^2=\frac{1+2\cos2\theta+\cos^22\theta}{4}\\ &=\frac14\left(1+2\cos2\theta+\frac{1+\cos4\theta}{2}\right)\\ &=\boxed{\frac38+\frac12\cos2\theta+\frac18\cos4\theta}. \end{aligned}

別解

(1)より cos⁡θ=f(θ)+f(−θ)2\cos\theta=\dfrac{f(\theta)+f(-\theta)}{2} である。
f(θ)f(−θ)=1f(\theta)f(-\theta)=1 と、f(θ)k=f(kθ)f(\theta)^k=f(k\theta) を使って二項定理で展開すると、

cos⁡4θ=116{f(θ)+f(−θ)}4=116{f(4θ)+4f(2θ)+6+4f(−2θ)+f(−4θ)}=116(2cos⁡4θ+8cos⁡2θ+6)=38+12cos⁡2θ+18cos⁡4θ.\begin{aligned} \cos^4\theta&=\frac{1}{16}\{f(\theta)+f(-\theta)\}^4\\ &=\frac{1}{16}\{f(4\theta)+4f(2\theta)+6\\ &\qquad+4f(-2\theta)+f(-4\theta)\}\\ &=\frac{1}{16}(2\cos4\theta+8\cos2\theta+6)\\ &=\frac38+\frac12\cos2\theta+\frac18\cos4\theta. \end{aligned}
補足特別な角を代入して確かめる

θ=0\theta=0 のとき、左辺は 11、右辺は 38+12+18=1\dfrac38+\dfrac12+\dfrac18=1 です。
θ=π2\theta=\dfrac{\pi}{2} のとき、左辺は 00、右辺は 38−12+18=0\dfrac38-\dfrac12+\dfrac18=0 です。
どちらも一致します。

(3)極方程式

x=rcos⁡θ, y=rsin⁡θx=r\cos\theta,\ y=r\sin\theta(r≧0r\geqq0)とすると、

x2+y2=r2,x2−y2=r2(cos⁡2θ−sin⁡2θ)=r2cos⁡2θ.\begin{aligned} x^2+y^2&=r^2,\\ x^2-y^2&=r^2(\cos^2\theta-\sin^2\theta)=r^2\cos2\theta. \end{aligned}

よって、方程式は

r6=r4cos⁡22θ  ⟺  r=0 または r2=cos⁡22θ.r^6=r^4\cos^22\theta\iff r=0\ \text{または}\ r^2=\cos^22\theta.

原点以外の点では r>0r>0 で、領域 0≦y≦x0\leqq y\leqq x は 0≦θ≦π40\leqq\theta\leqq\dfrac{\pi}{4} に当たる。
この範囲では cos⁡2θ≧0\cos2\theta\geqq0 だから、r2=cos⁡22θ  ⟺  r=cos⁡2θr^2=\cos^22\theta\iff r=\cos2\theta である。
また、原点は方程式を満たして領域内にあり、r=cos⁡2θr=\cos2\theta で θ=π4\theta=\dfrac{\pi}{4} とした点に当たる。
したがって、CC の極方程式は

r=cos⁡2θ(0≦θ≦π4).\boxed{r=\cos2\theta}\qquad\left(\boxed{0\leqq\theta\leqq\frac{\pi}{4}}\right).

(3)面積

CC 上の点は、θ\theta を媒介変数として

x=cos⁡2θcos⁡θ,y=cos⁡2θsin⁡θx=\cos2\theta\cos\theta,\qquad y=\cos2\theta\sin\theta

(0≦θ≦π40\leqq\theta\leqq\dfrac{\pi}{4})と表せる。

直線y=xとx軸の間にある曲線Cのグラフ。点(1,0)から始まって上にふくらみ、原点に戻る。曲線とx軸で囲まれた部分を塗り、原点からの距離rと角θを示している
曲線 C: r=cos⁡2θC:\ r=\cos2\theta と xx 軸で囲まれた部分
dxdθ=−2sin⁡2θcos⁡θ−cos⁡2θsin⁡θ.\frac{dx}{d\theta}=-2\sin2\theta\cos\theta-\cos2\theta\sin\theta.

0<θ<π40<\theta<\dfrac{\pi}{4} では sin⁡2θ, cos⁡θ, cos⁡2θ, sin⁡θ\sin2\theta,\ \cos\theta,\ \cos2\theta,\ \sin\theta はすべて正だから、dxdθ<0\dfrac{dx}{d\theta}<0 である。
よって、θ\theta が 00 から π4\dfrac{\pi}{4} まで増えると、xx は 11 から 00 まで減少する。
また、この範囲で y≧0y\geqq0 である。
したがって、CC と xx 軸で囲まれた部分は、0≦x≦10\leqq x\leqq1 で CC と xx 軸の間にある部分であり、その面積 SS は

S=∫01y dx=∫π/40y dxdθ dθ=∫0π/4cos⁡2θsin⁡θ×(2sin⁡2θcos⁡θ+cos⁡2θsin⁡θ) dθ=∫0π/4(sin⁡22θcos⁡2θ+cos⁡22θsin⁡2θ)dθ.\begin{aligned} S&=\int_0^1y\,dx=\int_{\pi/4}^{0}y\,\frac{dx}{d\theta}\,d\theta\\ &=\int_0^{\pi/4}\cos2\theta\sin\theta\\ &\qquad\times(2\sin2\theta\cos\theta+\cos2\theta\sin\theta)\,d\theta\\ &=\int_0^{\pi/4}\left(\sin^22\theta\cos2\theta+\cos^22\theta\sin^2\theta\right)d\theta. \end{aligned}

ここで 2sin⁡θcos⁡θ=sin⁡2θ2\sin\theta\cos\theta=\sin2\theta を使った。
それぞれの積分を計算する。

∫0π/4sin⁡22θcos⁡2θ dθ=[sin⁡32θ6]0π/4=16.\int_0^{\pi/4}\sin^22\theta\cos2\theta\,d\theta=\left[\frac{\sin^32\theta}{6}\right]_0^{\pi/4}=\frac16.

sin⁡2θ=1−cos⁡2θ2\sin^2\theta=\dfrac{1-\cos2\theta}{2} より、

∫0π/4cos⁡22θsin⁡2θ dθ=12∫0π/4cos⁡22θ dθ−12∫0π/4cos⁡32θ dθ.\begin{aligned} &\int_0^{\pi/4}\cos^22\theta\sin^2\theta\,d\theta\\ &=\frac12\int_0^{\pi/4}\cos^22\theta\,d\theta-\frac12\int_0^{\pi/4}\cos^32\theta\,d\theta. \end{aligned}
∫0π/4cos⁡22θ dθ=∫0π/41+cos⁡4θ2 dθ=π8,∫0π/4cos⁡32θ dθ=∫0π/4(1−sin⁡22θ)cos⁡2θ dθ=[sin⁡2θ2−sin⁡32θ6]0π/4=13.\begin{aligned} \int_0^{\pi/4}\cos^22\theta\,d\theta&=\int_0^{\pi/4}\frac{1+\cos4\theta}{2}\,d\theta=\frac{\pi}{8},\\ \int_0^{\pi/4}\cos^32\theta\,d\theta&=\int_0^{\pi/4}(1-\sin^22\theta)\cos2\theta\,d\theta\\ &=\left[\frac{\sin2\theta}{2}-\frac{\sin^32\theta}{6}\right]_0^{\pi/4}=\frac13. \end{aligned}

以上より、

S=16+12⋅π8−12⋅13=π16.S=\frac16+\frac12\cdot\frac{\pi}{8}-\frac12\cdot\frac13=\boxed{\frac{\pi}{16}}.
補足極方程式の面積公式で確かめる

教科書では発展的な内容ですが、0<θ2−θ1≦2π0<\theta_2-\theta_1\leqq2\pi で、g(θ)g(\theta) がこの区間で連続かつ非負とします。
このとき、極方程式 r=g(θ)r=g(\theta) と2本の半直線 θ=θ1, θ=θ2\theta=\theta_1,\ \theta=\theta_2 で囲まれた部分の面積は 12∫θ1θ2r2 dθ\dfrac12\displaystyle\int_{\theta_1}^{\theta_2}r^2\,d\theta で求められます。
中心角 dθd\theta の細い扇形の面積 12r2 dθ\dfrac12r^2\,d\theta を足し合わせる、という考え方です。
今回は

12∫0π/4cos⁡22θ dθ=12⋅π8=π16\frac12\int_0^{\pi/4}\cos^22\theta\,d\theta=\frac12\cdot\frac{\pi}{8}=\frac{\pi}{16}

となり、解答の結果と一致します。

問題データ

難易度の目安
B(標準)
目標時間
20分

講評

複素数の極形式、三角関数の次数下げ、極方程式と面積を順に問う問題です。
(1)(2)は短い計算問題で、(3)で極座標と積分の力が問われます。

(1)(2)は確実に取りたい小問です。
(1)はド・モアブルの定理と2倍角の公式をそのまま使うだけです。
「θ1\theta_1 の1つ」「θ2\theta_2 の1つ」と問われているので、3a+2kπ3a+2k\pi などの一般形ではなく、3a3a、2a2a と答えれば十分です。
(2)は半角の公式を2回使う定番の計算です。
最後に θ=0\theta=0 などを代入して見直すと、係数の誤りに気づけます。

(3)の極方程式は、x2+y2=r2x^2+y^2=r^2 に加えて、x2−y2=r2cos⁡2θx^2-y^2=r^2\cos2\theta と見抜けるかがポイントです。
(1)で cos⁡2a−sin⁡2a\cos^2a-\sin^2a を扱ったことが、ここへの手がかりになっています。
r4r^4 で割るときに原点が抜け落ちないよう、r=0r=0 の場合も含めて確認しましょう。

差がつくのは面積の計算です。
媒介変数表示の面積公式を使う場合は、xx が θ\theta についてどう増減するかを確認してから ∫y dx\displaystyle\int y\,dx を立てる必要があります。
積分区間の向きと符号を間違えないように注意しましょう。
極方程式の面積公式 12∫r2 dθ\dfrac12\displaystyle\int r^2\,d\theta を知っていれば短時間で答えが出ますが、教科書では発展的な扱いです。
記述式の答案で使う場合は、扇形の面積の和として考えたことを書き添えると説得力が増します。
空欄補充の本問では、検算に使うのも有効です。

難易度はB、目標時間は20分としました。
(1)(2)は短時間で終わりますが、(3)で極方程式への変換と、媒介変数表示を使った面積計算にある程度の時間がかかるためです。

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